リヨンとリヨネ
Lyon, Lyonnais

フランス第二の都市リヨン及びリヨンを中心とした地方。
北をブルゴーニュ、ボジョレ、西をブルボネ、ヴィヴァレ、南東をドフィネの各地方に囲まれている。
イタリアとパリを南北に結び、東西にジュラ・アルプス山系と中央山岳地帯を結ぶ交差点にあたり、ローマ時代から交通の要衝だった。 
現在のローヌ県とロワール県にあたる。 リヨンはローヌ川とソーヌ川の合流点に位置し、紀元前43年にローマの植民市ルグドゥヌム Lugdunum ( = ルグ Lug の丘 dunos。  ルグとはガリア人にとっての仕事の最高神で職人が崇めた。) として建設されて以来、ガリア地方の中心地として成長し、川を利用した水上交通も含め街道網の要として栄えた。
リヨンはガリアの宗教ドルイド教の中心地で、ローマ植民後、紀元2世紀にはキリスト教の進展と共にフランス最古の教会が建った。 中世には教会の勢力が大きかった。  フランス王国に併合されるのは1307年、カペー王朝フィリップ4世の時代である。その後イタリア、フィレンツェ発祥のメディチなどの銀行の設置、国際的な市(いち)の開設により経済発展し、フランソワ1世治下ではフランスルネサンスの一大中心地となり文化的にも発展を遂げた。
絹織物業がイタリアから伝わり、絹の町としての名声も高まった。 セルヴェル・ド・カニュ(=リヨンの絹織物職人の脳)のように料理名にも登場する程である。 また経済に裏付けされた美食の都として知られており、リヨン及び周辺地域で採れる豊富な食材で作る伝統的な料理と著名な料理人による洗練された料理の両方面で名高い(⇒居酒屋▼ブーション)。

リヨネ地方は農業地帯というよりはむしろ産業地帯といえるが、フォレ平野とロワネ平野では大規模な野菜栽培を行なっている。 良質の玉ねぎ、じゃがいもを使った料理は多い。 他にもほうれん草、西洋ごぼう、アーティチョーク、カルドン、ちょろぎなどを栽培している。 また大量に飼育している質のよい豚を利用してソシソン・ド・リヨンやアンドゥイエートなど数多くの豚肉加工品(シャルキュトリ)を作っている。

▼肉、シャルキュトリ 大量に飼育している質のよい豚を利用してソシロン・ド・リヨンやアンドゥイエートなど数多くの豚肉加工品を作っている。シャルキュトリの町としての歴史はローマ時代にまで遡るほど古いものである。⇒グラトン、サボデ、セルヴラ、ロゼット

▼魚 ローヌ川、ソーヌ川、ロワール川では鯉、川かます、鱒、テンチ、パーチ、グージョンといった魚に恵まれ、揚げ物、マトロート、クネルなどにして食べる。⇒クネル

▼上記のほかブレスの鶏、シャロレの牛、ローヌ川流域の早生の野菜、ドンブの魚など近隣地域の食材にも恵まれている。 ワインは料理程ではないがAOCワインにコトー・デュ・リヨネがある他、近隣のボジョレ、コート・デュ・ローヌ北部のものが多い。

▼リヨン風またはリヨネ風  à la lyonnaise
リヨネ地方の料理及び薄切りして炒め溶かした玉ねぎを使ったグランド・キュイジーヌの料理に用いる表現。 ⇒オニョナード、フォンデュ2。

[ルセット]
●グラ・ドゥーブル リヨン風 gras-double à la lyonnaise
幅広い千切りにしたグラ・ドゥーブル1kgを強火にかけてラードでソテする。薄切りした玉ねぎ2個をバターでソテして加えよく色付くまで加熱する。皿に盛り、同じフライパンを再びよく熱してから酢少々でデグラセしてソースとし、きざみパセリをかける。

●仔牛のレバー リヨン風  foie de veau à lalyonnaise ヴェネツィアの地方料理、仔牛レバー ヴェネツィア風 fegato alla veneziana とほぼ同じである。

以下省略


※事典の記述とは多少異なります。








日仏料理協会レストラン リパイユ