「なあなあヒイロ、今回はなんか妙に発展してんだけどさ、オレ何してたんだっけ」
ふと見渡せば、見慣れてるのに見知らぬ光景。
今までは初期化されるのと同時にこの星も荒野になった。何度場所を移っても
それは変わらなかった。
なのに、記憶のない自分と発展した星が同時に存在している。これ如何に。
なんとなく不安になって横を見れば、同じように不貞腐れたような顔をした
相棒がいる。
この星が何度滅びても、何が変わっても、彼だけは常に共にあった。
「知らん」
簡潔な答えは、現状を説明してくれるものではないのに妙に安心する。
顔さえ上げてくれない彼は、何やら調べているようだった。
「わかっているのはこの星の発展に尽力すること。来訪者への対応、管理者の
フォローが俺たちの任務だと言う事だけだ」
「そりゃわかってるんだけどさー」
うーんと唸るデュオの前に、ずずいとヒイロ愛用のノーパソが突き出された。
「……これを見ろ」
「は?」
「………」
「……………ナルホド」
覗き込んだ画面に表示されていたのは、この宇宙全体の管理者が変わったという
お知らせ。
なんだか、人口が増えすぎて管理できなくなったらしい。
「…無計画っていうのかなー、これも」
「いい迷惑だ」
「でも、とりあえずは現状はわかったわけだ。じゃ問題ないかな」
ふむ、と頷いたデュオにヒイロが冷たい一瞥を与える。
「どこが問題ないんだ。学んだこの星のための言語も全て忘れた、それももう
一度や二度じゃないんだぞ」
つまらなげに言ったヒイロに、デュオが驚いたようにくるりと振り向いた。
「なんで?」
きょとん、と目を開いたデュオが続けた言葉は。
「だって、お前のことは忘れないんだから。オレはそれだけでいい」
「……………………」
ヒイロは無言になってしまった。
そうして、デュオはにっこりと微笑んだ。
掲示板的コトバ宇宙、どっきりゴワゴワララララ区に存在する卯宙には、着ぐるみを着た2人の防人が
仲良く(?)暮らしているのでしたとさ。
さて、あなたが訪れたときにお出迎えしたのは、どっち?
end.
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