「ほら」
「……」
無造作に差し出されたペットボトルを受けとって、ヒイロはしばし沈黙した。
確かに喉が乾いていたわけだが…しかしこれは。
「いいのか?」
「は?」
言われた意味をはかりかねたデュオがきょとんと問い返した。
ヒイロの顔と、渡したペットボトルを見比べる。何かおかしな点でもあっただろうか。
「……」
「……」
―――おかしな点?
「…あっ」
「気付いたか」
呟いたヒイロがきゅっとフタをひねった。止める間もなく飲み下されたそれにデュオの顔が赤く染まっていく。
「―お前わざと言ったな」
「事実だろう」
「世の中知らない方がいいことも多いんだよっ!!」
一度は自分が口をつけたペットボトルを奪い返す。
さすがにもう、飲む気にはなれなかった。
end.
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