〜愛、溺れて〜
彼と彼女は床の上でひし、と抱き合う。
・・・・・・手強い。
太公望は心中で唸った。
全身筋肉質。
ふるふるふる。
首を振って言い聞かせる。
これでも女だ。
多分、おそらく、女だ。
固そうな胸。
逞しい二の腕。
息苦しい・・・。
硬直されると、このまま締め付けられるようだ。
「ビーナス?少し・・・力を抜いてくれぬか?」
抱き締めた体の後ろまで、己の腕が回らない。
ま、それはいいとしよう。
抱き締めているというより、なんだか高い木にくっついてる蝉のような気分なのだが、それもまあいいとしよう。
「ご、ごめんなさい、太公望様・・・・・・私・・・」
上から野太い声。
しかし恥じらうように頬を染める、可憐な仕草。
太公望はそっと爪先立つ。
「私、その・・・・・・・殿方と、こういうことをするのは、初めてで」
太公望は、己の2倍以上はあるかと思われる彼女の顔に、手を添えた。
まあ、ビーナスの体の部位は、どこをとっても太公望より2倍以上あるだろうが。
初めて。
初めての体。
というと、開拓・・・(誤)。
男の浪漫だな、うんうん。
ビーナスの豊満な肉体を前に、なにやらドー〇ー海峡を泳ぎ渡るような、マッ〇ーホルンに登頂するような、宇宙に進出する毛〇さんのような心境に至る太公望であった。
「全て、儂に任せよ。のう?」
ニッコリと。
誰もがその微笑みの前に屈した。
かつて戦場で相まみえた目の前の彼女も、同じように。
なんか絶対体格に無理があるような気がする。
まあ、鍵と鍵穴があればやはりそれぞれのサイズも合わないと扉は開かないわけで。
けれどここまで来たのだし!
何やら決意に燃えている挑戦者である。
「ああっ・・・太公望様・・・」
普通はヤラカイモノを固くするモンなんだが、この場合はまずヤラカクしないと入るモンも入らない。
筋肉をほぐし、固いところを柔らかく手練手管でもって解きほぐしながら、太公望はゴールを目指す。
なんだかやってることがよく分からなくなってきたが、この海峡はとにかく深く冷たく厳しいモノだ。
前戯にたっぷりと時間をかけ、筋肉も茹だって来た頃、そろそろか、と己の分身を秘所にあてがう。
途端に其処は、狭まって太公望の侵入を妨げてしまう。
何度かまた指を使ったり言葉でもって彼女の緊張をほぐし、宥めるように体を従えさせていく。
そしてようやく挑戦者はその入り口の門をくぐった。
「くっ・・・・・・」
女より先に声を上げないように。
「あ、ああっ」
初めて迎え入れた雄に、彼女は身を震わせる。
それがまた、中へ圧力を加えてしまう。
「ビ、ビーナス、もうちょっと力を抜いて・・・・・・」
内壁の襞というより、その上の筋肉を、太公望は感じた。
ものすごい勢いで押しつぶされそうだ。
気持ち良いんだか悪いんだか。
とにかくこのままではイク前の腹上死・・・それだけは裂けたい。じゃなかった避けたい。
大体この体勢では(入れたまんまだ)顔と顔が合わない。
今太公望に見えているのは、鍛えに鍛えまくった彼女の胸筋である。腹筋でないだけマシと言うべきだろうか。
太公望はむんずとそのでかい乳を掴んだ。
これがまた全然柔らかくないんだな。でかいのに・・・。中味は筋肉だけなのか。勿体ない。
しかし感じるところではあるらしく、太公望が乳首に歯を立てると彼女の咽がヒュッと鳴った。
「ひぁっ」
途端にさらに狭まる内奥に、太公望は必死に留まる。
「これ、ビーナス!力を緩めよ、というのに・・・・・・」
なんだか食われるように、奥へ奥へと引きずり込まれていく。
マジ、食われるかもしんない(汗)。
気分は食虫植物の中の虫。
そして彼女の最奥を、尖端が突いた。
「あっ!ああっ!」
か、勝手に引きずり込んで勝手にイキそうになっている!
しかし太公望も既に限界を感じていた。
まだちゃんと動いてないのに・・・。
まあこれも珍味という奴なのかもしれない。
けれどゆっくり味わってる暇が無い、惜しいことに。
仕方ない、2回目からもう少し丁寧に時間をかけることにして今回は・・・(2回目をやる気があるところが素晴らしいです)。
太公望は既に恍惚の表情でイッちゃっているビーナスに優しく囁く。
「ビーナス、出るぞ」
途端に、彼女の中で質量を増すそれが、迸った。
「あっあっああーっ!」
くた、と一瞬力が抜けたのを見逃さず、太公望は己を引き抜いた。
ふぅ、やばかった。
このまま食われるかと思った。
汗を拭き吹き、太公望はビーナスの体を見下ろした。
大きく息を吐いて呼吸を整える様は、なんだか瀕死のゴリラ・・・もとい薄幸の美少女のそれのようで、太公望は無理をしすぎたか、と少しばかり反省する。
いや、無理をさせられたのは彼の方のような。
彼女は初めての経験に自失しているようだった。
緩くウェーブのかかる金の髪に、太公望は口付ける。
ああ、やはりドー〇ー海峡はすごかった・・・。
何やらものすごい達成感である。
42,195kmを走り終わったマラソンランナーである。
地球はやっぱり青かったよの〇利さんである。
「太公望、様・・・」
弱々しく、けれどやはり野太い声で彼女は名前を紡いだ。
「うん?」
打ち上げられたトドもとい薄幸の美少女に、太公望は優しく促してやる。
「もし、私達に子どもが生まれたなら、お兄さまの名前を付けてもよろしいでしょうか?」
ビーナスのお兄さま。
というとちょーこーめい。
嫌だそんな名前。
じゃなくて。
太公望は一瞬真っ白になった。
それから彼の優秀な脳をフル回転させていく。
しまったコン〇ーム忘れておる。
いや、今さら種も畑も何もないだろうが、いくつだと思ってんだお互いに。
ってなんか違う。
「う、まぁ、それはまだ・・・・・・先のことではないか?」
行為をしたすぐ後だけに生々しく聞こえる問いに、彼の優秀な頭をもってしても答えられるのはそこまでだった。
「もう、休むが良いよ。疲れたであろう?」
「ええ、でも、まだ」
食虫植物は(案外本当に原型はそうなのかもしれない、だって兄が兄だし)優雅に微笑んでその唇を開く。
2回戦突入。
「・・・・・・・・・・・・(マジかい)」
微笑みに少し冷や汗が流れ。
しかし期待を裏切らない男、太公望。
ドー〇ー海峡はもう渡った!次はマッ〇ーホルンだ!さあ、生きて帰ってこい!
己を奮い立たせて登頂に挑む。
彼と彼女の、更なる充足を得るために。
fin
ビーナスは名器だと思います・・・ええ・・・(笑) あのでっかい体の奥まで届いたってことは、太公望も体の割にはナカナカ・・・ これからさらなる開拓の日々ですわね! かわいい女の子を作って下さい! (草子)
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