ある日画面を立ち上げると、ディスプレイにはクマの画像がぽんと1つ。
「………は?」
間の抜けた声を上げてしまってから、デュオは慌ててシステムのチェックを始めた。
誰かのいじった形跡、なし。
侵入の形跡、なし。
ついでにウイルスの形跡もなし。
形跡がないだけで侵入者だろうかと考え、自分のマシンにそんなことを出来そうな人物の顔を何個か頭に浮かべたデュオは、次にその可能性を打ち消した。
クマの画像を置き去りにするだけなんて無意味な事、その内の誰かがやるとは思えない。
さらにはクマで一番に連想される人物は、輪をかけてこんな事するとは思えない奴だ。
「…???」
本当の本気で全部のファイルが無事だ。
さらには覗かれて困るものも置いてないし……。
「??????」
何だろう、一体。
………しかも何故にクマ。
「うーん…?」
もしかしたら時限式なだけでやっぱり何かのプログラムだろうか…。
その時丁度デュオの横に問題の『クマな奴』が来た。
「サリィ、この資料を頼む」
「あらヒイロ、相変わらず早いわね」
思わずちろりと横目で見てしまったデュオは、その無表情を見てやっぱり違うか、と思い直すとまた悶々としだした。
「うーん」
「………」
通り抜け様悩むデュオの真後ろで、ヒイロが満足気な笑みを洩らしたことは誰も知らない。
とりあえずデュオはそれを見なかったので、謎は謎なまま謎を呼ぶ。
end.
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