ヒイロが帰ってくる前にこれをどうにかしなくてはならない。
目の前にはぴこぴこと跳ねまわる物体が1つ。
とにかく見つかったら怒られるに決まってるし。 でも、このまま元の場所に捨てるのも可哀想だ。 ぴこぴこと部屋を駆け回っていた仔ウサギが飽きたのかデュオの足元に戻ってきた。 後ろ足だけ残してたちあがって、フンフンと臭いを嗅いでいる。 特に興味を引かれなかったのか、そのままストンと足を降ろしてまた部屋をうろつき始めた。
可愛い。 「どうしよう……」 時間に正確なヒイロは間違いなくあときっかり30分後に帰ってくる。
出来れば嫌そうな顔をされるのは避けたい。 「どうし……そうだっ!」 ふと解決策を思いついたデュオは、大急ぎで端末へとかじりついた。
仕事中に唐突に端末に割りこんできたよーく知る人物からの通信。
「何の話だ?」
その一言で話の流れを理解した。
デュオが飼いたいんだって。 無言の内に笑顔がそう語っている。 ―――仕組んだのはデュオだな。 横の繋がりや思惑まで一気に見えてしまって、ヒイロは怒りと言うよりもむしろ呆れてしまって溜め息を吐いた。
「……覚えてろよ」
ぼそりとした呟きは、限りなく小さいものだったがどうやら相手に聞こえてしまったらしい。
面倒なのはデュオとカトルの友情。 ………なんて面倒な。 恨むべきはカトルなら絶対にヒイロを説得出来るはずだと頼んだデュオか、脅迫という手段を用いてデュオに味方するカトルか。 あるいはわかっていてこの状況に浸りまくる自分か。
そろそろ溜まり込んだ鬱憤を爆発させてみようかと、思案のしどころなヒイロであった。
end. |
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ウサギネタです。 |