正餐
dîner[ディネ]

(英) dinner  (伊)cena


ディネは、朝食または昼食を意味するデジュネdéjeuner(=断食をやめる)と同じく同意味の低ラテン語 disjunare から転じたと言われている。 しかしカロリング王朝時代には朝に正餐を取っていたため、10時を意味する decimheure と呼び、次第に decimer、dicmer、disner そして dîner となったというなど、いくつかの説がある。晩ご飯、夕食を意味するラテン語 cena から転じたフランス語 cène はキリストの「最後の晩餐」以外の用い方はしない。
ディナー、ディネは現在では夕食、晩御飯を意味することが多いが、一日の一番重要な食事、つまり正餐をディナー、ディネと言う。
中世では朝のお祈りの後7時、その後の9〜10時頃に、ベーコンや卵、魚などを食べ、夕食はスペと呼ばれていた。 アンリ4世の時代には正午、ルイ14世の頃は午後1時にディネを摂った。 18世紀ルイ15世の時代は午後2時以降に摂ったが「正餐」の地位は観劇後のスペ(=夜食)に地位を譲る。革命期の初めには国民議会の審議終了後つまり6時頃にディネと呼ぶ正餐を摂るようになり、スペは夜食へと移動する。一方地方ではこの時代も夕食をスペと呼びスープ中心の軽いものを食べていた。 当時、ブラウンディナー dîner brun とホワイトディナー dîner blanc なる表現が存在した。 ブラウンディナーはラグーやシヴェ、アシ、オシュポなどあまり気を使わずに作れる茶色い煮込み料理が中心で、多少侮蔑的に見られていた。一方ホワイトディナーはフリカセやブランケット、クネルなど白またはきつね色の料理でレベルの高い料理人の仕事と高く評価された。
18世紀末、職人は2時、商人は3時、会社員は4時、経営者は5時、貴族は6時に正餐を摂ったと言うが、中にはフレデリック大王やエカテリーナ2世のように日に一度の食事 dîjeuner で十分な人たちもいた。
忙しい日中を過ごす人が増加し、ゆっくり食事を摂るのが夜になってくると、正餐は夕食となる。デュマは「正餐はただ食べると言うだけでは十分ではない。楽しく話すべきである。会話はワインと共に輝き、甘味デザートと共に心に静けさをもたらし、コーヒーの時に深いものとなる」と言っている。 1900年には7時半に、現代では8時半から9時にディネを始めるフランス人が多い。ヨーロッパ南部では遅く、北部では早く夕食を摂る傾向があり、従って朝食は南部では軽く、北部では量、質共に充実している。
⇒間食、軽食、サーヴィス、昼食、朝食、テーブルマナー、夜食

※事典の記述とは多少異なります。








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