茄子
aubergine[オベルジーヌ]

(英) eggplant  (伊) melanzana


ナス科ナス属の一年生草の実。なすびともいう。
原産地はインド、主な産地は中国、日本、インド、イラン、トルコ、地中海岸地域に加えその他の温帯、熱帯地域。フランス語のオベルジーヌは同意のペルシャ起源のアラブ語 al-badindjan からカタロニア語 alberginia となったのが語源。
紀元前4世紀には中国ですでに栽培していたいわれ、5世紀頃に北アフリカやアラブで、中世にはスペインで広く栽培するようになった。15世紀には南フランスへ伝わり、ルイ14世の菜園でも栽培した。
日本では8世紀にすでにその記述がある。種類は多く世界中に1500種、日本だけでも150種以上ある。一般には草丈60〜120cmに成長し、紫の花をつけた後に黒紫の実ができる。果肉は白または淡緑色をしており、形は球形、卵形、きゅうりのように長いもの、一口大のものなどがある。外皮が緑や白いものもある。路地ものは夏から秋に収穫する。同じナス科のトマトに比べビタミンなどの含有量が低いが、糖質と繊維質は多めで、油と相性がよい。外皮に艶があって滑らかなものを選ぶ。冷蔵庫で日持ちする。オムレツ、ラタトゥイユなどの煮込み、詰め物、グラタンなど特に南フランスの料理に用いたり、油漬けにもする他、トルコのイマムバイルディ imam bayildi やムサカが有名である。
あくが強いので調理前に塩水に浸したり、粗塩、レモン汁、ミルクを塗って約1時間程水分を取りあく抜きをする。紫色の色素アントシアンは水溶性なので煮込むと流出するが、予め油通ししておくと多少は防げる。

なすは以下のように大別できる。
▼長なす
細長いので日本では「長なす」と呼んでおり、関西以西と東北で主に栽培している。最長40cmを超す「大長なす」もある。フランスではジニャーク giniac、バルバンターヌ barbentane、ヴィオレット・ド・トゥールーズ violette de Toulouseなどがある。

▼中長なすと卵形なす
長卵形で「千成(せんなり)」や「真黒(しんくろ)」など日本で最も多く出回っている種がこのタイプ。フランスにはミレダ miléda、ドブリ dobrix、ベランダ berinda、バリュロワ baluroiなどがある。

▼丸なす
球形で大きなものでは750gにもなる。新潟の「巾着」、京都の「加茂」が有名だが、生産量は少ない。フランスにはロンド・ド・シーヌ ronde de Chine(ロンド・ド・ヴァランス ronde de Valence ともいう)などがある。

▼米なす
アメリカから導入した大型品種。ブラックビューティともいい、フランスにはモンストリューズ・ド・ニューヨーク monstrueuse de New York がある。

▼小丸なす
小型の丸なすの早生。東北の「民伝(みんでん)」、山形の「出羽小なす」などがある。

▼ 白なすと青なす
外皮が白または淡緑色のなす。卵形の白なすは「卵なす aubergine-oeuf」とも呼ぶ。

[ルセット]
●キャヴィア・ドベルジーヌ caviar d'aubergine
「なすのキャヴィア仕立て」の意味。中火のオーヴンで20分焼いたなす4本を縦2つに切り中身をスプンで取り出してみじん切りする。皮と種を除いたトマト2個と玉ねぎ1個をみじん切りし、塩こしょうしてなすと混ぜ、オリーヴ油を少しずつ加えながらホイップし乳化させる。ミキサーを使ってもよいが、キャヴィアに見立てるなすの種がペースト状になってしまう。よく冷やして固ゆで卵、トマトと共に盛り付け、トーストにのせて食べる。

:エジプト風、オリエンタル風、カタロニア風、グラタン、ティアン、ニーム風。

※事典の記述とは多少異なります。








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