テゥ

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 テゥの、悲鳴?

「いやよ、いやだって言ってるのに! どうしてわかってくれないの!?」

 僕は混乱していた。動揺もしていた。信じられなかった。
 あのテゥが、こんなに取り乱すなんて。
 ひょっとして、僕はとんでもない勘違いをしていたんじゃないか?
 一番クールに見えた。それも理由の一つだった。
 いつもクールで落ち着いていてちょっとプライドの高いテゥ。
 そう思ってた。でも……
 ジゼルはなんと言っていた?
 テゥは情熱的なところがあると…
 それと同時にもろい部分もあると…
 そう、言っていたはずだ。
 こんなにも激しくて純粋であまりにももろいテゥ。
 ………失敗した。
 失敗した失敗した失敗した。
 こんなに、傷付けるつもりじゃなかった。
 いや、わかっていたハズだ。傷付けるだろうことは。
 わかっていて、利用した。

「わからない。どうして? やることがあるなら、それこそ私を利用すればいい。
 あなたが世界から消えるなら、その時まででいい!」
「……」
 答えられずにいた僕に、さらにテゥが言葉を投げかける。
「足手まといにはならないわ!
 本の一冊くらい、鞄の中に………私が邪魔なの?」
 ふと、テゥの声の調子が落ちた。
「それとも、……一緒にいるのも嫌ないくらい……私のことが嫌いなの?」
 声が、震えていた。
「嫌いじゃないよ」
 嫌いなわけがない。だったら最初から選びはしない。
 ああ、やはり僕はあまりにも不誠実だ。



 ・連れていく。

 ・それでも一人で行く。






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