第1話 脱獄

夏が終わり、9月にはいった。
秋風の吹く涼しい夜。
ここは東京の西にある、小金井刑務所。
ここには、今まで何人もの極悪犯が収容され、出所していった。
野村慶次郎も、そのひとりだ。
野村は、96年11月、埼玉県の与野市で、当時高校生だった愛人の女性を殺害。友
人の七尾俊と協力
して、遺体をむきだしのまま、綾瀬川に捨てたのだ。
遺体発見されたのは、12月初旬、中川で、釣りをしていた人が見つけた。発見され
たとき、女性は全裸の状態で、あちらこちらに刃物で切りつけられた傷があった。そ
こから事件が発覚。女性の住んでいたアパートには、ベッドに血痕がたくさんついて
いた。さらに、鑑識の結果、野村の指紋も見つかり、殺人と死体遺棄の疑いで逮捕さ
れた。
調べによると、野村は、11月27日深夜、女性のアパートにあがりこみ、無理矢理
女性の服を脱がしてベッドに倒したところ、女性が抵抗したため、台所にあった包丁
で数カ所切りつけた。女性は即死。野村は、友人の七尾を呼び、遺体を車で運び、綾
瀬川に捨てたのであった。
取り調べの後、七尾も死体遺棄の疑いで逮捕。七尾も容疑を認めた。
1年後、2人は裁判にかけられた。七尾は、死体遺棄の手助けのみの罪だったので、
懲役4年と執行猶予2年。一方殺人も犯した野村は、懲役13年の判決であった。
七尾は、今年の6月に出所していた。
しかし、野村は、まだ刑期9年残っていた。

今日も、作業を終えて、他の受刑者はぐっすり眠っていた。しかし、野村は眠れな
い。
(このままじゃ、身がもたねぇ。なんとしてでも脱走してやる!)
そして、野村は、ポケットに隠し持っていた拳銃をだした。
そして、窓についている鉄の棒に向けてダン!ダン!と、何発も撃った。
まわりの受刑者は、その音で目を覚ました。
「何だ?何の音だ?」
「野村の部屋からだぞ!」
「おい!久野!何があったのか見てくれ!」
野村の部屋の向かいの部屋にいる受刑者久野は、野村の部屋を見た。
ちょうど、野村は、窓の棒がとれたので、脱獄の準備をしていた。
「た、大変だ!!野村が脱獄するぞ!!」
久野が叫んだ。
「な、何だって!?」
ちょうど、音に気づいた監守が、急いでかけつけた。
「どうしたんだ!?」
「野村が、脱獄しました!!」
「何だって!?」
監守が野村の部屋を見ると、既にからっぽだった。
「こりゃ・・・大変だ!!」
監守は急いで刑務所長に報告に行った。
ここから、野村の脱獄遊戯(ゲーム)が始まる。


次のページ  小説の部屋