■RO1x2=HEERO=吸いつく。舐める。食む。 突然のくちづけにもようやく慣れてきたこいつは、それでも逃げることを止める気はないらしい。 押し倒せば抵抗されるから、こちらもその辺りは手控える。 それでも引き気味になられるともうどうしていいやら、だ。 「…うう、あん時だけだって言ったのに〜…」 「俺は応じた覚えはないが」 「うう〜…卑怯者ぉ…」 半泣きになって抵抗して、でもその手に力が入ってないことが嬉しいんだと言ったら、もしかしたら本当に泣き出すかもしれない。 けれど真っ赤になってもがく姿が可愛いから、 今日もそのことには口を噤む。 押し込めた言葉の代わりに、キスをひとつ。 =DUO= 悔やむ気持ちはもうないけれど、時々尋ねたくなるときがある。 始めるのが怖いんだ。 だって始まったら終わっちゃうんだ。 始めなければ何も手に入らないけど、それでも怖いと思うんだ。 お前だったらきっと「バカだな」って叱ってくれる気がするんだ。 時々、尋ねたくなるときがある。 でもお前はもうどこにもいないと知ってるから。 今日もオレは、誰にも聞けない「答え」を一人考えている。 ■Postpet?=HEERO=今日デュオ・マックスウェルのところへいった。 デュオとあそんだ。 銘酒『うさ吟醸』をいただいた。 異常になでられた。 そうか、そういうことか。 --------- ヒイロ =DUO= 今日ヒイロ・ユイのところへいった。 ヒイロとあそんだ。 1回なぐられた。 エラーが出るほどなでられた。 作戦? 今日は花の種を手に入れた。ラッキー。 --------- デュオ ■under the rose=HEERO=『おい、聞いたか?また『死神』だそうだ』 それはいつの頃からか、密やかに囁かれるようになった名前だった。 誰も正体を知らない、気配のない、謎の男。 その男の傍らには幼い子供がいるのだという。 ―――だが、そこまで噂されているのに「どんな子供」であるのかは語られないのだ。 そんな信憑性に欠けた話に興味は無かった。 「邪魔だ」 話しかけてくる同業者の横を擦り抜け、上司の部屋へと向かう。 後ろから舌打ちが聞こえたが無視して足を進めた。 (気配をもたない最強の殺し屋) もし本当にそんな人間がいるのだとしたら。 いつか対峙することもあるのかもしれない。 だが誰が相手だろうと、自分がすることはどの道ひとつだけなのだ。 「来たか、ヒイロ。…ウィナー家からの御指名だ」 =DUO= 誰もいない時間、ひとりでゆっくりするのが好きだった。 中でも雨の日は格別だ。 耳に残る音階をなぞるように歌いながら、コーヒー豆を挽く。 その時、カランとドアベルが鳴る音がしたような気がした。 「…?」 でも空気が動いた様子はない。誰の気配もない。 (風かな…?) 五感に引っかかるものは何も無くて、一瞬逸れた気を手元に戻す。 念のため改めて気配を探っても、何も引っかからなかった。 (過敏になってるのかね) 溜息を吐きそうになったとき、ふいに視線を感じた気がしてデュオは慌てて振り返った。 けれど警戒は「それ」を視界に入れた瞬間霧散してしまう。 「…あれえ?」 そこには、見事に濡れ鼠になった男が立っていた。 (―――誰?) 「客だ」 疑問は声になっていたらしく、黒っぽい男はそう答えた。 自分の背後を易々ととった相手なのに警戒する気が起きなかったのは。 自分を見る彼が酷く途惑った様子だったせいかも、しれない。 ■すくすくでゅお福=HEERO=足なんて飾りだにょ! =DUO= でゅお福、はじめました。 ■ANGEL NOTE=HEERO=「ふん、うちのヒイロはやさしい子じゃからな」 「なにおう、うちのデュオとて愛らしさでは負けんて」 (…まだやっていたのか) 祖父と古馴染みだという爺さんがくだらない言い合いを始めたのは昨夜のことだった。 曰く『どっちの孫がよりすばらしいか』というものだ。 つまり爺馬鹿だ。 しかし、まさか一夜明けてもやっているとは思わなかった、とヒイロは他人事のように考えた。 言われているのが自分のことだろうと、ああも褒めちぎられると逆に気持ち悪くなるのが不思議だ。 「うちのヒイロは負け知らずじゃからのう!剣で敵う者は居まいて」 「はん!うちのデュオは術資質が高くてのう。既に塔から当代一とのお墨付きだって貰っておる」 「術なんぞなよっちい。男は黙って剣じゃろう」 「体力馬鹿とはお前さんに似ちまったのかのう。あー可哀想に」 「言いおったな!」 「おう、言ったわ!」 (別にどちらだろうと資質があればいいだろうに) 後ろの声は先程までよりヒートアップしている。 巻き込まれない内にヒイロは退散することにした。 『なあ、お前がヒイロ・ユイ?』 『その日』はまだ遠い遠い先のこと。 =DUO= 『秒速5センチメートル』。 この言葉の意味わかる? 桜の花が散る速度なんだってさ。 うーん。でももう一度見たいな、って言ったら怒られるかな。 知ってるのと知らないのじゃ見たときの気持ちが違うと思うんだけど。 あいつ狭量だからなー。 どうせ任務以外で地上に降りるのは〜とか説教たれてくるに決まってるし。 嫌だけど…でも、やっぱり、一緒に見たいし。 もう一度だけ、頼んでみようか。 ■Normal=HEERO=「好きだ」と言うデュオは信用できない。 あまりにも簡単に与えられるそれは、誰にだって渡されるもので 俺が欲しいのはそんなものではないからだ。 俺が何を言いたいのか理解した上で、デュオは笑って「好き」の安売りをしてみせる。 その言葉に出来ないもどかしさを、苛立ちを、どうすればいいというのだろう。 捕まらないから囚われるのか。 囚われたから捕まえたいのか。 戦争が終わっても、デュオは消えなかった。 「お前の任務は山積みだよ。だってオレを夢中にさせたんだから!」 笑うデュオに、簡単に「好き」と言うデュオに、俺はどうすればいいのだろう。 =DUO= キスは戦いだ。 人間の最もやわらかい器官による攻防だ。 油断すれば舌を噛まれるかもしれない、毒を流し込まれるかもしれない、 そんな危険と常に隣り合わせ。 …まあ、普通はそんなこと考えないんだろうけど。 キスは戦いだ。 少なくとも、オレにとっては。 そんな基本的なことすら忘れさせられそうになるから、 絶対に油断なんか、するわけにはいかないんだ。 |
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2007年12月12日企画をやった時、ラリースタンプのページに出来心で載せたSS達です。 |