アイスクリーム
glace[グラース]
(英)ice cream   (伊)gelato


牛乳や生クリームとシロップに、場合によってフルーツやチョコレートなどの香りを加えて混ぜながら作る氷菓。グラスとも言う。
飲み物やフルーツを冷やして摂ることはすでに古代エジプトやぺルシャで行われていたが、アイスクリームの発祥は中国であると言われている。
雪を夏まで保存し、容器に入れて冷やすという原始的な方法であったが、古代ギリシャ、ローマにも伝わり、小さく切ったりピュレにしたフルーツに蜂蜜と保存雪を混ぜるようになった。またワインに雪を加えて冷やして飲んだりもした。アレキサンダー大王は雪を夏まで保存するために藁で覆い、ローマではサイロの中に入れ、トルコ人は建物の北側に穴を掘って入れた。またマルコ・ポーロは水と硝石塩を混ぜて雪なしで冷やす方法を中国よりもたらした。このためイタリアで氷菓が発達し、1533年、カトリーヌ・ド・メディシスがフランス宮廷に、冷やしたデザートを紹介した。1651年イギリス国王チャールズ1世のフランス人料理人ジェラール・ティルサン Gérard Tirsain が牛乳と生クリームを使ったアイスクリームを初めて作った。
フランスでは1686年パリに開店したカフェ・プロコープで初めて一般に供され大好評となった。1750年からはそれまで夏限定であったものが年中供されるようになり、この頃カフェ・トルトーニでビスキュイ・グラセが考案された。電力による冷却が成立するまでは砕いた氷に塩と硝石を混ぜて−15℃程にして作っていた。19世紀半ばにはフェルディナン・カレやシャルルテリエといった技術者が冷蔵庫を作り出した。
現在は卵白やゼラチンなどの安定剤や着色剤も用いている。

フランスではグラスは以下のように分類している。

▼クレーム・グラセ crème glacée:
牛乳、生クリーム、砂糖とチョコレートやフルーツで作る、日本で言うアイスクリームのことでグラス・ア・ラ・クレーム glace a la creme ともいう。
[ルセット]            
        省略

▼卵のグラス glace aux oeufs:
卵黄、牛乳、砂糖及び香料で作る。フランスでこの名称を用いる場合、全量の7%以上の卵黄含有量が法で定められている。
[ルセット]      
        省略

▼シロップのグlace au sirop:
砂糖、香料、水または牛乳で作る。
[ルセット]             
        省略

上記のほか、ヴァシュラン・グラセ、サバイヨン・グラセ、シャルロット・グラセ、スフレ・グラセ、パルフェ、ビスキュイ・グラセ、プロフィトロール・グラセ、ボンブ、ムース・グラセなどホイップクリームやイタリアンメレンゲを加えて軽く仕立てたりしたヴァリエーションが多くある。
⇒アイスクリームディッシャー、カサート、グラニテ、サンデー、シャーベット、スプーム、パルフェ・グラセ、フルーツ▽フリュイ・ジブレ、プロンビエール。
:ノルウェー風、パンチ、プロフィトロール、リエージュ風。

▼グラス型 moule à glaces 
アイスクリームやシャーベット用の型には次のような型がある。

−ブール・ド・ネージュ型 moule a boule de neige:
半球形の型2つが蝶番で一組になった球形の型。「雪neige」の「球boule」という意味。

−メロン型 moule melon:
畝模様が付いた球形の型。半球形2つで一組。

−マルキーズ型 moule marquise:
マルキーズなどを作るための丸みを帯びた円錐台形で女性のスカートを模している。上半身部分の人形と組み合わせて用いる。「侯爵婦人」という意味。

−ばら模様付き角型 moule carre à rosace:
上部にばら形装飾の付いた正方形の型。

※事典の記述とは多少異なります。








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