いつもと同じバイト先からの帰り道。
なんの変わりも無いはずのお決まりのその道に、見慣れない店が出来ていた。
たしか先週までは何かの工事をしていたからそれの完成したものなのだろう。
木目調でどこかあたたかい雰囲気のその店は、どうやら手作りのお菓子の店のようだった。
ぶらりと入り込んだ店内で、ふとおもしろいものを発見した。
一体誰が舐め切れるんだというようなサイズのぐるぐるキャンディー。
白とオレンジの渦巻きは、果てしなく甘そうな様相を呈している。
ふと、同居人の顔が浮かんでしまった。
あの顔がこれを舐める姿は、意外と可愛いかもしれない。
たしか、甘いものが好きだった筈。
自分だったら吐く程に甘いだろうコレも、きっとヒイロなら美味しく食べてくれるだろう。
買ってみたい好奇心。
食べたくない本音。
食べさせてみたい衝動。
全て、円満解決。大団円。
ちりちりんと鳴るベルをくぐって店を出たデュオの手には、リボンのついた大きな飴。
きっと、ヒイロはちゃんと舐めきることだろう。
end.
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