「見るものがないのなら、目を捨てよう。」 夢を食べていた。ただ食べていた。しかし夢はどんどんなくなった。人々は夢を見る事を忘れた。 暗黒が訪れた。 一人の男は云った。 「見るものがないのなら、目を捨てよう」 もう一人の男が云った。 「食べる夢がないのなら、口を捨てよう」 風間少佐が捨てたのが目で、武藤中尉が捨てたのが口だと思ったんですが、確か(^^;)。 舞台の左右に両官が立ち尽くし、"虚無"を感じさせるオープニングに思えました。 |
「食べる夢がないのなら、口を捨てよう。」 ふと、絶対的な光が見えた。 「あの光はなんだ。…嗚呼、そうだ、私は目を捨てたのだ」 ふと、絶対的な気配を感じた。 「其処に誰か居るのか。…嗚呼、そうだ、私は口を捨てたのだ」 ちょっと怖いシィン。 私は京極夏彦氏の「魍魎の匣」を思い出しました(ラストで久保が我に返るあのシィンね。怖いんだよねぇ…あの"気付く瞬間"ってのが)。 生でもなく死でもなく、ただ何処かの狭間でゆうるりと存在していたものが何かに気付いた、そんな印象でした。 |
………ぶっちゃけ話。 この辺のくだりは京極ファンはかなりすんなり頭に入るハズ(笑)。 元帥の仰ってる所の「言葉による創造と破戒性」ってのは、京極堂が云う所の「呪」の理屈と同じなんですよねい。 しかし元帥の方が数段怖いよーと思うのは、やっぱ元帥のあのドスの聞いた通る声で淡々と、かつ、ぅわッと云われるからです。リアル効果恐るべし(泣笑)。 「針」が語りに出てきた時は正直「ひーっっっ(^^;)」と思いました。だってどー転んでも、穏やかな解決に向かうアイテムとは思えないじゃないですか(笑)。 目があるから疑問が生まれ。 口が在るから人との関わりが生じ。 耳があるから他人の言葉に耐えられなくなる。 …これってこー云われちゃうと、身も蓋も無い暗黒トライアングルなんですよねい。しかもこーきれ〜に決まっちゃうと否定出来ないところがまた痛い痛い(^^;)。←抜けらんない卍固めかまされた気分とでも申しませうか。 ………てゆーか、この手紙を諾々と受け取っちゃった少年の行く末はかなり考えたくないですな(^^;)。 なんてゆーか、「それまで意識しないで出来ていた情報の取捨択一能力」を眼前で引っこ抜かれた訳でしょう。 ………はっきり云って言葉の力技です、死に神恐るべし(しかもこのくだりを笑顔で云うんだよあーっはっはっはっはっ怖ぇーーー!!!・泣きダッシュ)。 カテゴリーとしては"ダーク・ファンタジー"な印象でした。 全体に、寂びて旋律が歪になったオルゴールが流れている雰囲気。 ………"心優しき死に神"を語る元帥の背後には、巨大な鎌のシルエットの幻影が見える様な気分でしたさ。 そんでもって、実は私も記憶が定かでないので自信が無いのですが(^^;)。 最初の贈り物って紙粘土で無くて「木の板」でしたっけ?? その上に紙粘土で恐竜作ったんでしたっけ?? この辺がヒジョーにワタクシ曖昧です(^^;)。覚えてる方居ましたら、こっそり優しく教えてやってください(^-^;)。 ちなみに。 個人的趣向で云うなら、この話はワタクシ、けっこー好きです。 死に神が死に神たらんと、割と王道なテイストで描かれてますし。 下手にキャラクターとしてかっちりしてないぶん、「死に神」と云う「意志の側面」だけが静かに綴られてて、好きです。 |