さて、日本縦断自転車旅行に向けてトレーニングが始まった。
家の近くを通っているサイクリングロードを毎日少しずつ距離を伸ばしながら走る。
10ｋｍ、20ｋｍ、30ｋｍ・・・。
うん、まだいけるな。楽勝楽勝。
40ｋｍ
ん？ちょっとしんどいが、まあ大丈夫。尻が少しいたいな。
そして、いよいよ50ｋｍ・・・。
だ、だめだ・・・。
し、しんどい。私は道端に座り込んでしまった。
こんな平坦な道を、しかも荷物もなしで、なんでこんなにしんどいんだ。いくら体力がないとはいえ、こんな50ｋｍぐらいで・・・。何かが間違っている。しかし、それが何かがわからない。あーあ、日本縦断なんてやめちまおうかな・・・。
などと考えているころ、一本の電話が入った。
「今度、自転車で琵琶湖一周しない？」
世界一周冒険サイクリストのN氏であった。
「日本縦断の練習にもなると思うし、自転車の工具の使い方やキャンプの練習も兼ねて２泊３日ぐらいで。どう？」
「うーん、琵琶湖一周って何キロだっけ。」
「２００ｋｍぐらいかな」
げ、200ｋｍ？家から琵琶湖まで30ｋｍほどあるから、合計で260ｋｍか。3日間で行くとして、一日で、えーっと90kmか。まだ自転車買ってから最高でも50ｋｍしか走ったことないのに。いきなり90ｋｍ・・・。
「ごめん、ちょっと考えさしてもらうわ」
ということで、いったん電話を切り、地図を見て検討。
まあ、琵琶湖の周りだからほとんど平坦コースだな。平均時速15ｋｍで走ればだいたい6、7時間か。でもまだけっこう暑い時期だしなあ。（8月の下旬だった）
と、いろいろ考えたのだが、ここで躊躇していては日本一周なんてできるわけないな、と思いなおし、再びN氏に電話。
「やっぱり行きます」
「あ、そう。それじゃ・・・」
ということで、持ち物、集合場所、時間などを打ち合わせる。
打ち合わせをしながら、私は心の中で思っていた。
「あかんかったら途中でやめたらええわ」
そして、われわれは琵琶湖一周自転車の旅に出たのであった。 |