第10回Ryu杯レポート


最終更新:2003年10月13日
第10回Ryu杯のレポート(記憶とメモを中心に書いているので、間違いを見つけたら即座に指摘してください。)
参加者は102人。参加者が100人集まるかどう か、あるいは予選通過枠96人の定員割れも懸念されていたが、やはり10回の歴史のある大会だけに多数の参加者が集まった。

1R「ペーパー」
ペーパー1位は原田さん。巻き起こるマギーコール。関西では「NScup turf」、関東でも「そばばばーん」の小野コースでペーパー1位を取ったことがあるものの、100人以上が参加する大会という意味では実質的に初めてのポールポジションとなった。2位はヨーさん。原田さんに負けたのが不本意という感じ。3位は秋田さんで、「あまり押さない人に負けたので悔しくない」と不適な発言。4位の横田さんも「マギーごときに負けたのが悔しい」と、皆が原田さんに言及していたのが面白かった。
2R「1○1×」
優勝経験のあるノビさんの他、日高さん、布川さん、杉山さんなど、数多くの強豪が一瞬で敗れ去った。トーナメントの怖さ。
3R「3ポイント先取」
永井さんが上野さん(8位)に勝利するなど、下克上が続出。石野さんもここでの敗退となった。
4R「タイムレース」
安藤さん対古川くんという対決が実現し、延長戦の末に古川くんが勝利。
5R「ジャンル別グランプリ」
「文歴」「社会」「スポーツ」「芸能音楽」「科学」の5ジャンル×2セットで合計10セット。各セット1○1×で、1抜けから順に10・8・6・5・4・3・2・1がポイントに加算される。10セット終了時の合計ポイントが対戦相手よりも多ければ勝利というようなルール。 対戦は、8組16人の対戦が同時に行われる。新旧織り交ざった面子が出揃い、どの対戦も非常に深いものなった。
対戦組ごとに振り返っていくと、井上さん(33位)vs加藤さん(16位)は加藤さんが「モアッサン」で10p獲得するなど着実に点数を重ねて勝利。
ノボリさん(9位)vs深澤さん(25位)は、ノボリさんが堅実に稼いだのに対して、深澤さんは誤答が重なったため点数が伸びずに敗退。特に深澤さんは「ロン」「ティボー」の2択を外したのが痛かった。ノボリさんは苦手ジャンルがないという点が、こういう形式で強みになったのでしょうか。
古川くん(28位)vs石貫さん(12位)は、古川くんが「ユビュ王」で10pを獲得するなどするも、手数で上まった石貫さんが勝利。
若林さん(52位)vs井田さん(29位)は、序盤井田くん優勢で進んでいくが、若林さんが2セット連続で10pを獲得し、大接戦に。最終セットで「ヘリコバクター・ピロリ菌」を正解した井田さんが勝利したが、若林さんがこのラウンドを最も盛り上げたプレイヤーであったことは間違いない。
秋田さん(3位)vs須藤さん(78位)は、須藤くんも健闘したものの、絶対的な手数の差によって秋田さんの勝利。秋田さんはタイムレースの石野くんい続いて10代のルーキーと対戦することになったが、それが逆にやりにくそうだったのが面白かった。
小野さん(75位)vs田中さん(27位)は、田中さんが何回かの誤答に苦しんだものの、正解も積み重ねて勝利。小野さんは最終セットで逆転を狙ってランプを付けるも、「アパトサウルス」を導けずに敗退することに。小野さんはビデオ撮影を務めながらの参加だったのだが、ベスト16まで残ってしまって(?)撮影が大変そうだった。
ムレさん(7位)vs大村さん(10位)はハイレベルな激戦となり、最終セットまでもつれたが、最後は大村さんが「糸川英夫」を正解して勝利。ムレさんもコンスタントに正解を重ねて特に大きな失敗もなく、他の対戦なら余裕で勝ちぬけていたのだが、いかんせん対戦相手に恵まれなかった。ムレさんと大村さんは昨年の法政オープンでも対戦しているのだが、今度は大村さんがリベンジした。
高山さん(15位)vs新井さん(31位)は非常に拮抗した展開となり、同点のまま最終セットに。最後は「ガレ」(海王星を発見)を正解した新井さんが勝利することとなった。この対戦が最後まで決着のつかない組となったのだが、1点を争う攻防は非常に見ごたえがあった。
準々決勝「連答サバイバル」
ポイント10−10からスタートし、正解すれば相手のポイントを減らずことができる。2連答で−2、3連答−3、4連答−4と減らせるポイントが増えていく。誤答は1回目−1、2回目−2、3回目−3となる。1対戦20問限定。
第1試合は加藤さんvsノボリさん。 8年前(!)の全日本準決勝で対戦しているという2人。その時は加藤さんの勝利という結果に終わっているが、ノボリさんは8年越しのリベンジを目指す。1問目「青龍寺」(朝青龍の名前の由来である高知県の寺)は、スルーなりそうなところを加藤さんが正解。加藤さんは「カーマスートラ」「ポアンカレ」も正解し、3連答。ノボリさんは次の「佐藤忠良」(彫刻家)を正解して一旦は失格を回避したものの、2問のスルーを挟んで出題された「テノチティトラン」を誤答してしまい、再びピンチに。ここで加藤さんが「エビングハウス」「ぬらりひょん」と再び連答し、結果的には9−0という大差で準決勝進出を決めた。
第2試合は石貫さんvs井田さんの対決。1問目「ミンキパ」(15歳の最年少でエベレスト登頂に成功したシェルパ)はスルー。2問目「西郷札」を石貫さんが正解すると、「三山喜三郎」(ウルシオールの命名者)を井田さんが正解、井田さんが「蜘蛛女のキス」「ダークマター」(暗黒物質)を連答すると石貫さんも「石渡茂」(江夏の21球)「ポンテベッキオ」を連答するという全くの互角の展開。しかし、ここから井田さんが「団子坂」(D坂のモデル)「アナフィラキシー」を連答し、石貫さんを追い詰める。石貫さんは次の「カンプ・ノウ」(FCバルセロナの本拠地)を正解するが、井田さんが「川田龍吉」を正解して残り1ポイント。更に「星室庁」(イギリス絶対王政の特別裁判所)「エルコンドルパサー」(「コンドルは飛んでいく」のスペイン語タイトル)がスルーとなり、残り問題数が苦しい状況に。結局、19問目「スーパークリーク」は石貫さんが正解したものの、最終問題「加藤悟(さるとりorさとり)」(インスタントコーヒーの発明)は井田さんの誤答となり、2−1で井田さんの勝利となった。
第3試合は秋田さんvs田中さんの、勝抜杯でも準決勝に進出している2人の対決。1問目「大湊田名部市」(むつ市の旧称)は田中さんが正解し、2問目「博光丸」(蟹工船の舞台)は秋田さんが正解。3問目「八木節」を田中さんが誤答したところで、秋田さんが「サルコー」「マイケルソン・モーリーの実験」を連答し、リーチ。田中さんも反撃を試みるが、「中国の赤い星」(中国共産党の実態を初めて世界に紹介)に対して「エドガー・スノー・・・」と著者しか出てこないままタイムアップとなり、誤答。秋田さんが次の問題「ミドハト・パシャ」を正解して勝利。接戦の予想もされたが、7問での短期決着となった。
第4試合は大村さんvs新井さんの、「天(10)」における「OBA−Q」の6番手・4番手対決。大村さんが「六角紫水」「フォスベリー」 と素晴らしいポイントで連答。新井さんもランプを付けるが「ドゥルシネーア・デル・トボーソ」(ドンキホーテの姫)を誤答。大村さんは「ハノイの塔」「ララ」(アジア救済連盟)と連答を続け、わずか5問で準決勝進出を決めた。
・準決勝「テニスクイズ」
15−30−40とテニスと同じ要領で得点が加算されて行き4問正解でセット獲得。40−40でデュース。3セット獲得で決勝進出。 誤答は即相手のポイント。
第1試合は加藤さんと井田さんの対決。第1セット1問目「片岡球子」は井田さんが正解。井田さんは「セール」(第1回アーベル賞)「北村久寿雄」(水泳選手)と正解を重ね、第1セット を獲得。これに対し加藤さんは第2セットを「名犬リンチンチン」「木戸幸一」「タリオ」「エコール・ポリテクニク」と4連答で獲得。第3セットは「泥棒成金」を井田さんが正解、「ヌイイ条約」を加藤さんが正解した後、井田さんが3問連続誤答 してしまい、加藤さんがセット獲得。このまま決まってしまうのかとも思われたが、井田さんもここで踏ん張って第4セットを獲得。最終セット でも井田さんが「ローラーとバイオリン(?)」、「サンディー・コーファックス」(史上最年少でメジャー殿堂)を正解、加藤さんが「イクナートン」(エジプト王)、「陣屋事件」(将棋の騒動)を正解し、どちらが勝ってもおかしくない 展開となったが、最後は井田さんが「相馬俊子(?)」を誤答してしまい、加藤さんの決勝進出が決まった。
第2試合は秋田さんと大村さん。あらゆる傾向の大会で活躍し、今回も優勝候補の本命である2人の対決となった。(本命が2人いるのはおかしいか。) 1セット1問目「パプアニューギニアの蝶で/」を大村さんが「ピトフーイ」(毒鳥)と誤答する波乱の幕開け。(正解は「アレクサンドラトリバネアゲハ」) 大村さんは2問目「原マルチノ」(天正遣欧使節の1人。「本名不明。〜」という凄い問題だった。)を正解したものの、秋田さんが「震生(しんせい)湖」(関東大震災の土砂によるせき止め湖)「クリフジ」「エッケルト」(ドイツから来日した音楽教師)の3連答で第1セット獲得。第2セットはデュースとなって一進一退の攻防が続いたが、 大村さんが「虫愛づる姫君」(堤中納言物語 )を正解してセット獲得。第3セットは大村さんの誤答もあって秋田さんが獲得すると、第4セットも秋田さんが「ヤーン」(ドイツ体操)を正解して決勝進出を決めた。大村さんは「ブンガチャ節」(北島三郎のデビュー曲)を「ブンチャガ節」と答えるなど勝負どころでの誤答が手痛い結果となり、「誤答は、最初から積極的に行くつもりだったから仕方がない」と語っていたがやっぱり悔しそうだった。
・決勝「10ポイント先取」
決勝は10ポイント先取の早押し。誤答は読みきって相手に解答権が移行。。
準決勝の接戦を制した加藤さんと、ここまで圧倒的な力で勝ちあがってきた秋田さんの対決。対戦前のインタビューでは「力の差は『飛車角落ち』くらいなので、最終的に10-3くらいになれば良いと思います」と謙虚な加藤さんに対して、「自分より年齢が上の人がどんどんいなくなる中で、決勝で年上の人と対戦するのは珍しいことなので凄く嬉しい」と語る秋田さん。両者とも知識とスピードを兼ね備えているため、激しい戦いが予想されるが、どうなるか。
1問目「ワン湖」(トルコ最大の湖)はスルーとなり、2問目「川路利良(?)」を秋田さんが正解。 この勢いで秋田さんは「クライスラー」(作曲家)、「州崎球場」「チューリング賞」「ストリンドベリ」「大橋宗桂」「フォンテーヌ」と1問のスルーを挟んで怒涛の7連答。加藤さんも「あめゆじゅ とてちて けんじゃ」(宮沢賢治の詩に登場する言葉)を素晴らしいポイントで正解して一矢報いるも、秋田さんが「ビクトリアカップ」(エリザベス女王杯が出来る前にあったレース)、「ビリルビン」(黄疸の原因?)を正解してわずか14問でリーチ。そして、「パンチョ・ビリャ」(メキシコ革命の英雄)が両者不正解となった次の16問目。「Q.法学者としてはベルン大学総長や国際司法裁判所判事を歴任したスイスの思想家で/」と、最後まで素晴らしいポイントでランプを付けた秋田さんが「カール・ヒルティ」を正解。前回に続く連覇という形で、第10回Ryu杯の優勝者となった。
Ryuさんは体調不良や人事異動で大変だったみたいなのだが、1人で大量の問題作成(800問くらい?)、司会・音響をはじめとした大会運営を行ったこと考えると本当に頭が下がる思いである。何よりも、10回(+イレギュラー 1回)も個人杯が続いて開催されていることが本当に凄い。Ryuさんは「今回で最後」と言っていたけど、それは毎回のことだと思うので、第11回を是非開催して欲しいと思う。僕みたいに初めて参加して悔しい思いをした人や、まだ参加できていない人とか色々いると思うんだよね。Ryuさんも大会直後は疲れてると思うけど、しばらくしたら次の構想を練り始めるんじゃあないかな、と勝手に信じている。

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