茨城日記

最強コンビの珍道中


 11月20日〜23日まで繰り広げられた「最強コンビと不愉快な仲間達」の物語。ジョジョネタが解ると理解度が当社比で1.13倍(中途半端)。やたら長くて申し訳ない。


一日目

 11月20日。昼に仕事が終わり、出立。先週買ったTシャツがサイズ違いだったので、交換して貰おうと思い、交通センターのロッカーに一旦荷物を預けてから街へ走る。バスの発車時刻まで約20分。片道10分弱で行けるか? と思ったら5分で行けました。なんとかバスにも間に合ったが既に汗だく。
 空港に着き、機上の人へ。眼下に人の生活の地上絵を眺めながら綿菓子の様な雲を抜けると、眼前には壁の様にそびえる雲の姿が。気流が悪くて少し揺れるが、この風景の前には文句が出よう筈も無し。落ちなきゃ良いのだ落ちなきゃ。やはり飛行機って人類の英知を感じさせる。ライト兄弟以前の人類が見果てぬ夢だったこの場所に、多少の金銭的負担だけで簡単に来ている自分を思うと感慨深い物がある。そのうち宇宙空間すらもこのように感じられる日が来るのだろう。
 そんなこんなで羽田空港に到着。東京駅まで移動して八卦屋氏に電話。新幹線で茨城までこれと云ったトラブルも無く移動。うーん、俺も段々旅行慣れしてきたかな。未だ一人で旅館にチェックインした事無いけど。ちなみにこれまでの移動機関、チャリ→バス→飛行機→モノレール→電車→新幹線。殆どフルコースだな。

 そこで漸く先に集まっていたメンバー(火炎瓶、篠原、滝川、八卦屋)と合流。連中、既にハイテンションで、大人しい僕には付いて行けません。
それから、回転寿司で晩飯を喰らい、ゲーセンへ。ジョジョを中心に対戦三昧。DDRをやっていた滝川さんが逆ナンされたとかされてないとか。俺はずっと格ゲーやっていて見てないから真偽のほどは不明。
 宿に移動し、そこでもやはりゲーム三昧。火炎瓶君の持ってきたムキャのソウルキャリバーの美麗さに皆で感心。夜中まで騒ぐ。


二日目

 朝食で鮎の煮付け(?)が出る。おおう、これが鮎か、そういや鮎なんて今まで喰った事無かったよなぁ(多分)。と思いながら一口パクリ。……これ、缶詰の味……。くそう、テレビで良く見る鮎はあんなに旨そうなのに。やはり釣りたてを焼いて喰わなあかんのか。
 ここで八卦屋氏が結婚式に出なきゃならんので一時退場。残ったメンバーで何をやるかと思ったら、宿でのんべんだらり。篠原君曰く「こんな時に“何かやらねば”と云う強迫観念を持つ事が間違っている」だそうである。そんな訳で、相変わらず馬鹿話をしたり、プレステ版ジョジョの隠しキャラを出すのに励んだり(これがまた無限地獄の様にきつい。何度絶望を味わった事か)。

 昼頃になり、宿の前にあるソバ屋で昼飯を喰う事に。座敷に通され、一通り注文を云った後待つことしばし………なかなか来ねぇ。気が付いたら座敷に居た他の客が不思議消失ミステリー。ひたすら滝川さんが遅い遅いと文句を垂れる。彼は食べ物屋にはうるさい様だ。実際、優に30分以上は待たされており、彼の怒りも尤もと云える。俺らは相変わらず馬鹿話に夢中であまり気にならなかったのだが。そんな滝川さんがトイレに席を立っている合間(どうやら新手のスタンド使いの攻撃を受けていたらしく、妙に帰りが遅かった)に注文の品が届くあたり、彼のままならぬ人生を感じさせる。ソバ自体は大変美味しゅう御座いました。

 昼飯も喰い終わり、どこか(主にゲーセン)行くかと火炎瓶君の車で移動していた所、八卦屋氏より自由の身になったと電話。八卦屋氏と合流し、彼の車で移動開始。この時、俺はスケジュールを全然知らなかったので、今何処に向かっているかさっぱりさんのまま車に揺られていたのだが、どうやらこのまま心霊スポットへ向かっているらしい。うへぇ、こんな時間から行くのか、そうと解ってたら宿からカメラ持ってきたのに。どうやらそれは滝川さんも同じだったらしく、やはりカメラを持ってこなかった事を後悔していた。何故そんな時間(まだ昼過ぎ)から移動開始したかと云うと、答えは簡単。単にその場所が遠かったからなのだ。車で2時間以上。そんな時間を掛けてまでそんなもん見に行くなんて、コイツら絶対馬鹿だ。
 まぁ、車中でもこのメンバーなので馬鹿話には事欠かない。一つのネタで御飯3杯も4杯もイケます。コイツら絶対人生楽しいよな。人生を楽しむ才能と云うヤツである。
 そんなこんなで世も暗くなってきた頃に目的地に近づいて来た。まずは『一本杉』 「そろそろ見えてくるぞー」と云われ、一体何処にあんのやろう? と思っていたら、道のど真ん中にズドンと生えておりました。良くある話で、道を造る時に撤去しようと思ったら、関係者がバタバタ。やむを得ずそのままにして道の方が避けた、と云うパターンですな。此処は車を止める場所も無いので、そのまま素通り。
 暫く進んだ後に姿を現した次なるスポットは鉱山病院跡。昔の鉱山と云えば、劣悪な労働環境で、落盤事故やら中毒事故やらで人がバタバタ殺られて大変と云う、非常にデンジャーゾーンなイメージがありますが、そこの病院となれば、無念を残して死んでいった労働者達に念がやたら漂っている様です。ま、そんな事云っていたら、東京だって空襲や地震の時に死んでいった人たちの上にあるんだし、人が住んでいる所なんて大抵そんな物なんだけど、そこはそれ、雰囲気って物が大事。
 山道の途中にあるそれの、入り口あたりで車を降りて見てみるも、当然ながら門には南京錠が下がっていて入れず。なので、もう少し上った、トンネル手前の空きスペースに車を止めて、上から見下ろしてみる事に。途中トイレ休憩は取ったのだが、またもよおして来たので「むぅ、こんなにトイレが近いとは、これも霊障のせいか(違う)」と云いつつ、これまた霊障のせいで(だから違う)トイレが近くなっていた滝川さんと連れションとしゃれ込む。物陰で「今正に、俺の右手がスティッキーフィンガー!」と云うその時! 何か物が落ちる鈍い音と、誰かの叫び声が聞こえた。ただならぬ様子に音のした方を見ると、段差の下で誰か(火炎瓶君だったのだが)が倒れて「うう…」と呻っている。わずかに目を離した隙に一体なにが?! まるで、いつの間にか棺桶に入っていたヌケサクの様である(酷ぇ例えだ)。何だか良く解らんが、何かがヤバい!! ともかくここは一旦逃げるんじゃー! もとい、早く様子を見にいかねば! と思うのだが、何分結構な高さである(二階のベランダより高く、三階のベランダより低いくらいか)。飛び降りようと思えば降りられない事も無いのだが、手前に走る側溝と、その場を漂う只ならぬ雰囲気、邪魔くさいコート(脱ぎゃ良いと云う発想まで至らない)、そして何より、俺の膀胱に溜まったままのリトルジョンが飛び降りる事を思い留まらせる。下手して俺まで怪我をする訳にはいかないのだ(単に臆病風に吹かれたとも云う)。そんな訳で滝川さんと二人、門の所まで坂を下ってフェンスを乗り越える事に。とにかく急がねばと思うのだが、リトルジョンの妨害もあり、なかなか思う様に足が進まずもどかしい。頭に浮かぶ「人って簡単に壊れるんだよね」などと不吉な言葉を振り払いながら現場に辿り着くと、火炎瓶君を介抱する八卦屋氏の姿が。取りあえず大事には至ってなさそうで一安心である。しかし八卦屋氏は一体いつの間に?! と思い問うたら「いや、飛び降りて」…まぁ、そうなんだろうけど…。しかし流石は怪我に慣れてる八卦屋氏。手際良く症状を確認。どうやら両足の踵を痛めているが、骨折している訳ではなさそうだ。皆で担いで車まで運び、大事をとって病院へGO! でもその前に側溝にリトルジョンを放出するのを忘れずに。

 総合病院に着き、俺等に両脇を担いで搬入される火炎瓶君。夜間受付に申し出ると、車椅子をゲット。火炎瓶君、車椅子にライド・オン! 傍目は立派な重傷人で、待合い廊下に居る人達の視線が眩しいぜ!
 さて、夜間の救急病棟とは云え、それなりに転がり込んで来る患者は居る様で、待ち時間も長い。病院内なので、いつもの様に大声で馬鹿話をする訳にもいかず、廊下の椅子に座って待っていると、突然「でーでーででーでーででーでーででー♪」とダースベイダーのテーマ曲が! と同時に、俺の隣でウトウトしていた篠原君がわたわたと膝に抱えていたジャンバーをまさぐる。病院では携帯切っとけ、篠原君。しかも、よりによって病院で聴くに最も相応しくないダースベイダーのテーマ曲とは。漸く携帯を見つけ、慌てて廊下の彼方へ消えて行く篠原君に突き刺さる、皆の視線が眩しいぜ! 
 一応、レントゲン等撮って、骨には異常はなかったのだが、専門医が居ないので、翌日また来て詳しく再診してくれとの事。受付でそんな手続きをしている最中にふと玄関口を見ると、凄ぇ楽しそうに備え付けの車椅子に乗って遊んでいる滝川さんの姿があった……。滝川さん曰く「車椅子って健常者が乗ると凄ぇ楽しいんだ☆」との事。まぁ、確かにそうかも知れんが…いい年こいて、勝手に病院の備品で遊ぶのもどうかと思うぞ。
 そんなこんなでやっとこ病院から出て、途中で晩飯など喰って(ファミレスでも両脇を抱えられて注目を集める火炎瓶君。最早キミはヒーローだ)宿に戻る。宿では相変わらず馬鹿話に花が咲く。


三日目

 朝食を喰ったら火炎瓶君の診察の為病院へ行く。が、これがまた片道2時間くらい掛かる上に渋滞と来たもんだ。俺等は乗ってるばかりなので良いのだが、運転づくめの八卦屋君は大変である。「11時までに来てくれ」と云われたが、どうも間に合いそうに無かったので、火炎瓶君が病院に遅れても大丈夫か電話を入れた所、火炎瓶君は間を置いて何度も同じ説明を繰り返している。こ、これが噂に名高いたらい回し!! さすがは総合病院だぜぇ〜。結局、「多分大丈夫だがなるべく遅れるな」くらいの曖昧な答えしか返って来なかったらしい。

 11時を少し過ぎて病院に辿り着いた我々を待っていた物は、駐車場待ちの車の列。いくら飛び休真ん中の月曜日だからって、これは無いだろう? 流石は総合病院! とばかりも云ってられないので、取りあえず火炎瓶君他付き添い二名を降ろして、第二駐車場へと車を回す。
 漸く病院に入ったところ、時間に遅れたが、どうやら診察して貰えるらしい。そこでも延々待つ事になるのだが、殆ど待っていただけなので(病院の渡り廊下で野良猫親子に心奪われる滝川さん(と俺)等あったのだが)割愛。
 診察が終わると火炎瓶君は松葉杖をオプション装備。この松葉杖と云うのがどんな感じなのかと、面白がってちょくちょく借りていたら、いつの間にか松葉杖での高速歩法をマスター。慣れると割と早く歩けます。疲れるけど。ただ、階段は駄目。登りはやたら疲れて、下りは凄ぇ怖い。とてもじゃないが、人混みの中など歩けない。体が不自由って大変だ。

 病院を後にして食事。その後ゲーセン。このあたりには1プレイ100円のゲーセンしか無い様で残念。ジョジョやスト3で対戦三昧。後で八卦屋氏が云っていたが、俺等が濃いキャラばかりで対戦していたから、周りの中高生が不思議そうに見ていたとの事。普通はヒューゴーの同キャラ対戦なんて滅多に居ないぞ、だと。そうかなぁ?
 次に寄った、ゲームも扱っている本屋で、サターンの「シルエットミラージュ」がなんと680円でっ! その内買おうとは思っていて、プレステ版とどっちにしようか迷っていたが、この値段ならこれを迷わず買い。もうこれでサターンのソフトを買うのは最後だろう、と思いながら既に6本くらい買っている気がする。しぶといハードである(俺の中でだけ)。この本屋で、滝川さんが「お金出すからトゥ・ハートのCG集買ってきて」と云い出す。何故かと問うたら「だって恥ずかしいじゃないですか」 テメェで買え!

 宿に着いたら飽きもせずに馬鹿話。馬鹿話とばかり書いているのも何なんで、ここ3日でやった馬鹿話を一部抜粋。
 火炎瓶君と篠原君は何故かどうでも良い事を略したがる。例えば、八卦屋君が「良いよな、自分専用のおっぱい持ってる奴ぁよ!」と云えば(この時点で既に頭悪いのだが)、二人は「パーソナルおっぱい」「(略して)P・O!」 すると俺が「PO−88(NECのパソコン、PC−88と掛けている。他にもPO−98やPO−68等あり)、バスト88センチの事」 馬鹿ばっかりである。
 篠原君がけなし言葉の「クソ」の事を「うんこ」とばかり云う。例えば「駄目だよ、あんなうんこゲーム」 「あのアニメどうだったの?」と問えば「うんこみたいなアニメだった」と云った具合だ。なまじ云い方が幼稚な分だけ屈辱感も倍増である。どうやら何かのマンガの影響らしいが、彼は悪いマンガの読み過ぎである。
 火炎瓶君と篠原君が車の中でやたらと「ウェルカムトゥ〜・ウェルカムトゥ〜・ウェルカムトゥ〜マイハ〜ウス♪…」と関東地区で放映されているゲームショップのCMソングを歌っている。どんな内容かと訊けば、「メイド服で頭に猫耳つけた媚びたキャラクター」が出てくるらしいのだが、二人のダンディーボイスで繰り返された俺の頭に浮かんでくるのは、こんな映像ばかりである。

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にょ


 滝川さんが、コンビニで買った生チョコを喰わせてくれるのは良いんだが、その時必ず「欲しいのか? 甘いの3つ欲しいのか? いやしんぼめ!」と云ってくるので溜まらない。それに対して「欲しいぃ〜」と甘えた声で答える篠原君もどうかと思う。
 先程買ったトゥ・ハートのCG集に載っている、描き下ろしの先輩の乳ほりだした絵を見ながら「プレステ版しか知らない人がこれ見たら何て思うんだろうね?」などと話していると、突然篠原君が大声で「嗚呼っ! あの清純な先輩がっっ!!!」 テメェはばっちりパソコン版もやってるだろ! 
 また、このCG集には各キャラクターの3サイズなど載っているのだが、マルチのバスト68cmと云うのを見て「マルチの乳68センチ、って、これじゃえぐれてるやん!」「しかもマルチってロボットだぜ。逐一データ収集されてんだぜ。そんなマルチに欲情する主人公ってサイッテーだな!」マルチの乳で熱く語れる、素敵な集団である。
 そんなこんなで夜も更けて、皆が寝た後も篠原君とメイルゲームについて熱く(?)語り合う。夜更けまで付き合ってくれてありがとう。
 なんだかやけに篠原君の痴態(痴態云うな)ばかり目立つ様だが、彼の行動の裏には殆ど火炎瓶君が関与している事を明記しておく。まさに『最強のコンビ』である。

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最強のコンビ



四日目(最終日)

 と云ってもこの日は別に何をするでもなく、ただ帰るだけである。朝飯を喰った後、適当に時間を潰してから「そろそろ行くか」と駅に向けて出発。早めに帰らねばならない篠原君を見送った後、俺と滝川さんの新幹線まではまだ少し間があるので、ゲーセンで時間潰し。潰し過ぎる(駄目助)。

 予定より一本遅れて新幹線で一路東京へ。この日は東京でリーフオンリーの即売会「覚醒夜2」があり、会場も空港行きモノレールが出ている浜松町駅の近くなので、せっかくだから行きたいと俺が駄々をこねる。このイベントにサークル参加しているきりたさんに、滝川さんの携帯から連絡を入れて、「パンフ無しでも入場出来るか? 時間は大丈夫か?」などを訊いて貰う。パンフ無しでも入場は出来るが、会場に着いて30分くらいで閉館するとの事。30分でも良いから行こう、と浜松町駅に辿り着くが、会場の場所が解らない。都立産業貿易センターと云う所らしいのだが、駅の地図を見ると、国際産業貿易センターだとか、産業貿易会館だとか、似たような施設がいくつかあるのだ。数度きりたさんに電話を入れて訊いてみるが、いまいち良く解らない。迷っている内に時間はどんどん過ぎて行く。結局、駅の警備員さんに訊いたところ「そこの出口を右に出て、ま〜っすぐ行って上を見ると解る」そうだ。上を見た途端にヴァニラアイスに空間ごと削り取られそうな説明である。偉くアバウトだが、それだけ簡単に行けると云う事だろう。
  「ホントにこっちで合ってるのかなぁ?」と、未だ一抹の不安を抱えながら移動していると、我らが向かう先から「いかにも」な感じの人達がやって来る。「やや、見て下せぇ滝川さん。あのいかにもな人達を。絶対あれはイベント帰りだ。あの人達を逆に辿って行くと、ばっちり会場に着くって寸法さあ!」などと、もし間違っていたらオインゴ・ボインゴ並に愚かしい会話をしながら歩いていると、漸く会場に到着。きりたさんのスペースは何処じゃい? 壁際だと訊いとったが? と探す間もなく、入り口のすぐ隣に発見。早速きりたさんの本を購入し、残ったわずかな時間で他にめぼしい本がないか会場を半分程回るが、どの本を買ったら良いかさっぱりさんだったので、結局何も買わずに最後にきりたさんにちょろっと挨拶して会場を後にする。今日、この「覚醒夜2」を訪れた人は大勢居るが、僅か5分で帰ったのはきっと俺等だけだ! などとどうでも良い事を滝川さんと云い合っていた。

 帰りの道すがら、タバコを欲する滝川さん。「確か来る途中に自販機がありやしたぜ」と、程なく自販機に辿り着きタバコを買おうとするが、滝川さん愛煙のラクダが無い。「別に良いよ」と別の銘柄を買おうとする滝川さんを「ちょっと待った」と止める俺。「何?」「隣にタバコ屋さんが…」なんと、自販機の横に、自販機よりも狭いんじゃないかってくらい小さなタバコ屋にばあさんが鎮座しておられる。馬鹿な、来る時はこんなもん無かったのに、いつの間に空間を割り込んで来やがった! このばあさん! 流石は東京のタバコ屋、恐るべし! と、バックに「ゴゴゴゴゴゴゴ…」の文字を背負い、戦慄を覚える俺。しかし、こんな身動きもとれぬ程狭い所で、日がな一日行き交う人々を見つめている、そのばあさんの心境や如何に? 色んな人生があるものだ。

 「もちろん東京駅まで見送りに来てくれるんでしょ?」と馬鹿な事をぬかす滝川さんに「そんな余裕は無い!」と一蹴…では足りず二蹴三蹴し、男の別れを告げる。実は時間的にはまだ余裕はあったのだが、以前、最終の飛行機に乗り遅れた経験があるので、慎重にならざるを得なかったのだ。

 機上の人になったのは、もう暗くなった頃。窓際だったが、風景も見えないからつまんないかな、と思っていたら大間違い。夜景がメチャメチャ綺麗なのだ。しかもこの日は満月で、雲の上に浮かんでいる月と、月明かりに照らされた雲を見て感動。俺は今、人生で最も月を近くに感じている。人狼だったら大変だな。熊本上空でもまた、輝く夜景を眺めながら、俺は「今回も良い旅だった」と感慨に耽り、そんな人々の思いを乗せた飛行機は、その銀色の翼を休める為に降り立って行った。


 終わる


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