「あぁ・・あの山?あの山にはたしか多くの種類の薬草があるとかって・・。
柳娟の母は、柳娟の指指す方へと目を向けた。
「ねぇ。ところで、あの山はなんていう山なの・・・?」
康琳は、父に向かって問いかけた。
「えぇ〜と・・あぁ。そうそう。たしか鳳恵山っていったっけかな?
たしか、あの山には、昔、鳳凰・・朱雀が下り立ち、なにも恵まれなかったこの
紅南国に、朱雀はたくさんの民が恵まれる豊かな国にしてくれたという伝説が
あったような気がしたんだが・・。」
父が、柳娟と康琳の顔を見て語った。
そして、『紅南国』というのは、柳娟たちの住む四方の南にあたる国だ。
「・・・私・・なんか行きたいなぁ〜・・・。」
康琳は、鳳恵山という山を見つめ、目をキラキラと輝かせた。
「僕も・・ねぇ。父様!母様!あの山に行きたいっ!兄貴もいいだろっ?」
柳娟は、ニッと笑い、笑みを見せた。
「別に、僕はいいよ。」
呂侯も、ニコッと笑って柳娟を見た。
「りゅ・・・柳娟!!康琳!!今日は・・今日はお止めっっ!!」
皆が笑みを見せ合っていると、柳娟達の母が、急に血相をかいて言い出した。
柳娟達は、唖然とした顔をした。
「ど・・どうしてっ?!母様っ!」
柳娟が言い出すと、母はいった。
「あのね。柳娟。今日はあの鳳恵山に住む妖怪達の縁日って話なのよ!?もしも、
妖怪に襲われたらどうする気?!!」
「・・・・・・・・・っ・・!!」
柳娟はきゅっと唇をかみ締めた。
「そうなのか・・・。柳娟。諦めなさい。まだまだ行ける時なんて十分すぎる程あるだろう・・?」
父は、心配そうに柳娟に声をかけた。
「そ・・そうだよっ!柳娟っ!妖怪に襲われたらひとたまりもないじゃないかっ!」
呂侯は、柳娟の悔しそうな瞳を見て、ガクガクと足を震わせながらも説得させた。
「兄様。山なんていつでも行けるじゃない。私も今日には行きたいけど、妖怪が
いるんじゃ、話にならないもんね。」
康琳さえも、柳娟を説得した。
「うん・・・分かった・・。諦める。でも―・・・・。」
柳娟は、最後に「でも。」という言葉をいった後に、ポソッと何かを呟いた。
 
 


            前のページ     次のページ                 小説の部屋へ