「なあ、ココってどこ?」
「見ての通り、荒野だな」
「だから、どこ?」
「知るか」
ある日目が覚めてみれば、まったく別の場所に移動していた。
見渡すばかりの荒野。
確かに、何か引越しするとかいう話を聞いた覚えがあるし、ココが元自分がいた場所でもないこともわかる。
でも、思い出せない。
自分の名前以外、相手の名前以外。
ここがどこなのかさえ。
「確か、この星を、発展させなきゃなんだよなぁ」
なんとなく覚えているような気がするたった一つの「任務」。
「その為に人間を連れてくるんだったな」
なんとなく覚えている「方法」。
「……」
「……」
「ま、いっか!」
思わしげな沈黙の続く中、唐突に明るくなった声にヒイロは振り向いた。
先程までわずかに不安をにじませていたデュオが微笑んでいる。
「お前と一緒なら、なんか大丈夫な気がする」
そのままの笑顔で告げられて、ヒイロは眉を顰めた。
「…能天気」
「なんだよ、暗いよりかいいだろ」
わざとらしくつかれた溜め息にむかっときて睨み付ければ、視線を逸らすように後ろを向かれた。
「おい、ヒイ…」
「俺もお前と一緒で良かったと思う」
「え?」
振り向いて、続けて呆れたようにもう一言。
「なんて、言うと思ったか?馬鹿が」
「……………ほほう…」
静かな大地にバキッという鈍い音が響いた。
「金輪際、お前と一緒には仕事しないかんなっ!!」
「……」
不服そうなヒイロの視線は無視された。
広い卯宙のどこかには。
防人のヒイロくんとデュオくんが住んでいて、交替で
着ぐるみを着込んで防人をやっているそうな。
さて、その防人の名は?
それは皆さんご存知でしょう。
end.
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