不動金縛りの法
まず九字の刀印で空中に九字を切り場を清め霊の動きを弱める。次に内縛印を結び不動明王の中呪を唱える。次に剣印を結び真言「おん・きりきり」と唱えすぐに刀印に結び変え再び真言「おん・きりきり」と唱える。次に転法輪印を結び中呪を唱える。次に外五鈷印を結び大呪を唱える。次に諸天救勅印を結び真言「おん・きりうん・きゃくうん」と唱える。最後に外縛印を結び中呪を唱えて不動金縛りの法の完成です。怨霊などが人にとりつき悪い影響を与える時、その霊の動きを止め捕まえて成仏させ除霊する時などに使用するのです。但し人間に直接この霊縛法を行なうとその人は身動きが取れなくなりその場に釘づけになると言われるので注意が必要です。
上記の九字が真言密教の一般的な九字の法ですが、その他にも全部で九通りの九字の切り方があるのです。
真言 の神秘
仏にはそれぞれの仏格に対して「真言」があります。
例えば地蔵菩薩は「オン・カカカ・ビ・サンマ・エイ・ソワカ」で、お地蔵様にお参りするときは、この真言を唱えるのが正式のご挨拶ということになります。まぁ、真言を知らない人は「南無地蔵菩薩」とか、「南無地蔵尊」でかまわないとおもいます。
この真言の中の主なものを下に書き出してみます。では、まず如来部です。
真言(1)如来部
大日如来(金剛界) 種字バン
オン・バザラ・ダド・バン
大日如来(胎蔵界) 種字アーク
ナウマク・サマンダ・ボダナン・アビラウンケン
「ナウマク」はよく出てきますが「南無」の元の形で、「帰命します」 の意味です。「ナウマク・サマンダ・ボダナン」で「あまねく諸仏に帰依 します」という意味で、「オン」はその略形です。
「オン」については、後世、この音に対する信仰が高まり、タントラでは 世界はこの「オン」の文字から創成されたとされています。
「アビラウンケン」は古くから使われている呪文の一つですが、中東の 「アブラカタブラ」との関連を指摘する意見を聞いたこともあります。
無量寿如来(=阿弥陀如来) 種字アン
ナウマク・サマンダ・ボダナン・サンサク・ソワカ
阿弥陀如来 種字キリーク
オン・アミリタ・テイゼイ・カラ・ウン
同じ仏でも名前が違う(=現れ方が違う)と別の真言を持つことがあります。甚だしいのが次回出てくる観音菩薩の場合です。
ここでも無量寿如来 と阿弥陀如来という同じ仏に対して、別々の真言があり、種字まで異なっています。
薬師如来 種字バイ
オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ
薬師如来大呪
ナウボウ・バキャバテイ・バイセイジャ・グロ・バイチョリヤ・ハラバア・ランジャヤ・タターギャタヤ・アラカテイ・
サンミャク・サンボダヤ・タニヤタ・オン・バイセイゼイ・バイセイゼイ・バイセイジャ・サンボドギャテイ・ソワカ
釈迦如来 種字バク
ナウマク・サマンダ・ボダナン・バク
この釈迦如来の真言は決り文句の「ナウマク・サマンダ・ボダナン」の後 に「バク」という釈迦如来の種字を置いた形で、いわば定型の真言になっています。
阿しゅく如来
オン・アキシュビヤ・ウン
宝生如来
オン・アラタンナウサンバンバ・タラク
観自在王如来
オン・ロケイジンバラアランジャ・キリク
不空成就如来
オン・アボキャシツデイ・アク
宝ドウ如来
ナウマク・サンマンダボダナン・ラン・ラク・ソワカ
開敷華王如来
ナウマク・サンマンダボダナン・バン・バク・ソワカ
天鼓雷音如来
ナウマク・サンマンダボダナン・カン・カク・ソワカ
一字金輪
ノウマク・サンマンダ・・ボダナン・ボロン
宝勝如来
ナウボ・バギャバテイ・ハラボタ・アラタン・ナウヤ・タタギャタヤ
甘露王如来
ナウボバギャバテイ・アミリテイ・アランジャヤ・タタァギャタヤ
広博身如来
ナウボバギャバテイ・ビホラギャタラヤ・タタギャタヤ
妙色身如来
ナウボウバギャバテイ・ソロバヤ・タタギャタヤ
離怖畏如来
ナウボバギャバテイ・アバエンキャラヤ・タタギャタヤ
真言(2)菩薩部
各仏には真言の他に「種子」というものがあります。(種子・種子字ともいいます)
これは各仏に梵字(悉曇)の1字を当てたもので、この種子はその仏そのものを表わすとされます。
その為、通常の仏の絵の代りに種子を並べた種子曼陀羅というものもあります。
種子の定め方は色々ありますが、多くは真言の中の1文字あるいは仏の梵名の頭文字などをとっています。
ところで、この梵字ですが、これは悉曇(しったん)というのが正式な呼び名です。
梵字は現在日本の仏教とは切っても切れない存在となっており、例えば位牌や墓などの戒名とともに梵字が書かれたりしますし、真言宗の阿字観では梵字の第1文字「ア」を書いた月輪を目の前に置いて瞑想します。
悉曇は通常50文字(51字の立場もある)とされ。この「50」という数字が日本語の「50音」の基礎になったとされますが、実際には基本は49文字で、最後の文字キシャ(及び51字説ではランも)は合成字です。悉曇は韓国のハングル文字のように基本字母の合成によって色々な音節を表現することができ、その合成字の数は非常に多数になります。弘法大師空海が中国から持ち帰った資料の一つである「梵字大悉曇章」には16,550字の合成字が収められています。
金剛サッタ
オン・バサラ・サトバ・アク
五大虚空蔵菩薩
バン・ウン・タラク・キリク・アク
文殊菩薩 種子マン
オン・アラハシャ・ノウ
普賢菩薩 種子アン
オン・サンマヤ・サトバン
文殊菩薩と普賢菩薩は釈迦如来の脇侍をつとめ、ともに菩薩の首位 であるとされます。左が文殊で右が普賢です。
地蔵菩薩 種子カ
オン・カカカビ・サンマ・エイ・ソワカ
この真言は強烈ですね。種子を3回も繰り返しています。なお、千体 地蔵尊では、この「カ」の文字を「森」のように並べたものを種子と しています。
弥勒菩薩 種子ユ
オン・マイタレイヤ・ソワカ
「マイタレイヤ」はむろん「マイトレーヤ」で弥勒のことです。
勢至菩薩 種子サク
オン・サンザンザン・サク・ソワカ
唱えるときはオン・サンザンサク・ソワカと唱えてください。
勢至菩薩は観音菩薩とともに阿弥陀如来の脇侍をつとめます。通常 左が観音で右が勢至とされますが、逆にする説もあります。
虚空蔵菩薩 種子タラーク
オン・バザラ・アラタンノウ・オン・タラク・ソワカ
虚空蔵菩薩の真言にはもうひとつ「ナウボウ・アキャシャギャラバヤ・ オン・アリキャ・マリボリ・ソワカ」という長い形があります。求聞持法という修行では、最初に短い方を一度唱え、その後長い方を100万 回唱えます。これを1日1回、100日間続けると、飛躍的な記憶力の 増大効果が得られるとされています。若き日の弘法大師空海は四国の海 に向ってこれを行ないながら自分を空と海に一体化させたのです。
日光菩薩 オン・ロホウニュタ・ソワカ
月光菩薩 オン・センダラ・ハラバヤ・ソワカ
日光菩薩・月光菩薩は薬師如来の脇侍をつとめます。左日光、右月光です。
聖観音 種子サ
オン・アロリキャ・ソワカ
観音は33観音・100観音といった変化がありますが、ここでは代表的 なものだけ以下にとりあげます。
千手観音 種子キリーク
オン・バザラ・タラマ・キリク・ソワカ
十一面観音 種子キャ
オン・ロケイ・ジンバ・ラ・キリク・ソワカ
如意輪観音 種子キリーク
オン・ハンドマ・シンダ・マニ・ジンバ・ラ・ソワカ
馬頭観音 種子カン
オン・アミリト・ドバンバ・ウン・パツタ・ソワカ
不空羂索観音 種子モウ
オン・ハンドマダラ・アボキャジャヤニ・ソロソロ・ソワカ
准胝観音 種子ボ
オン・シャレイ・シャレイ・ソンデイ・ソワカ
白衣観音 種子ハン
オン・シベイテイ・シベイテイ・ハンダラ・バシニ・ソワカ
揚柳観音 種子サ
オン・バザラダラマ・ベイサジャ・ラジャヤ・ソワカ
普賢延命菩薩
オン・バザラユセイ・ソワカ
延命菩薩
オン・トン・バザラ・ユク
般若菩薩
オン・ジ・シリシュロタビジャエイ・ソワカ
大随求菩薩
オン・バラバラ・サンバラ・サンバラ・インダリヤ・ビシュダネイ・ウン・ウン・ロ・ロ・シャレイ・ソワカ
除悪趣菩薩
ナウマク・サマンダ・ボダナン・ドボウシャナン・アビユダランジ・サトバダトン・ソワカ
妙見菩薩
オン・ソジリシュタ・ソワカ
五秘密菩薩
オン・マカソ・ギャバザラ・サトバ・ジャク・ウン・バンコク・ソラタ・ストバン
転法輪菩薩
オン・バザラ・シャキャラ・ウンジャク・ウンバンコク
持世菩薩
オン・バソ・ダレイ・ソワカ
薬王菩薩
オン・バイ・セイジャ・アランジャヤ・ソワカ
水月菩薩
オン・ビシュダ・ハンドマ・サトバケイタ・ソワカ
毘倶胝菩薩
ノウマク・サマンダ・ボダナン・サラババヤ・タラサンニ・ウン・ウン・ソハタヤ・ソワカ
真言(3)明王部
不動明王(一字咒) 種子カーン
ナウマク・サマンダ・バザラダン・カン
不動明王(慈救咒) 種子カーン
ナウマク・サマンダ・バザラダン・センダ・マカロシャダ・ソワタヤ・ウン・タラタ・カン・マン
不動明王(火界咒) 種子カーン
ナウマク・サラバタタギャーテイビヤク・サラバボッケイビヤク・サラバタタラタ・センダマカロ
シャダ・ケン・ギャキ・ギャキ・サラバビギナン・ウン・タラタ・カン・マン
明王グループのトップはやはり、お不動様でしょう。不動明王・降三世明王 ・軍荼利明王・大威徳明王・金剛夜叉明王を合わせて5大明王といいます。
降三世明王 種子ウーン
オン・ソンバ・ニソンバ・ウン・バザラ・ウン・パッタ
シヴァとシャクティを踏みつけている凄い仏様ですね。もっとも実はシヴァ神そのものであるという説もあります。
軍荼利明王 種子ウン
オン・アミリテイ・ウン・パッタ
大威徳明王 種子キリーク
オン・シュチリ・キャラロハ・ウンケン・ソワカ
この明王は六面六臂六足が特徴で、別名六足明王。古くからある調伏の術 で、この大威徳明王に祈るものがあります。
(この手の秘法は降三世明王や毘沙門天にもあります)
金剛夜叉明王 種子ウーン
オン・バザラ・ヤキシャ・ウン
愛染明王 種子ウーン
オン・マカラギャ・バゾロ・ウシュニシャ・バザラ・サトバ・ジャクウン・バンコク
愛染明王の秘法として、この真言を30万回唱えるというのがあります。 すると、必ず意中の人から愛されるようになると言われています。
孔雀明王 種子バン
オン・マユラ・キランデイ・ソワカ
役行者は霞を吸い、木の葉をまとって孔雀明王の印を結び真言をひたすら 唱えて修行をしたところ、水上を歩行し空中を飛行することができるよう になった、と言われています。役行者はこの秘術により、流刑先の伊豆を しばしば抜け出して富士山で修行をしていたという伝説があります。
烏枢瑟摩明王
オン・シュリマリママリ・マリシュシュリ・ソワカ
お遍路を歩いている と、よくトイレに「烏枢瑟摩明王」と書かれています。なぜここで烏枢瑟 摩明王なのかはよく分からないのですが、一説によれば烏枢瑟摩明王が火 を司るので、火の作用で不浄のものを浄化するという意味ではないかと言われています。
また、烏枢瑟摩明王の秘法に「変成男子の法」というものがあり、これを 収めると、たとえ胎内に女子が宿ったとしても、その子を男子に変化させ て男の子が生まれるようにすることができるとされています。有名な所で は、徳川家光の願いにより、天海僧正がこれを行なったと言われています。 (結果生まれたのが家綱)
大元帥明王
ナウボウタリタボリバリボリシャキンメイシャキンメイ・タラサンタン・オエンビ・ソワカ
真言(4)天部
帝釈天 種子イー
ナウマク・サマンダ・ボダナン・インダラヤ・ソワカ
インドラですね(元々はインドのアーリアの民の主神だったのですが、 現代のインドでも主神の地位はブラフマー・ヴィシュヌ・シヴァの三神に のっとられ、仏教でもこんな位置におかれています。
現代の日本では帝釈天といえば、寅さんでお馴染みですね。
閻魔天 種子エン
ナウマク・サマンダ・ボダナン・エンマヤ・ソワカ
地獄の「エンマ」様ですし、インドでは「ヤマ」ですね。「ヤマ」は対という 意味があり、妹「ヤミ」と合わせて双子神であったとの説もあります。
持国天 種子ヂリ
オン・ヂリタラ・シュタラ・ララハラバ・タナウ・ソワカ
以下、四天王です。持国天が東、増長天が南、広目天が西、多聞天が 北になります。
増長天 種子ビ
オン・ビロダキャヤ・キシャヂ・ハタエイ・ソワカ
広目天 種子ビ
オン・ビロハキシャ・ナウギャヂ・ハタエイ・ソワカ
多聞天 種子ベイ
オン・ベイシラ・マンダヤ・ソワカ
長い道のりを歩くとき、多聞天の印を結び真言を唱えながら歩くと、 疲れず、災難にもあわないと言われています。
梵天 種子ボラ
ナウマク・サマンダ・ボダナン・ボラカンマネイ・ソワカ
吉祥天 種子シリー
オン・マカシリ・エイ・ソワカ
弁財天 種子ソ
オン・ソラソバテイ・エイ・ソワカ
真言の中に読み込まれている通り吉祥天は「マハーシュリー」、弁財天 は「サラスヴァティ」です。次の摩利支天「マリーチ」も同じ形ですね
摩利支天 種子マ
オン・マリシ・エイ・ソワカ
ギリシャの「アテナ」に擬すこともできるような威勢のいい女神です。 摩利支天には、印を結びこの真言を108回唱えると、どんな悪鬼にもその姿を見られなくなるという隠形の術というのがあります。
聖天 種子バー
オン・キリク・ギャク・ウン・ソワカ
別名、ガネーシャです。象の頭の神様ですね。しばしば、もう一頭の象 (あるいは猪)の頭を持つ女神と抱き合っていますが、この相手は観音 菩薩であるとされています。
荼吉尼天 種子カン
ナウマク・サマンダ・ボダナン・キリカ・ソワカ
稲荷と同一視されていますね。仏教系のお稲荷さんでは本尊がこの 荼吉尼天になっています。
伊舎那天 種子イ
ナウマク・サマンダ・ボダナン・イシャナ・ヤ・ソワカ
十二天のトップで東北を管理します。
大黒天 種子マ
オン・マカキャラヤ・ソワカ
七福神のひとつですが、字の通り元は大いなる暗黒の神です。
大自在天 種子マ
オン・マケイシバラヤ・ソワカ
伊舎那天・大黒天の本体で、シヴァ神そのものです。
訶利帝母(鬼子母神)
オン・ドドマリ・カキテイ・ソワカ
韋駄天
オン・イダテイタ・モコテイタ・ソワカ
日天
ナウマク・サンマンダ・ボダナン・アニチャヤ・ソワカ
月天
ナウマク・サンマンダ・ボダナン・センダラヤ・ソワカ
火天
ナウマク・サンマンダ・ボダナン・アギャナウエイ・ソワカ
羅刹天
ナウマク・サンマンダ・ボダナン・ニルリテイ・ソワカ
水天
ナウマク・サンマンダ・ボダナン・バルナヤ・ソワカ
風天
ナウマク・サンマンダ・ボダナン・バヤベイ・ソワカ
毘沙門天
ナウマク・サンマンダ・ボダナン・ビシラバナヤ・ソワカ
地天
ナウマク・サンマンダ・ボダナン・ハラチビエイ・ソワカ
迦楼羅天
オン・ガルダヤ・ソワカ
難陀龍王
オン・ナンダ・バナンダ・エイ・ソワカ
緊那羅天
オン・カサナン・ビカサナン・ソワカ
倶摩羅天
オン・バザラ・ケンタヤ・ソワカ
乾達婆天
オンビシュダ・サバラ・バケイニ・ソワカ
真言(5)その他
金剛力士
オン・ウーン・ソワカ
蔵王権現
オン・バキリュウ・ソワカ
三宝荒神(荒神)
オン・ケンバヤ・ケンバヤ・ソワカ
愛宕権現
オン・カーカー・カソダト・ソワカ
牛頭天王
オン・牛頭・デイバ・誓願・随喜・延命・ソワカ
宮毘羅大将(金毘羅神)
オン・クビラヤ・ソワカ(オン・ヒラヒラコンピラ・コンテイ・ソワカ)
道祖神
オン・サゲイ・サメイ・ウン・ハッタ
庚申
オン・コウシンデイ・コウシンデイ・マイタリ・マイタリ・ソワカ
天狗
@オン・アロマヤ・テング・スマンキ・ソワカ Aオン・ヒラヒラ・ケン・ヒラケンノウ・ソワカ
阿修羅
@ノウマク・サマンダ・ボダナン・ラタンラタト・バラン・タン Aノウマク・サマンダ・ボダナン・ガララヤン・ソワカ
矜羯羅(コンカラ)童子 種子タラ
オン・ダラマ・カーンカラ・チシュッタ・ザラ
制咤迦(セイタカ,咤の字は本当はウ冠が無い)童子 種子タ
オン・キャラマ・セイタカ・ウンウン・ハッタ
矜羯羅・制咤迦は不動明王の脇侍です。
光明真言
オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラマニ・ハンドマ・ ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン
真言のことに触れたら、やはりこの光明真言についても触れておくべき でしょう。この真言は本来は大日如来の真言とされますが、この真言を 唱えて土砂を加持し、その土砂を墓地にまくと、すみやかに罪障を除き 極楽浄土に趣くとされています。
この秘法を土砂加持法と言い下図の光明真言曼荼羅を本尊として光明真言七種印「智拳印結びオンアボキャ、外五鈷印でベイロシャノウ、五色光印でマカボダラ、外縛二中寶印でマニ、外縛二中蓮華印でハンドマ、智拳印でジンバラ、八葉印でハラバリタヤウン」を結び光明真言を108遍唱えるのです。
光明真言曼荼羅
光明真言破地獄曼荼羅
光明真言五色光印
葬式の祭に亡者の罪障を消滅させる為に光明真言を円形に画き中央に僧名、と戒名を書いたものを亡者に授ける際に光明真言五色光印を用いて光明真言唱えると光明真言破地獄曼荼羅を授けたことになり亡者は僧侶の手から五色の光が灌がれ一切の罪障から救われるのです。※注、破地獄曼荼羅を作る場合は光明真言を梵字でオン・アを天地に書き次からは右回りに画く天側には更に浄土変の梵字でオンボッケンと書き真言の梵字の最後に破地獄の義を意味するパッタソワカと梵字で加える。中央には大日如来の真言を梵字で書く。この様にして光明真言破地獄曼荼羅法を行ないます。
*おもだった真言は記載しましたが、まだまだ色んな真言があります。此からも随時増やしていきます。
求聞持聡明法の会得の仕方
空海も会得した求聞持聡明法とは人間の記憶力を極限まで増進し天才的な才能を開花させる秘法です。
*最初に御影を用意する。
虚空蔵菩薩の図像は絹布に一尺一寸の満月の中に金色に光り輝いているように描かれていること。その図像に布の覆いをつければ求聞持聡明法用の虚空蔵菩薩の御影の完成です。
*修行の道場を造る
人里離れた山中に人知られず用意すること。道場の広さは人間が一人で生活できるほどで法具以外なにも無いこと。日没を知るための小窓等を東側に設けること。御影を安置し、十八道の契印で道場を清め、虚空蔵菩薩本尊をお招きして修行の道場の完成です。
*実践修行
百日間道場にこもり、生きるための最低限の修行食のみで生活する。日の出と共に本尊の前にさがつている覆いをめくりあげ、本尊の前にうやうやしく座り結跏趺坐を組む。塗香を腕などに塗り鈴を鳴らして虚空蔵菩薩を讃える真言を唱える。「オン・バサラ・アラタンノーオン・タラク・ソワカ」この後、一日一回、日の出とともに次の真言を百万回唱える。「オン・バサララタヤ・ウンナム・アカーシャ・ラバ・オン・アミリキヤ・マリボ・ソワカ」 俗世より離れたる山中において、真言を一日一度、早朝より百万回。これが求聞持聡明法の基本であり秘法です。
護摩・祈祷の法
護摩修法の手引きとして(不空訳)「瑜伽護摩儀軌」があり、これが護摩の基本です。
まず下記の図の様な護摩・護摩壇を設ける事。
(護摩・護摩壇)
祈願の目的によって本尊も変わるし
護摩壇に対して座る方向、炉の形、
衣の色等、下記の表の様に変えなければならない。
目的 | 方向 | 炉の形 | 衣の色 |
敬愛 | 西 | 半円形 | 赤 |
調伏 | 南 | 三角形 | 黒 |
息災 | 北 | 円形 | 白 |
増益 | 東 | 四角形 | 黄 |
護摩炉の種類
敬愛:特定の人の愛を得る為の修法
調伏:いわゆる相手に対して呪う修法
息災:無病息災を願う修法
増益:商売繁盛、金運、健康、延命に効果のある修法
さて、目的が決定し、それに見合った護摩炉と衣が決まったらそれに従い護摩壇をセッティングする。
ここまでが全ての護摩祈祷をするための共通な準備段階の初歩基本です。
加持祈祷修法時に頻繁に使用される秘印
一般的に多くおこなわれている不動護摩の実践の仕方
不動明王を本尊にして護摩壇の準備ができたら、まず最初に第一、火天段として段木を11段積み右の灯火から火を取って扇であおぎながら薪に点火する。そして炎の中に梵字のラジャスを観じながらその中に房華を1つ投げ入れる。この房華は炎の中で火天の座する蓮華座に変化するので花が燃え尽きる前にその上に火天の姿を観じなくてはならない。そして火天に帰依しつつ供物を捧げてゆく。塗香を3度、蘇油を大杓・小杓どちらも3度づつ、乳木を3本、飯を3杓、五穀を3杓、切華を3度、丸香・散香を3度、さらに蘇油を大・小杓それぞれ3度、火天にこれら全てを捧げ火天に帰依し火天段は終わる。 第二、部主段として火天段により火天の加護を受けたのち部主段にて降三世明王の加護を賜ることになる。迷い、盗み、殺生、淫乱の4つの罪障を表す4本の薪を炉の上に重ね置き火天段と同様に点火する。炎の中に降三世明王を表す梵字を観じ房華を投下する。花は蓮華座になりその上に乗った梵字が降三世明王の姿に変化する様子を観じるのです。塗香3度、蘇油を大・小杓にそれぞれ3度、乳木1本、飯1杓、丸香・散香1度、そして蘇油大・小杓それぞれ1度、炉中に捧げ供養し部主段が終わる。第三、本尊段として驕り、慢心、邪心、貪欲、無知、欺瞞といった6つの煩悩わ表す6本の薪を炉に置き点火する。次に不動明王を表す梵字を炎の中に観じる。そして一房華を投げ入れ花が燃えながら蓮華座に変化するのを観じる。さらに蓮華座の上に梵字が乗り梵字が不動明王の三昧耶形である剣に変化しさらにそれが青黒の身体を持ち炎の中に立つ不動明王の姿に変化する様子を観じるのである。そして供養の段階に入る。塗香を3度、蘇油大・小杓それぞれ3度、次に108の煩悩を表す108本の乳木を焚き全ての煩悩を焼き尽くす。火を絶やさず108本焚き尽くした後、飯3杓、五穀3杓、切華3度、丸香・散香各3度、を供養する。その後、散香と丸香、切華を1つにして五穀と共に飯食器に混ぜて2つの器に取り分けておくこれを混沌供と言う特別な供物を作る。混沌供ができたら炉に蘇油を大・小杓各1度次に乳木を6本炉に投げ込む。ついで薬種3度、最後に再び房華を1つ投げ不動明王に感謝の言葉を述べ本尊段は終わる。第四、諸尊段、今度は本尊のさまざまな個性が具現化した73諸尊に対して供養わ行う。薪を10本、炉に積む。最初の4本は4煩悩、後の6本は6惑を表しそれぞれ人間の迷いを表している。この薪に火を灯し自己の中に73諸尊の現出を観るのです。房華5つほど炉内に投下し73諸尊の蓮華座に変化するのを観じその利益わ一身にに浴びる様子を観じる。それから塗香3度、蘇油大・小杓で各3度、乳木3本、混沌供1つを供養する。最後に蘇油を大・小杓各1杓さらに房華をいくつか一度に壇上に投げ入れて諸尊段の完了です。第五、世天段、さて最後の段階の世天段を執り行う。曼陀羅における外部、即ち28宿や九曜といった諸天の供養を行う段階が世天段です。これによりさまざまな仏たち全てを供養し終わり護摩の修法は完成する。まず、薪を5本炉に積み火を灯し房華をいくつか投げ込み房華の上に諸天が出現するのを観じる。さらに1つ房華を投げ込む。これは不動明王の乗る蓮華座に変化し諸天の中心に存在する不動明王を観るのです。ここで塗香1度、蘇油大・小杓にそれぞれ3度、乳木3本を二度に渡って投入。そして本尊段で作った混沌供の残り一皿を少量ずつおのおのの仏に対して供養する。不動明王に対し3度、十二天にそれぞれ1度ずつ、火天に対してさらに2度、次に各諸天に対して3度、最後にもう3度で混沌供を全て供養するように投げ入れる。蘇油を大・小杓各1度、房華をいくつか壇内に投入し供養して世天段の終了です。最後は感謝をこめて鐘を鳴らし感謝の言葉を述べ段に三礼して不動護摩の終了です。
六法・十八道法
この修法は最も基本の法であり、如何なる大密法もこの修法をまず先に行いその上でそれぞれの秘法を行なうのです。故に全ての行者が真っ先に完璧に修得しなければならない法なのです。
「六法」
十八道を約したものが六法であり、六法を詳しく細別したものを十八道法というのです
一、荘厳行者の法 この内に五あり、淨三業、仏部、蓮華部、金剛部、被甲護身、即ち秘密門に入らんとするには先ず我が身を清めて、仏法の器となすのである。
二、結界 この内に二あり、地界、金剛牆、即ち身既に整え終われば土地の不浄を清めて仏法修行の地とするのである。
三、荘厳道場法 この内に二あり、道場観、大虚空蔵、本尊の道場を設ける次第である。
四、勧請の法 この内に三あり、送車輅、請車輅、迎請、本尊を召喚するのである。降神法と同じである。
五、結護法 この内に三あり、降三世、金剛綱、火院、これは諸々の内外の魔障を除く法、修法中に外部又は自分の心中に起こる障りを予防するのです。
六、供養法 この内に三あり、閼伽、華座、普供養、これ殊勝の妙供を以て本尊を供養するのです。
「十八道法」
一、淨三業 自分の身口意の三業を清浄にして、本尊の身口意三密と平等なりと観ずべし。この時の印は、蓮華合掌、真言は「おん・はばはば・きうた・さば・
たるま・さばさば・きつど・かん」自他三業平等清浄の意あり。
二、仏部三昧耶 仏部の諸尊を我が身の上に開顕し身業の障罪を除き福智増進の意なり。印は虚心合掌、真言は「おん・だたがと・なうべばや・そわか」法報応三身如来を発生して、成就円満の義なり。
三、蓮華三昧耶 蓮華部の衆聖を修行者の語業に渉入し、語業清浄、説法自在の義なり。印は虚心合掌、又は指の端を少し屈め蓮華に象る、真言は「おん・ばたまり・なうはばや・そわか」本有の心蓮華発生の意である。
四、金剛部三昧耶 意業清浄、菩提心発得の義なり。印は三鈷印、真言は次のと一同にす。
五、被甲護身 大悲門に出でて一切衆生を利益せんが為に堅固の甲冑を着し四魔降伏の相をなすのである。印は被甲の形、真言は「おん・ばさら・ぎに・はら・ねんはたな・そわか」金剛智火の極めて威耀なる義である。
六、金剛杭 他結又は地界と名づく、結界法である。大地に杭を打ち込み堅固金剛座を作る意を以てすべし。印は火尖金剛杵の形、真言は「おん・きりきり・ばさら・ばさり・ぶりつ・まんだまんだ・うんぱつた」これ堅固金剛の定慧を以て魔を制伏する義である。
七、金剛牆 四方結と言う。自身軍茶利明王と観念し一切の魔を除き善神を招くの意なり。印は牆を四方に廻らすの形、真言は「おん・さらさら・ばさら・はつらから・うんぱつた」これ金剛牆を廻らし諸魔を摧破するの義である。
八、道場観 道場は曼荼羅の義であつて十界の一切がみな一曼荼羅に集まると観ずるのである。即ち器界、楼閣、蓮華、月輪、種三尊等、皆周遍すと想うのである。「青光空輪、黒光風輪、赤光火輪、白光水輪、黄光地輪、金亀、須弥山、七金山大小鉄圍山、八葉大蓮華、広大宮、蓮華台、満月輪、法界塔婆、塔婆変じて大日如来になると観ずる次第がある。」印は如来の拳印であつて理智冥合、両部不二の義を表するのである。真言は「おん・ぼりけん・じんは・らうん」にて胸より喉の中の声とす。牛の吼ゆる如く、三度唱えるべし、「おん・ぼく・けん」は大日如来の三字の真言であつて、法報応三身の真言なり。三身浄土となす義もあるのです。この拳印にて左右の肩、心、額、喉、頂と壇、との七箇所を加持すべし。
九、大虚空蔵 虚空蔵菩薩の徳に依りて諸種の供養及び宮殿楼閣を生ずることを意味し、 印は摩尼供養印にして真言は「おん・ががのう・さんはば・ばさら・こく」これ虚空の如く諸宝を能生し衆生を歓喜せしむるの意なり。次に又二手金剛奉を結び「おん・ばさら・きりら・うん・じやく・うん・ばん・こく」と真言を三遍唱え、印にて地、曼荼羅、上方、額、喉を加持し又口に印を接し供養の意を表す。
十、送車輅 勧請法の一つである。この車を引く尊は仏部にては不動明王、金剛部にては金剛軍茶利、又は金剛童子、蓮華部にては蓮華軍茶利である。印は車を引く形、真言は「おん・とろとろ・うん」
十一、請車輅 本尊の途中行路の具である。前の印を其の儘にして次の真言を唱える。「のうまく・しつちりや・ちびきかなん・たたきやたなん・おん・ばさら・きによう・いかおしやや・そわか」これは三世の諸如来に帰命し奉りて金剛智火の使者を以て召請し奉ると言う義である。
十二、迎請 この迎請の加持に依って本尊は車輅を下りて壇上にに坐し給うのである。印は仏部は仏部心三昧耶、蓮華部は蓮華部三昧耶、金剛部は金剛部の三昧耶印を用いる。仏部の真言は「おん・にのうじきや」二十五遍唱える。蓮華部の真言は「おん・あろりききや」金剛部の真言は「おん・ばさら・とりごれ・きや」これ皆各部の意を表したのである。
十三、結界 蓮華部は馬頭明王、仏部は不動明王、金剛部は降三世明王、各明王の印と真言とを用いるべし。
十四、金剛網 虚空に網を張り、諸魔の入るのを防ぐのです。印は虚空に網を張りたる形、真言は「おん・びさふら・なつらこつれい・ばさら・うんじやら・うんぼつた」これ金剛網を虚空に普遍ならしめて諸魔を防ぎ壇上を擁護するの意である。
十五、火院 憤怒尊の火生三昧にして魔の入るのを防ぐのです。印は三角印、火の燃える形、真言は「おん・あさんもう・ぎね・うんぼつた」智得猛利の火が諸魔を摧破するの義である。次に大三昧耶印を結ぶ、その呪は「おん・しやうきやれい・まか・さんばえん・はんだはんだ・そわか」これは軍茶利結界堅固の義である。
十六、閼伽 閼伽香水である。閼伽は無垢と言い、或は円満と言う。印は宝珠の印にして、一滴の閼伽より雲海の供養を流出する意である。真言は「ががのう・こくうさんば・あさんば」
十七、蓮華座 諸々の聖衆、本尊各々その位に坐し給うと観じ、印は蓮華座印を用いる、真言は「おん・かばら・そわか」行者が金剛座を得て金剛蓮華身を證し学位を得るとの義である。
十八、普供養 六種供養の内の閼伽を除きて他の塗香、華鬘、焼香、飯食、燈明の五つを供養する法である。今その一つずつについて示せば、塗香は本尊に供するものと自身に用いるものとの二つがある。印は本尊の御身に香を塗る形て゜その観念をせねばならない。真言は「ひーた・けんど・はばや・そわか」これ浄香を発生するの義である。華鬘は時の花を献ずるのである。悪しき香りの花は降伏の時以外に用いてはならぬ。鬘とは糸を以て花を貫きたものである。この時の印は華鬘の形で、真言は「のうまり・さまんた・ぼたなん・まか・またりや・びそなきやてい・そわか」これ大悲の鬘より妙好華を生ずる義である。焼香は各部で香が異なる。印は焼香炉の形、真言は「だるま・ためばく・ときやてい・そわか」これ我、焼香を奉るによつて仏の無碍智を得て、この香雲を法界に週遍ならしめるという義である。飯食は香味あり、淨潔で甘甜なるものを用いる。印は虚心合掌、真言は「あらら・からら・まり・なだ・び・まりなてい・まかまり・そわか」これによつて広大豊美なる不老不死の妙食を還したまえとの義である。又奉献の際にこの義を観念すべし。燈明は如来の光明にて破闇の義である。印は燈明印、真言は「たたきやた・らし・はばらねい・はばしやのう・たりや・そわか」この如来の點光は諸々の闇を破し、遍じて虚空に等しいという義である。
次に四智讃、附けて拍掌、金剛合掌、金剛歌、を唱える。「おん・ばさら・さつたそう・きやらか」、合掌のまま肘を伸べて額に安ず、次は法難の調、「ばさら・らたのう・まとたらん」前の印頂より口に至る。又歌を奏す。「ばさら・だるまが・やな」印を胸にあて右に旋転し、金剛合掌してまた頂上に安じ、次に金剛舞を進め「ばさら・きやうま・かろはば」と唱え三度舞儀し、一拍、「かろ」、又一拍、「ば」、又一遍、「ば」初の二度は音なく、三度目に音あらしむ、次に本尊讃、金剛合掌して大慈大悲云々と唱える。次に広大不空摩尼供、これ広大な宝珠より無量の供物を出して供養するの意である。印は虚心合掌、宝形印、即ち万宝をふらずの相形、真言は「おん・あぼろきや・ふじや・まに・はなうま・ばさら・たたきやた・びろきてい・さんまんた・はらさら・うん」これ観念の如く供養せる宝珠は三部諸尊を観照し普く供養をする意である。次に前印を散せずして三力偈、次に祈願句、次に禮仏、次に入我我入観、次に本尊の根本印、次に心中心印、次に正念誦、次に旋転真言、次に字輪観、次に念誦百八遍より千八十遍に至る。この間、本尊の三摩地、即ち定に住す。これらはその加持祈祷の場合にそれぞれ記載すべし。次に普供養の印、迎請印、解界、発遣、三部三昧耶、被甲護身、普禮と前の法を逆に行い出道場の作法を行なうのである。以上が真言秘密の略儀と加持祈祷の儀式である「六法十八道法」の大要である。
大威徳明王護摩の調伏法
不動護摩より格段に強い効果があるとされている。調伏の為の炉の形は三角形であるから三角の炉の護摩壇によって修法を行うことになる。衣の色は怒りと血、炎を表す黒っぽい赤を用いる。そして不動護摩と同じ修法を大威徳明王を本尊として一週間行う。この際、不動護摩の本尊段では108本の乳木を投げ入れたがそのかわりに怨敵を象徴する名前を書き入れた人形を108つ投げ入れて大威徳明王の真言と印のもと跡も残らぬほどに焼き尽くすのです。こうして怨敵は調伏され狂い死ぬか病死するか突然死するのです。
愛染明王の一夜護摩の修法
愛染明王を本尊としその真言と印、そして明るい赤の衣と四角形の炉を用いて護摩を行うと愛染明王の一夜護摩の修法となり、敬愛や恋愛の達成、異性の獲得に驚異的に効果がある。この場合不動護摩の本尊段の乳木108本のところを108の赤い蓮の花にかえて用いて修法する。尚、四角の炉を三角の炉に変えて調伏を行うと敵は修法者にさからえなくなり言うがままになってしまうと言われている。
太元帥御修法
太元帥明王を本尊に行う敵調伏の最大の秘法。「阿叱簿倶元帥大将上佛陀羅尼経修行儀軌」と言う経典に基づく修法。行う場合は完全に下界とは遮断された秘密の場所で秘密裏に行うことが必要である。加持香水の段では秋篠寺の井戸水しか使用できずまた番を決め昼夜を問わず行うことなどかなり厳しい規定がある。大壇での修法を21回、護摩壇の修法を21回、聖天供14回、十二天供7回、神供7回を修するという大法である。その上、巨大な力を秘めているため現在は封印されている。その為詳細不明。修法者でもこの大法を行える者はほとんどいない。戦国時代において徳川幕府を影から操ったと言われる天海大僧正がこの秘法を用いて豊臣家を滅ぼし家康に天下を取らせたと言われています。
野狐放ち法
狐憑きに陥った人間から狐の霊を解き放つ除霊法。九字を切り自身が不動明王と一体となった姿を観じつつ修法を行う。不動明王の印と真言を修した後、剣印で男なら左の足に女なら右の足の裏に鬼の字を5ヶ所に書く。それから額に不動明王の種字を書きさらに狐が放たれるまで真言を唱える。
大黒天法
七福神の一人の大黒天を修する法。財を招き福を呼ぶとされる修法です。憤怒形の大黒天や三面大黒天の本尊を用いて行う。子の刻、子の日に行い内縛印をもって真言「オン・マカ・キャラヤ・ソワカ」もしくは「オン・ミシミシ・シャバレイ・タラガテイ・ソワカ」を1000回唱えること。これを子の日のみ7日間行うことで福を得る。
歓喜天秘法
歓喜天すなわち聖天を本尊とする供養法です。七代の運を一代で使い切るという秘法。その御像を浴油し、菓子を供え、酒を供え、華水を供え、妥協無く供養を行う。歓喜天印をもって真言を唱える。「ナム・ピナヤカシャ・カシテイモカシャ・タダヤタ・オン・ナヤカナヤカ・ピナヤカピナヤカ・タラヤカ・フリタラヤカ・カムカシッテイ・カムカ・カチッタ・ソワカ」歓喜天の修法は高僧以外の人が執り行うべきものではなく、自己の生命をかけて行ってこそ歓喜天の加護を受けることができるのです。
悪人調伏の法
悪人を呪詛する法なり。菅にて人形を作り年と氏名を書くべし。神仏の前にて加持する時、魂を入れるに口傳あり。「おん・おりきりてい・めいりてい・めいわやしやれい・そわか」20遍づつ唱えること。自分信心の仏の真言21遍づつ心経7巻、観音経3巻と「おん・あにちや・そわか」百遍唱え祈祷して人形を切り焼くべし。焼くところに梵字のカイの字を書くこと。焼かずに捨てる法もあり。人を狂気にするときは四辻に埋め、人を殺さんとするには宮の下に埋め、人との仲を悪くするには火中に埋め、一太刀で殺すには墓地に埋めること。
弘法大師正傳船乗法
護身法如常、外五古印にて「捨悪慈善乗船渡海智見龍宮皆令成就」と唱えて、内五古印にて東西南北中央五方に向かい「おん・あうん・しつち・そわか」「おん・ばろだや・そわか」と唱える。この法は弘法大師の直伝にて船に乗るときにおこなえば難船なし。空海自身も長安に遣唐使船で航海したときにこの法も行なったそうです。
大黒天一時千座法
黒豆千粒、洗米千粒を清浄にして供えるべし、護身法、外五古印を結び「七難即滅あびらうんけん」、智拳印を結び「七福則生ばざらどうばん」、「無所不所不至おんまがきやらやそわか」、八葉印を結び「普利衆生おまかきやらやそわか」「皆令離苦得安穩楽世間楽及涅槃祥楽」合唱印を結び「ばんらたらくきりくあく」この様に唱え法をおこなうと開運自在なり。この法は何人にても行い易く貧しきものをして速やかに富ましむる法です。
生霊死霊除金縛法
身体を清浄して不動尊を信心し行なうこと。病人霊障を除くに用いるべし。護身法、九字、五大尊「東方降三世夜叉明王、南方軍茶利夜叉明王、西方大威徳夜叉明王、北方金剛夜叉明王、中央大日大聖不動明王」を唱える。内縛印三を結び「明王の縄にて絡め取り、縛りけしきは不動明王、締め寄せて縛るけしきは、念かけるなにわなだわなきものなり」外縛印を結び「生霊、死霊、悪霊絡め取りたまへたまはずんば不動明王、おんびしびんからしばりそわか」と内縛外縛印を以て一心に行なうべし。さすれば生霊死霊の障りを除き悪魔を降伏さす法である。金縛り法を解くには「ほぐれて解けて不動の縛の縄、あい緩めれば元のけんみちにとけ」これを三遍唱えるべし。
走人足留法
走人(家出人・行方知れず)の足を止めて直ちに家に帰らす法なり。護身法、九字、不動経読経外に口傳あり。「走り人その行く先は真のやみあとへもどれよあびらうんけん」走人の年の数ほど心経を唱えること。
梵字と年と名を九字の中に書くこと。
諸病悉除薬師如来法
{南無薬師瑠璃光如来日光月光十二神将七千夜叉大慈大悲光明灌頂「祈らん人の名を入れ」無始以来業障消除滅衆病悉除身心安楽弁道増進一切吉祥} 手を合わせて真言{なうぼばぎゃてい、はいせいしゃくろ、べいちょそゃほらばあ、あらじゃゃ、たたぎゃたゃ、あらかていさんみゃく、さんぼたゃ、たにゃた、おんばい、せいぜいばい、せいじゃ、さんぼたやたにた、おんばい、せいぜいばい、せいじゃ、さんぼつぎゃら、そわか}七遍唱える。其の時に光の中よりこの呪を説きたりて大地震動して大光明を放ちて一切の衆生の病苦を除き安穏楽を受ける。次に十二神将を唱える事。{なむくびらだいしょう、なむばさらだいしょう、なむめくらだいしょう、なむあにらだいしょう、なむまにらだいしょう、なむしゃにらだいしょう、なむいんだらだいしょう、なむしゃいらだいしょう、なむばごらだいしょう、なむしんだらだいしょう、なむしゅごらだいしょう、なむびからだいしょう}南無日光遍照菩薩、南無月光菩薩、当病平癒身体堅固如意感応守らせ給え。この様に行なえば眼病難産其の他諸病悉除の秘法なり。
三密観法
「中舌及心上月輪有り、其の上に八葉蓮華有り、其の上にえ(ウーン)字を書いて五枯杵と成り光明放って身口意中煩悩不浄を断浄すえええ(ウーン・ウーン・ウーン)」 神仏に向かいてこれを唱えれば利益広大なり。
真言秘密蟲封法
この法を用いれば如何なる蟲も全治すること間違い無し。その法とは、箱の中に五色の幣帛一本、小豆十五粒、米七粒を入れて守護一枚を入れること。
光明真言百遍、あびらうんけん百遍、幣串三寸箱に入れ守りを入れて祈祷すべし、襄倶利尊天信心すべし襄倶利尊天の真言を唱えること。「おん・あんじくべい・しゅ・じかべい・はさらきゃい・きゃさ・じかべい・ばさら・きゃい・きゃらまかゆぎ・じんばら・えい・おん・ばだぼだらけい・そわか・うん・ばつた・そわか・おん・ぼく・そわか」
守護符の九字の部分に蟲の字を朱墨で書き祈祷して箱に入れる。
神仏開眼大法
仏前に向かいて普禮合掌して「おんさらばたぎゃたはんなまんなのきやろみ」三遍唱え。つぎに護身法如常「おん・きりきり・ばさらん・ざった」二十一遍。次に「おん・ざさら・ばさら・たん」二十一遍。「おん・らん」三十一遍。無所不至印にて奉開眼(何神・何菩薩)(今月今日)導師加持に依りて霊徳信心の施主氏子共に有現世安穏未来成仏諸願満足如意長久守護せしめ給え。次に開眼尊の真言百遍。次に「あびらうんけん」百遍、智拳印にて「ばさらだどばん」百遍、五大尊印で「ばんうんたらくきりくあく」般若心経三巻仏眼尊真言「おんぼたらしやにそわか」七遍、次に護身法「穏さらば田たぎやたはんなまんなのきやろみ」三遍、開眼供養青蓮慈悲御眼開き五眼具足せしめ奉る。各五智者四功徳御具足円満 この様に神仏開眼の時この法を用いれば福徳絶大なりの真言秘密の大法です。
軍畧虎之巻摩利支天法
この法は清和天皇が帝釈天に祈りて、ある年の2月15日に摩利支天降り給いて天子にこの秘法を示し給い。その後、天皇家の秘法となる。その後、平家追討の時、後白川法皇より源義経に御伝授された。この秘法之故に平家一門八島、壇ノ浦の海底に沈む。と後白川法皇元暦元年6月4日古文書に記す。
第一、敵の狙いを知る事。八葉印を結び「おん・あにちや・よぐんり・そわか」この呪千遍唱え夢に告げて南に向き唱えるべし。
第二、敵を立つ直に竦ませる大事。拍手を打ち「おん・とりも・くろきゃた・そわか」この呪を千遍づつ毎日唱え36書き丸めて持てば人を竦ませる。殺さんと思う方に向かって投げるなり。
第三、敵に取り囲まれても心安く敵中から出る大事。九字の内外の刀印獅子印を結び「なむ・くていなんば・ぐんば・してんのう」この真言百八書きて持って敵方に投げれば敵目眩み見えず。これを霧法と言う。
第四、「おん・てつりょなんい・そわか」この真言を唱えれば来る敵、外へ逃げて退くなり。
第五、敵に隠さんと思う時。「おん・まりにつてん・いんれい・そわか」この真言を百八書きて丸めてしきりに唱えれば敵に合って敵と肩を並べていても決して見付からずこれを草隠法と言う。
第六、敵と戦う時の大事。二刀印を結び「おん・ぶん・ゆうのう・ちんかなう・そわか」この呪を唱えれば敵竦みて太刀を抜けず。
第七、敵の火責めに逢う時大事。水印剣印を結びと書き「おん・すいりゅうてん・そわか」この真言を千遍唱えれば敵に火責めに逢うても身に少しも障らず。常に唱えれば火災なし。
第八、敵の矢に合う時大事。被甲護身印を結び「おん・せんえんしゃてんどう・そわか」この真言を唱えればその矢、我が身に立たず還りて敵の身に立つなり一心に唱えるべし。
第九、敵に打ち合う時大事。根本印を結び楕円に山絵文字をこの様に黒書きし朱を塗りさらに「おん・じしんざいてん・くしつ・そわか」これを唱えれば敵の目に大勢に見えて逃げ退くなり。
第十、一人にて千万人に勝つ大事。「おん・ていいきほき・そわか」この呪千遍唱えれば千万人の敵と打ち合いするも敵悉く心臆して逃退する。又は百八書きて敵の先に投げれは目が眩むなり。
第十一、羽がい印兩の大指掛けて仰ぎたり敵に負けざる大事。弾指拍手を打ち「おん・ぼつけん」三遍「おん・くさなんしつ・そわか」この呪を千遍唱えれば我が身に傷つかず常に唱えれば怪我なし。
第十二、人殺しても顕れざる法。「おん・そあれりたりた・そわか」この呪を千遍唱えれば人を殺しても顕れず。
第十三、敵を打ちて疵をつけざる法。外獅印を結び「きみみょうにち・てんしほんち・かんぜおんいとしゅうじょうこ・ふしゃしてんげいちねん・しゃこうてきがきいふく・おん・あにちや・うん・らいれいたたらん・そわか」この呪に敵の名と年と書き入れて日に三千遍ずつ七日唱えれば敵疵付く事なし。
この秘法を朱墨で書き記し外獅子印を結んで祈祷すればこの秘法の完成である。但、この秘法は天下極秘て有るゆえ更に神罰の恐れがあるので注意が必要です。この法を唱え難き人は書きてお守りとして平生掛くべしさすれば勝負事大勝利の秘法になり。
観音菩薩の六秘法
色々な観音の中でも最も霊験の高い千手観音の秘法を述べん。
一、名義 梵語では「しやかしらふじや・しやかしやらねいていれい」千手千眼と訳す秘号は大悲金剛と言う。
二、形像 黄金色にして二十七面、四十二臂、臍下に弥陀定印を結び、宝蓮の上に座す。
三、種字 訖利キリク
四、三昧耶形 開敷蓮華、又は宝珠
五、印相 蓮華合掌して二頭指二無名指の頭を叉い二大指二小指を開き立つ。
六、真言 大呪は千手千眼大悲心陀羅尼にて小呪は「ばさら・だるま・きりく」
一秘法:諸悪鬼降伏及び除病の大法、場所は何れにてもよろし、まず両手を相背けて合掌し大母指を前に向けて伸べ浄水又は浄灰を以て身に灌ぎ、後に四方の四角に向けて如法に散布すれば即ち結界となる。
二秘法:人若しくは悪鬼邪魅等に惑乱させられる時は石榴枝柳枝を取り密かに次の真言「なむさつばぼつだたるまそうぎひやなむありや・ばろきていしはらや・ぼだいさたはや・なむはさらはにや・ぼだいさたはやたぢたとひときや・とひはらじやばらにそばか」を千八十遍唱えその枝で患者を打てば急速に平癒する。
三秘法:上記の真言は邪見外道を降伏する事が出来る。日の出の刻、日中、日暮れ時に各々二十一遍づつ上記の真言を唱えれば死後は弥陀の浄土に往生することができ、現世では横死せず悪神の犯す所とならず恐怖に遭うこともない。
四秘法:左手の四指を以て拳を造り次に右手を以て左手の大母指を握り右手の大母指をして右手の虎口の中に在らしめ頭を出し右手の指頭を以て来去せしめ「おん・ぐちぐち・ぐやり・しゃりしゃり・しやりれい・そわか」と言う真言を百八遍唱えると夢中未来を前知すること、悪夢を吉夢に転じる事、日々唱えれば一切の罪と障害を除く事ができる。
五秘法:起立して足をならべ左手の大母指を以て屈し掌中に置き心上に当てつけ次に右手を以て右耳の辺におき頭指を以て来去せしめ「なむにけんた・なむありしやばだ・そわか・なむありじやらそわか・けいいけい・そわか」と真言を唱えれば蛇毒、薬毒を除く事ができる。
六秘法:上記の印と真言を常に唱えれば七世の宿命を知ることができ、刀剣も害するにあたわず、永劫地獄の苦を受けず、善神が常に加護し、流行疫病は直ちに平癒する。
孔雀明王の延命持仙秘法
一、名義 梵語ではマユリと言う。訳して孔雀と言う。密号を仏母金剛と言う。蛇毒を除くを以て本誓とす。
二、形像 肉色にして右手に孔雀尾を持ち左手に開蓮華を持ち赤蓮華に座す、別に異なるものあり。
三、種字 マ
四、三昧耶形 孔雀尾
五、印相 二手外縛して二大指二小指立て合す、これ小指は尾、大指は頭にしてあとの六指は羽であるから真言を唱えながらその六指を扇ぐこれ孔雀の舞うさまなり。
六、真言 「まゆきらてい・そわか」大呪は「のうもぼたや・のうもたらまや・のうもそうきゃ・たにやた・ごごごごごご・のうがれいれい・だばれいれい・ごやごや・びじややびじやや・とそとそ・ろーろ・ひいらめら・ちりめら・いりみたり・ちりみたり・いずちりみたり・だめ・そだめ・とそてい・くらべいら・さばら・びばら・いちり・びちりりちり・びちり・のうもそとはぼたなん・そくりきし・くどきやうか・のうもらかたん・ごらだら・ばらしやとにば・さんまんていのう・なしやそにしやそ・のうまくはたなん・そわか」これを仏母大孔雀明王の陀羅尼と言う。
七、修法 息災及び祈雨に修せられ、又後の行者がこの法を修して飛行の術を得たのは何人も知るところである。この修法は最も秘中の法として一流をなしているのです。修験道山伏派にては最もこの法を尊重しその呪力に依りて持明仙となり延命長寿することを得て、又深山幽谷に住するときはこの呪に依りて一切の障害を免れ極めて安穏を得る。また修行怠らざれば水上歩行、飛行自在を得るものである。
水天龍王の秘密修法
一、名義 龍は梵名では「ナガ」と言い、天龍と龍とに分かれる。一般龍種の主を水天と言う。水天は梵語では「バロダ」と言う。天龍は水天の他に八大龍王と九頭龍王あり。天龍は竜宮という一定の浄土に住して仏法を守護し、世間を利益し、人々を導くを本誓とす。これに反し普通の龍は残虐で阿修羅に属し、或は畜生に属す。
二、形像 西方水天、水中に住し、亀に乗り淡緑色なり。左の手に刀をとり右に龍索をとり頭冠上に五龍あり、四天女妙華を持つ。普通の龍王は天女形で龍索・刀・如意宝珠を持つ。
三、種子 「ア」又は「バ」更に「バン」と言う時は水天を大日如来の化身と観ずるなり。
四、三昧耶形 龍索、如意宝珠、甘露水。
五、印相 内縛して二頭指を立て合わせたるもの、即ち龍索印を普通とする。九頭龍印は二手の大指をくみ、余の八指を散じて合わせて九頭となす。
六、真言 水天の真言「おん・ばろだや・そわか」又は「おん・あはん・ばたや・そわか」九頭龍王真言は「なも・さんまんた・ぼたなん・なか・しやにえい・そわか」
七、修法 祈雨、止雨、海中求宝、海上歩行、航海安全等。 水天の像を造り木函内に安置する。錦嚢で包み左の肘に所持すれば諸願成就する。又水天の印を結び縦横四肘の水壇を造り、壇に四門を開き、北面に水天坐を安じ十六盤の飲食を供養し燻陸香を焼き沐浴して新淨衣を着け北面して祈り、次の真言「たにやた・うたかだいばな・えんけいえんけい・そわか」を十万遍唱えれば淋雨は止み、干天には雨がふり、水中に入るときにこの印法を行なえば水を踏むこと地と異なることなし。
摩醯首羅天の男女招呼秘法
一、名義 梵語ではマケスラ、訳して大自在天と言う。伊舎那天はこの天の忿怒身なり。
二、形像 八臂三眼あり、白牛に乗る。
三、種子 「マ」 「マとロとティ」の字は金剛部段の種子なり。
四、三昧耶形 三戟。
五、印相 三昧の手を伸べ、虚空地輪、相加える三戟印なり、又、左手大指と小指とを捻じ余指を立てて三戟印の形をなすもの、或は外縛して二大頭二小指を立て合せたる三股杵印を用いる。
六、真言 「おんまけい・しつばらや・そわか」
七、修法 この法は単独に修法されしことなきも、男女招呼、特に女を得んとする時に用いれば大なる効果を見るぺし。若き女人を欲せば七日間全く飲食せず一日中この天の印を結び真言を唱え、印の中指上に酥蜜を塗り、求むる所の女人の名字を言いて急々来たれと唱えれば七日後に即ち来たりて門を叩く。夜時の作法は人に知られないように行なわなければならない、又、日中の作法も牢の如く門を閉じ人に聞かれない様にしなければならない。又、泥を以て四個の像を作り、天の像の如くにし、長け三四指とする、一を闍夜、二を毘闍夜、三を阿自多、四を阿婆羅自多と名づける。又泥でこの天の像を作り中央に像を安置する、右に闍夜と毘闍夜を安置し左に阿自多と阿婆羅自多を安置する。本尊の前に火櫨を点け、猫の糞及び人の爪の甲と人の頭髪の三種を取り、相混ぜて焼きてこれを供養する。数々印を結び並びに呪を唱えし折に求むる所の女人の名字を言いて急々来たれと、かくのごとくすること七日に至れば即ち来たりて門を叩き訪れて欲する様に如何様にも従う。
鬼子母神の現身髑髏使役秘法
一、名義 梵名はカリティ、食鬼と訳し又母神とも言う。
二、形像 夜叉形 憤怒形 天女形となる。
三、種子 「ウン」「キツリ」など、名の頭字、天部の通種字、
四、三昧耶形 刀、星形、吉祥葉、宝珠、賢瓶。
五、印相 左右五指を伸べ、右掌を左掌の背に重ね、左手を握る。是を請召の印とする。降伏の印は被甲の印の如く、無名指の頭を大指の虎口に出す。
六、真言 「おん・どと・まり・かきてい・そわか」
七、修法 この尊は下劣の夜叉なればその修法の外道に類似するものあり。鉱物等の発見を求むるなら身心端麗なる童女に沐浴清浄ならしめて鮮潔の衣を着せ香気ある華を両手で抱えて壇辺に立たしめ、行者は次の真言を壱百八遍唱える。「のう・もらちのうちらや・だもがりちえい・まかやきやしてい・あばきやえい・さつちえいはぢねい・ぼだばりやえい・じやだかりにえい・はんさほちら・しやたはりばえいひりからえい・ばきやたさばさちば・のうばりくきりたえい・ばきやばんかりちえい・きりたいやはべいたいしやめい・ぼたていじやばにち・さばらたえい・ばがばんぼらきしやし・ばきやばんもしたし・はらほちら・びきんのうびのうやか・ぼりはさんばにたとらだち・まんちらばだほたち・からしやえい・ちにやた・しばたい・ばりばたい・ねいちからかつち・さつばきやばからだえい・そわか」唱えてウコン香水を加持して童女の身上に灌ぎて真言の句の中に救願の事を加える。さすれば童女の口から鉱物の所在を説く。この他、財宝を求むる法、愛敬を得る法、夫婦和合の法、治病の法、除毒の法、安産祈願の法なども全て前記の印明を結誦することによって成就するものなり。また人を呪うときは髑髏を供え大呪印契をもって加持すること二十一遍、又は壱百八遍にして、密かに相手の宅内に置けば凄まじき呪の効果があるであろう。
茶吉尼天神変不可思議秘法
一、名義 梵名ではダキニ、常に人(人黄)を食らう夜叉であったが如来様に悟され天になった。そこで死人の人黄のみ食らうことの許しをもらい天の中でただ一神、人の生死が六ヶ月前に分る術を授けてもらったのである。世に言う死神は茶吉尼天のことが死を待つ神として死神になったと言う説もある。
二、形像 炎魔天に侍せる茶吉尼天は童子形で袋を持ち、普通には赤黒色の餓鬼形なり。
三、種字 「きりく」又は「か」
四、三昧耶形 人黄、髑髏、袋、皿、袋には人黄を盛る。
五、印相 左掌をくぼめて皿の形と観じこれを舐めると勢いをなす。此の天の三昧なり。
六、真言 「なも・さんまんだ・ぼたなん・きりく・か・そわか」
七、修法 四種法に通じ、ことに福徳を求むるに行ぜられるのを常とす。修法には先ず壇上に訖利字あり、字変じて人黄となる形円し、人黄変じて茶吉尼となる。茶吉尼変じて文殊菩薩となり菩薩変じて又茶吉尼となると観ず。 此の天にして功力なきときは大黒天根本印呪を用いてこれに召請の句を加え茶吉尼降伏の本誓にもとずき十万遍に満れば茶吉尼は常に行者に侍してその用に従い如何なることでも全てにおいて従順に従うのである。但し、祈願にあたり行者は自己命終の時に自己の人黄を茶吉尼天に捧げることを誓わなければならない。自分の命と引き換えに行なわれるため一時封印されていたこともあります。それほどこの行法は善悪共に効験あまりに凄まじきゆえ秘中の秘として扱われている大秘法なのです。
秘法はまだまだ沢山ありますがこれからも随時掲載していきます。これらの秘法は本来、門外不出で重要な箇所は口傳で教えているため中々全容が掴めないのが現状です。故に誤りが有る所があるかもしれないがご了承下さい。尚、これらの秘法は神仏秘法大全集等の古文書等を参考に記載されています。