CONTAX G1

1994年に発売されたレンズ交換式AFレンジファインダーカメラ。こういうカメラは、今のところこのCONTAX Gシリーズしか存在しないという孤高のカメラである。
このG1は、発売された当初、レンズの良さとデザインの良さで話題が沸騰したものだ。ある評論家が、「数年後には市場のカメラが、ほとんどこのカメラのような白いボディデザインになってしまうのでは」というようなことを言っていた。例を挙げればきりがないが、確かにこのカメラ以降白いボディのカメラが増えた。それほどこのカメラのデザインは魅力があり、影響力があったということだろう。
私も、発売当初からこのカメラが欲しくて欲しくてたまらなかったのだが、経済的な理由から手に入れることが出来なかった。2年間かけて金を貯め、1996年にようやくレンズ3本(28mm、45mm、90mm)とともに手に入れたのであった。しかし、それからまもなくして新型のCONTAX G2が発売される。たった2年で新型が出たのには理由があった。G1はにはいくつかの欠点があったのだ。
欠点の一つ目は、フォーカスが合いにくいこと。特に望遠の90mmレンズを使ったときに合いにくいことが指摘されていた。さらに、このカメラは一眼レフのように、レンズから入ってきた像をそのまま見ているわけではないため、ピントがどこに合っているかが確認できないのだ。ファインダー内に、非常におおざっぱな距離目盛りがついているのだが、人間の目に合わせたはずのピントが耳に合ってしまった、というような場合確認のしようがないのだ。これは、ポートレート等を取る場合には決定的な欠点になる。欠点の2つ目は、ファインダーが見にくいこと。取り付けるレンズによってズームする立派なファインダーがついているのであるが、像が小さくて見にくいのだ。この手のカメラを使う人はどうしてもライカと比べてしまい、その見えの悪さから「撮影意欲がそがれる」というのである。
 私は、ポートレートはめったに撮らないし、ファインダーの見えなどたいした問題ではないと考え、結局このカメラを買うことにした。
 買ってから1〜2年はこのカメラをよく使った。1997年の日本縦断自転車旅行のメインカメラもこのカメラであった。ただ、使うとともに気になることも増えてきた。どうもこのカメラで撮ると、いい写真が撮れないような気がするのだ。もちろん自分の実力もあるわけだが、自分が持っている他のカメラと比べて、気に入った写真が撮れる確率が低いような気がする。レンズはいいはずなのにどうしてだろう。いろいろ考えてみたのだが、どうも先ほど挙げた欠点の2つ目、ファインダーの見えがどうも影響しているように思えてきた。一度気になり出すと、そういうふうに思えてしまって、撮影するときに意識してしまい、撮影に集中できなくなってしまった。そして、次第にこのカメラを手にする機会が減っていったのだ。
 一度、自分の心から離れてしまったこのカメラを再び使い出したのは今年(2002年)の1月であった。何気なく、コンパクトカメラ系のBBSをチェックしていると、「大阪のKカメラ店で、CONTAXモニターセールをやっていて、ビオゴン21mm 40000円で買えるらしい」という書き込みを見つけた。このビオゴンというレンズは、写りがものすごいといわれていて以前からあこがれていたのだが、定価が120000円、中古でも、70000円程度するということで、まったく手のでないレンズだったのだ。それが40000円。すぐに予約を入れ、手持ちのレンズを処分して金を工面し、数日後にはこのレンズを手にしていた。
 このレンズが今までのレンズと異なっているのは、あまりに広角のためカメラに内蔵されているファインダーが対応しておらず、ストロボのアクセサリーシューにファインダーを取り付けて使用するのだ。このファインダーはなかなかよくできており、内蔵のファインダーより遙かによく見える。これは気持ちがいい。
 さっそくモノクロフィルムを付けて撮影したところ、その写りの良さに驚いた。ものすごくシャープ。そして、美しいコントラスト。プリントした写真に思わず見とれてしまった。何気なく撮った写真が、ものすごく輝いて見えるのだ。
 これはすごい、ということで、私は再びCONTAX G1を持って撮影に出るようになったのである。すると、気になっていたファインダーが気にならなくなり、他のレンズも使うようになってきた。というわけで、35mmカメラの中では、今もっとも出番が多くなっている。

このG1以外にも、コンタックスにはちょっと癖のある面白いカメラがいくつかある。それが、写真を撮る者の意欲をそいでしまったり、逆にとてつもない魅力になったりする、不思議なブランドである。いろいろと批判の多いCONTAXでもあるが、私はこういうカメラを作る京セラというメーカーがあることをとても面白いと感じる。がんばれ、京セラCONTAX!!

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