序品第一(一)

文殊菩薩よ   答えませ   この不可思議は   何故ぞ

天に花降り   地は踊り   眉間の光      放ちては

東方の星    万八千    手にとるがごと   見ゆるなり

何れの星も   厳かに    仏の道を      求めたり

人の命の    あるところ  仏道こそは     光なり

このみ光を   さし措いて  何処に幸を     求めんや

あの星も亦   この星も   仏を得たる     星はみな

幸ある星と   言うべけれ  文殊菩薩よ     願わくば

今日の不思議を 解きたまえ  われひと共に    歓ばん

 

序品第一(二)

遠き昔の    その昔    日月燈と      名づけます

仏この世に   出ませり   「真理一つ」と   解き明かし

忽ち禅に    入りたもう  その時なりき    同じこと

空より花の   降り灑ぎ   地は踊るごと    震うれば

眉間の光    東方の    万八千の      国々を

隅々までも   照らしけり  そのとき仏     み声あり

妙法蓮華の   み法をば   醇々(じゅん)として 説きませり

稀有のみ法に  人々は    手を取り合うて   歓べば

仏寂かに    のりたもう  「今宵ぞ我の    終りなる」

仏なき世を   懇ろに    徳蔵菩薩に     託しては

まこと中夜に  逝きませり  悲しけれども    これも亦

すべて仏の   定めなり   されば今日     み仏は

妙法蓮華を   説くならん  汝等深く      心せよ

み法に遭うは  稀なこと   仏の声に      待ちまつれ

甘露の雨に   浴(ゆあ)めかし 仏のみ子と     生まれかり

諸人今当知 合掌一心待 仏当雨法雨 充足求道者