恋の予感?



その時デュオは、カトルから預かったゼロシステムの資料をヒイロに渡すつもりだったのだ。

本当にそれだけのつもりだったのだ。
でも、ノックもせずに入ったヒイロの自室で彼は意外なものを見てしまう。

つまり、『ヒイロ・ユイの寝顔』なるものを。

よっぽど疲れているのか、それとも自分を信頼してくれているのか。
熟睡モードの寝息は乱れる様子もない。

相手はヒイロなわけで、どう考えても珍しいどころの話ではない出来事だった。

机の上につっぷしたまま、静かに上下する背中。

なんとなく側に近づきたくて、起こさないかハラハラしながらもすぐ側まで歩いていく。

顔を近づけても、やっぱり起きない。

今起きたら、殺されそうだな・・・。

そう思いながらもその寝顔をまじまじと眺めてしまう。

――――やっぱり、コイツ顔いいよなぁ・・・。

意外と自分はメンクイだったらしい。

しばらく、見惚れて。

そおっと、ホントにそおっとこめかみのあたりに唇を押し当てた。




ドアの閉まる軽い空気音がする。

その数秒後、いきなりヒイロはがばりと起きあがった。
心臓がばくばくいっている。はっきり言ってよくバレなかったものだ。

ホントは最初から起きていたのだけれど。

なんとなく、デュオがどんな反応を返すだろうと好奇心を出してしまったのだ。

結果は・・・・・・。

「なんなんだ、あいつは・・・」

まさかあんな事されるとは、予想もしていなかった。

これは脈あり、ととってもいいのだろうか・・・?

長く続けた片想い。どうやら、少なくとも新たな可能性はでてきたようである。


「まったく・・・」


それはそれで、ともかくとして。

ヒイロはとりあえず、めずらしくも真っ赤になってしまった頬の熱を冷まそうと。

必死で冷静になる努力を開始するのだった。


                                          end.




COMMENT;

あの話12です。本当はコレ、ここに載せるか迷いました。
卯宙で2222HITされた方に書いたものなのです。
しかあし!10話と違いこれは12話・・・やはりはずすには惜しい番号。
結局載せちゃいました(^^;
と、いうわけで。

2222HITER ゆっち様に捧ぐ!お題:『照れるヒイロ』でした。


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