【夜伽話2〜満月の夜には生け贄を〜(楊ぜん×天化)】









−明るいチャペルに人々の祝福が溢れ返る中、いよいよ蝉玉姫と隣の国の王子_楊ぜんが婚姻を交わさんとする瞬間−
「ちょっと待つさ!!」
飛び込んできたのは執事の黄天化(爆笑再び)。
人々がざわめく。姫は昨夜の情事を思い出したのか、顔を赤らめる。皆が動揺する中で一人だけ冷静だった蒼い髪の王子、楊ぜんが睨み据えるな目つきで執事に近づいていった。
「なんだい?君は?」
上から見下ろして口を開く王子。はらはらしながらそれを見守る姫。天性の負けん気で王子の瞳を見つめ返す執事。口々に好きなことを言いながら状況を把握しようとする民衆。一体この風景はなんなのだ‥‥?
「僕たちの結婚になにか不満でも?」
「不満大有りさ!!」
執事が叫ぶ。姫が執事に走り寄る。
「‥‥ごめんなさい‥‥やっぱり貴男と結婚はできません‥‥」
「なっ!?何故だ、姫!僕たちはもう婚約もしているし、何より今ここでこうして、結婚しようと‥‥」
王子動揺。民衆硬直。執事仰天。姫必死。ベールをはずして執事の横に立つ。
「だって私は‥‥」
「一体どうしたんだい?姫。まさかこの男と寝たなんて言うんじゃないだろうね?」
 ブチッ
執事の何かが切れた。姫はかなり焦った。
現在状況−手遅れ
「御名答さ、王子様!俺っちは姫様を抱いたさ!!!!」     
民衆のどよめきも、王子の怒りも、姫の焦りも、執事の暴走も留まるところを知らない。
「僕の妻となる女性を傷物にした罪は重いよ‥‥?どうやって償うつもりだい?」
「つ、‥‥償う?」
「今夜、僕の部屋に来い。話はそこでだ。必ずだぞ。」
王子は背姿も凛々しくその場から立ち去った。執事は悔しげに宙を睨んでいた。

そして偶然満月の浮かんだその日の夜。王子の部屋の扉を執事が叩く。
「約束どおり来たさ。一体何のようさ?」
「鍵はあいてる‥‥入ってこい。」
冷え切った声が部屋の中から返ってきた。ぎぃと扉を押し開ける。薄暗い部屋にかすかな明かりがゆらゆらと動いていた。
王子の影が大きく映し出され不気味に見える。
「よく来たね‥‥」
王子の手が執事の顎の下に滑った。執事の躯がびくんと揺れる。その顔を満足げに見つめて王子は軽く口づけた。
後ずさりしようとした執事の喉の奥に何かが吸い込まれていこうとしていた。
「な、なにしたさ?」
得体の知れないものを飲み込んで動揺する執事のそれは軽く勃きあがっていた。
王子が執事に口移しで飲ませたものは媚薬であった。次の瞬間に無理矢理執事の躯を寝台に押しつけて服を剥ぐ王子の眼は獣のようにぎらぎらと光を放っていた。
「嫌っやめるさ!!」
凄まじい力で押さえつけられて必死に抵抗する執事。
言葉や感情とは裏腹に貪欲に快楽を求めているその躯を王子はかき抱いた。
まだ慣らされていないそこに強引に舌を差し入れて滑らせた。
執事の漏らす喘ぎを楽しむかのように王子は愛撫を続ける。執事の入り口が少し緩み始めたのを王子は確認し指を差し入れた。
「ひぁっ痛っっ」
「我慢して‥‥」
もう一本指を差し入れて中をかき回すように動かした。ある一点を突くと執事の躯が過敏に反応している。
「ここ‥‥ここが感じるんだね?」
なんどもなんども同じところを責め立てられる快感にその身体を支配され溜まらなくなった執事はびくんと大きく振るえたかと思うとすぐに果てた。
「‥‥もうイっちゃったの?淫猥だなぁ‥‥」
クスクスと笑いをこぼしながら王子は自分の手に付いた執事の先走りの密を舐め取る。
まだ快感の余韻に浸っている執事の脚を開き一気に奥まで分け入った。
「痛っっっっっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
しばらくしてゆっくりと王子が動き始める。それに合わせるかのように執事の吐息が切れ切れに響く。
だんだんと動きを早くする王子に執事の息は喘ぎ声へと変わっていった。
2人はほぼ同時に果てたが執事の薬による情欲と王子の貪欲なまでの欲望とでは違いがある。
荒い息をついてもう終わりにしようと思う執事に対して王子はまだまだここからが本番‥‥とでも言うのだろうか?
とにかく執事は朝まで‥‥というより昼まで。一睡もできなかった。何度も何度も王子の欲望の生け贄として捧げられていたのだから。







END.