夜明けを見るのは好き。
空気が光を帯びるその瞬間が好き。
だから今日も夜明け前に一人起き出し、散歩に出る。
好きで好きでたまらないとか、ちょっとの時間も離れたくないとか。
このままずっと二人でいたいとか生涯一度の恋だとか。
そんなことは、思わないしはっきり言ってどうでもいい。
でもふとした一瞬に合う視線、触れる口唇の感触は嫌いじゃない。
うん、そう。
嫌いじゃない。
そのちょっとの感覚のために、もう少しだけここにいてもいいかな、とはちょっと思う。
今日もいつも通りの朝が来る。
夜明け前の散歩、でもいつかきっと帰らなくなる散歩。
end.
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