9月27日(土) 青森県深浦

明け方、すごい雷で目を覚ました。
一応屋根の下にいるのだから落ちることはあるまいと、テントのなかでじっとしていた
のだが、考えてみればこのテントのフレームはアルミニウムだ。
そう思うとなんとなく恐ろしくなり、テントから這い出して少し離れたところにしゃが
みこんで雷が通り過ぎるのを待つ。
雷はかなり近いところに来ているようで、光るのと落ちる音がほぼ同時に聞こえる。
ああ、ひょっとしてここで一生を終えることになるのだろうか、
などとずいぶん心細いことを考えていたら、外から一匹の蛙が飛び込んできた。
ん、雨宿りか。まあ、ゆっくりしていきなされ。
と、すっかりここの主になったような気分で話しかけていたら少し気持ちが落ち着いて
きた。
しばらく蛙は同じ場所にじっとしていたが、不意に向きを変え闇の中へ消えていった。
すると雷が遠くなり、あたりに静けさが戻ってきた。
ああ、これで一安心だ。
わたしももう一度テントにもどり、再び眠りについた。

今日は変な天気で、雨が降って雷がなったかと思えば、陽がさしてきてとても気持ちい
い天気になる。それを何度も何度もくりかえす。
晴れたときにはとても気持ちがいいので、芝生にこしかけてぼんやりと海をながめる。
雨が降ってきたときは、テントに入ってラジオを聞く。その繰り返し。
そんなことをしていると、もう動く気がすっかり失せてしまった。
食料も買い置きがあるし、脚も少し休ませたいので、
今日はもう一日ここで過ごすことにしよう。

テントの中でいつの間にか眠ってしまって目覚めると、
何やらがやがやと人の声がする。
なんだろうと思ってテントから這い出すと、数人のおじさんおばさんがバーベキューの
道具や材料を運びこんでいる。
「ああ、すいません。昨日雷がすごくて炊事場の中にテントを運んでしまって・・・」
とか言っているうちにどんどん人がやってきて、結局20人ぐらいになった。
その20人の人たちは全員カメラと三脚を抱えており、
聞いてみると秋田のカメラクラブの人たちだそうで、 日本海の夕日を撮りにきたという。
みんな荷物を置くと、雨が降っているにもかかわらず、
三脚を抱えて海辺へ散っていった。
陽が落ちるとバーベキューが始まり、わたしもそのなかにまぜてもらった。
秋田でカメラ店の店長をしているSさんとしばらく話をしたのだが、
Sさんもかつてバイクで旅に出たことがあるとのことで、
旅人と社会とのかかわりなどについて少し話をした。
あたりが真っ暗になった頃、バーベキューも終わり、
おなかが減ったらどうぞ、と野菜をすこし置いていってくださった。
どうもごちそうさまでした。
ところでSさん、傘忘れていったんですけど、
どうしましょうかね・・・・・・

本日の走行距離 0.00km
宿泊地 青森県深浦町行合崎野営場