フォワ・グラ
foie gras [フォワ グラ]

(英)lever  (伊)fegato d'oca, foie gras


強制飼育により肥大させた鵞鳥または鴨のレバー、肝臓。
「脂っこい gras、レバー foie」の意味。古代エジプトでもガヴァージュ gavage と呼ぶ強制飼育を行なっていたが、ローマ人はガリア(現在のフランス)から歩かせて連れてきた鵞鳥にいちじくを多量に与えた。肝臓は開腹後すぐに牛乳と蜂蜜の液に漬け膨らませたという。アルザス、ロレーヌ地方の総督だったコンタード侯爵の料理人クローズは1788年独立してストラスブールでパテ屋を開業し自らが考案した“フォワ・グラコンタード風”を販売した。ボルドー議会議長の料理人だったニコラ・ドワヤンが弟子入りし出身地の特産であるトリュフを加えたパテを作ったという。18世紀末までフォワ・グラは肥鶏または鵞鳥の単なるレバーを意味しており、19世紀中頃以降に鵞鳥と鴨の肥大レバーを示すようになった。従って料理書に登場する「フォワ・グラ」は時代により意味するものが異なる。現在では主にとうもろこしで強制肥育している。  

☆生産地
南西フランス、特にトゥールーズ周辺とペリゴールでは鵞鳥と鴨、ヴァンデ及びロワール地方では鴨、アルザスでは鵞鳥のフォワ・グラを生産している。フランス産だけでは足りずにイスラエル、ハンガリー、ポーランド、ブルガリアからもフランスへ輸入し、場合によっては日本などへ再輸出する。  

☆質
南西フランスのものは象牙色でクリーミーだがアルザス産のものはピンク色でしまっている。また鴨は黄色である。 鵞鳥、鴨とも最上級のエクストラ (600〜800gで指で押してもすぐに戻る)、1級 (900〜1200gで色はエクストラより薄く、柔軟さに欠ける)、2級 (500g以下または1200g以上のもの)、3級及び4級 (2級のものより脂肪が少なく色がレバーに近いか、脂肪が多すぎて加熱すると溶けてしまうもの)に分類される。また鵞鳥のフォワ・グラは鴨の1.5倍の価格で,鴨より苦味も少ないのでテリーヌに向いている。鴨は味が強いのでソテし甘酢味のソースと供する。レストラン用温製料理によい。  

☆フォワ・グラのテリーヌの名称
缶詰や瓶詰のテリーヌの名称についてはフランスでは鵞鳥、鴨ともに以下の規定が法により定められている。  
−フォワ・グラ・アンティエ foie gras entier、フォワ・グラ・オ・ナテュレル foie gras au naturel、フォワ・グラ foie gras、ブロック・ド・フォワ・グラ bloc de foie gras、パルフェ・ド・フォワ・グラ parfait de foie gras については少なくともフォワ・グラ75%以上の含有。  
−パテ・ド・フォワ・グラ pâté de foie gras、ガランティーヌ・ド・フォワ・グラ galantine de foie gras、ピュレ・ド・フォワ・グラ purée de foie gras については少なくともフォワ・グラ50%以上の含有。  
−トリュフ入り truffé については全重量の3%以上のトリュフを加えなければならない。
⇒アルカンタラ、クローズ、ルクルス、レバー、ロッシーニ。

[ルセット]
●鴨のフォワ・グラ ブリオシュ包み foie gras de canard en brioche

以下省略

※事典の記述とは多少異なります。








日仏料理協会レストラン リパイユ