Private Service


このコロニーの夜の街角じゃよくある光景だ。
ほんの出来心でそれをやってみたところで、まずバレない筈だった。

「なーお兄さん、遊ばない?」
「………」
「げ」

その時はまさか、それが奴だとは思いもよらず。
振り向いたその「お兄さん」の見覚えのあり過ぎる顔に、デュオは一瞬で頭から血が下がっていくのを感じた。

「えーと…」
「………」
「…その…はろーv」
「馬鹿かお前は」

不機嫌そうに目を細めこちらを見たヒイロが、デュオの手首を掴んだ。
引き摺るような勢い歩き出した彼に痛いと文句も言えず、デュオは首を竦めて素直にそれに従った。
真っ直ぐ向かうのは、デュオの部屋のある方向だ。
(や、そういえば住所送ったんだっけ先週)
疑問と同じに答えが浮かんだ。でもまさか、来るとは思ってなかったけど。
後ろ姿がなんとなく好みで、硬質な感じの頬のラインがこれまた好みで、少し固めの黒髪が決定打だったわけだが、まさか本人を釣り上げるとは思ってもみなかった。
まあ、代わりより本人のがいいに決まってるんだけど。

…少しは、怒ってたりとかするのかな?

掴まれた腕の強さにくすくす笑ってしまってから、振り向いたヒイロにデュオはにーっこり笑って囁いた。
もちろん嫌がられることを知った上で。

「お兄さん、サービスしてやろっか?」

案の上目に見えて眉が寄せられた。
安いもんだ。これくらいの意趣返し。オレが失くした、奪われたものに比べたら。

                                          end.




COMMENT;

フォルダ整理をしていて出てきた3周年記念企画・プラサビサイドです。
お題はうさ吟醸サイドの逆で「ヒイロがデュオの羽根をもぐ」でした。
既にプラサビさんのGWサイトは閉鎖されてるのですが、発見当時に和砂さんご本人に聞いたところ「お好きにどうぞ〜」とのことだったのでうさ吟醸に掲載しちゃうことにしました(・w・)

当時の記憶を辿ると、先に2本書きあげてからどちらを渡そうか悩み「暗いネタはやっぱり良くないよね…(-w-;」とこちらを送った覚えがあります。今見たらこっちのが明らかに短かったみたいで平謝りしたい心境になりました(汗)
ちなみになんでデュオが身売りのようなことしてるネタにしたかと言うと、「Private Service(←和砂さんのサイト名)って深読みするとえろい単語だよね!」という阿呆な理由でした。


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