estomac
エストマ
(英) stomach (伊)stomaco


動物の消化器官の1つである胃はアバ料理の材料である。
反芻動物の牛や羊は4つの胃があり、すべて有効に利用し、豚の胃にも多くの料理法がある。
腸も含めて全体をトリップ (イタリアではトリッパ trippa) と呼ぶ。
⇒アバ、アンドゥイエット、アンドゥイユ、タブリエ・ド・サプール、トリップ、トリプー、トリペット、トレネル。

▼第一胃 panse
日本では牛の場合をミノという。上ミノは筋肉の厚い部分、ミノは薄い部分である。フランス語ではパンスといい「膜」を意味するラテン語 pantex が語源である。味やにおいに癖がなく柔らかい肉質である。よく洗い70℃の湯に浸してからよくこすって汚れを落とし沸騰した湯でしめる。この段階のものは内臓屋で売っており、グラ・ドゥーブル gras-double という。「反芻動物の嚢(のう)」の意味だった double と「肉厚熱の、ねっとりした」の gras の合成語である。スコットランドには小さく切った羊の心臓、レバー、肺をみじん切りした玉ねぎ、燕麦の引き割り、脂肪と混ぜて羊の第一胃に入れブイヨンで2〜3時間ゆでたハギス haggis という名物料理がある。⇒ハギス。
[ルセット]
●グラ・ドゥーブルのフライ gras-double frit
グラ・ドゥーブルを長方形に切り、塩こしょうして溶かしバター、きざみパセリ、パン粉の順に付けて揚げる。ソース・ディアーブルやレムラード、タルタル、トマトソース共に供する。
:プロヴァンス、リヨンとリヨネ。

▼ 第二胃 bonnet
日本ではその内側の形状からハチノス(蜂の巣)という。フランス語では全体の形から「縁無し帽」を意味するボネという。第一胃と同様に処理するとやはりグラ・ドゥーブルの1つとなる。調理は第一胃と同じ。

▼ 第三胃 feuillet
日本では内側の多くのひだからセンマイ(千枚)、フランスでもフイエつまり「薄片状のもの」と呼ぶ。

▼第四胃 caillette
日本ではギアラという。フランスではカイエットといい、「凝縮、凝乳」を意味するラテン語 coagulum から派生した古フランス語の凝乳 cail に指小辞 ette が付いた語。凝乳酵素レンニンを第四胃から採るためである。 ⇒凝乳、チーズ▽製造過程。
:オヴェルニュ。

※事典の記述とは多少異なります。








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