カフェ
café[カフェ]

(英)café (伊)caffè, bar


コーヒーを主体とする飲み物及び食事を供する店。
コーヒーを意味するアラブ語 gahwa またはトルコ語 kahvé が語源。
エチオピアまたはスーダン発祥のコーヒーを提供する店が14世紀ペルシアに出現し、1420年にアデン、1550年頃イスタンブールに伝わった。コーヒーを飲みながらチェスやすごろく trictrac をして遊べるこのトルコ式カフェは1615年にローマ、1640年にはヴェネツィア、1654年にマルセイユ、1672年にロンドンへと広まった。
1645年トルコ大使ソリマン・アガ Soliman Aga が訪問客に振る舞ったのがコーヒーのパリ・デビューではあるが、マルセイユでカフェを経営していたアルメニア人パスカルが1674年(1672年という説もある)パリへ行き、サン・ジェルマンの市でコーヒーを提供したのが初のカフェである。本格的なカフェは1686年のプロコープが初めてであり、次々と店ができて1696年にはレモネード・ブランデー商人組合を設立した。
17〜18世紀のカフェは作家や文学批評家のたまり場所となり、ルソー、クレビヨン、ラ・フォンテーヌ、フォントネル等の他、ディドロ等百科事典派の人々も多く集った。1714年にはポワンスレなる人物がカフェ・デュ・コメルス Café du Commerce をエコール河岸通りに、1718年にはカフェ・ド・ラ・レジャンス、その後もカフェ・ド・フォワ、カフェ・ド・シャルトル(後のグラン・ヴェフール)、カフェ・デュ・カヴォができ、おしゃれで洗練された人々が集う一方、政治論議も活発でロベスピエールやデムーラン等が集い、革命はカフェで熟成されたといえるほどであった。
革命の機の熟する1785年頃、カフェ・デザヴーグル、カフェ・アルディが、19世紀になるとカフェ・アングレ、カフェ・ランブラン、次いでカフェ・デ・ヴァリエテ、カフェ・ド・ラ・ロトンド Café de la Rotonde、カフェ・ダグソ Café d'Aguesseau、カフェ・デ・ボゼスプリ Café des Beaux Esprits、フラスカティ、カフェ・スフレ Café Soufflet、カフェ・テュルク、カフェ・ジェナン Café Génin、カフェ・ド・ルロープ Café de l'Europe、カフェ・ド・マドリード、カフェ・ドルセ、カフェ・ヴォルテール Café Voltaire、カフェ・ド・パリ、カフェ・ド・フロール、カフェ・ド・ラ・ペ、カフェ・ナポリタン、カフェ・ドゥー・マゴなど、1725年頃パリでは約700店であったカフェが1807年には約4000店となった。これらカフェはコーヒーを提供するだけにとどまらず、レストラン以上の豪華な食事や新しい風習を生み出し、グラン・カフェでは世界で最初の映画上映も行った。
また、19世紀にはオヴェルニュ地方からパリに来た人々が小さなカフェやレストランを開き、その勤勉さで成功した。( スペルのないカフェはその項目参照)⇒オベルジュ、レストラン、ブラスリ、ビストロ

▼ カフェ・コンセール café-concert
1860年頃にできた歌や音楽を聞けるカフェ。カフェ・シャンタン café chantant(=歌うカフェ)とも言う。小劇や寸劇を行うカフェ・テアトル café-théâtre も存在する。

▼カフェ・レストラン café-restaurant
現在フランスで一番数の多い外食業の形態。朝はクロワサンやゆで卵、昼は「本日のおすすめ料理 plat du jour やフライドポテト付きステーキなどの食事を用意し、それ以外の時間はワインやコーヒーなどの飲み物を中心にクロク・ムシュウやニース風サラダ、サンドウィッチなどの軽食を提供しているが、ディナーを摂る客は少ない。カウンターで立ち飲みすれば席に付くより安く、たばこ屋や宝くじ売り場、競馬の場外馬券売り場を兼業している場合もある。

▼カフェテリア cafétéria
すでにできている料理を保温したり再加熱して、飲み物と共に主にセルフサーヴィスで提供するレストラン。

以下省略

※事典の記述とは多少異なります。






日仏料理協会 レストラン リパイユ