子羊の寝顔





太公望と四不象がキョウ族の村に現れる前の話・・・

「老子!起きて下さい!老子!」

老子の怠惰スーツの横で邑キョウが怠惰スーツを揺さぶっている。
当然その怠惰スーツの中には老子が眠っている・・・。

「・・・・・・・」

やっぱり起きないかと思い邑キョウは左の手首につけているブレスレットのボタンを「カチッ」と押した。

「老子!姿を見せてくださいっ!」

ジッジジッジジッジッ

「ふぁー・・・ああーいやだ、なまけたい・・・なんだい?邑キョウ・・・」

騒々しい邑キョウに眠そうな老子が応えた。

「大変です老子!子羊のメルトリアンがいないんです!」
「おやすみ〜・・・」

即答に老子が応えた。

「老子!」
「そのメルトリアンって?」

老子はしかたなく話を聞くことにした。

「子羊のメルトリアンは封神演義の第18部・太上老君をめぐる冒険のP.28.P.29.P.31に出る予定の子羊です」

(邑キョウがなんで知ってんだって感じますがそこの所は気にしないで下さい)

「・・・・・・・」

ちょっと老子は困った。

「心あたりありませんか?」
「うーん・・・あのさ邑キョウ・・・言いにくいんだけどさ・・・」
「なんですか?」
「どうしよっかなぁー・・・」
「どうぞ気にせず言って下さい」

と、邑キョウに言われたので気にせず老子が言った。

「私の怠惰スーツの下でその子羊らしき羊がさっきから眠ってたよ・・・」
「え?・・・」
「邑キョウの後について来て疲れちゃったのかな?でもよく来れたね桃源郷からこんな所まで・・・」

子羊のメルトリアンの寝顔を見ている邑キョウに老子が言った。

「クスッ・・・そうですね」
「でもどうしてこの羊を探してたの?」

子羊を見ていた邑キョウに老子が問う・・・すると邑キョウは子羊を見ながら

「それはですね・・・この子羊に成長を遅くする薬を与えなきゃならなかったんです」
「なぜ?」
「この体形のままにしてかわいい私のペットに・・・」
「その子羊じゃなくても他の子羊でもいいんじゃないの?」

老子の一言に邑キョウはキッとした。

「この子羊には他の子羊にはないこの美しい瞳とこのふさふさの毛!それでもきどってないこの子羊こそ私のペットにふさわしいのです!」

老子は邑キョウがかなり「人が変わった・・・」とおもった。

「では老子、私はこの子羊を連れて帰ります」

眠っている子羊を抱き上げながら邑キョウが言った。

「そうかい?じゃ、私はもう眠るよ・・・」
「おやすみなさい、老子」
「おやすみ〜・・・」

邑キョウは老子を背に向けその場を去った。
そして老子はまた長い(長すぎる)眠りについたのである・・・。

                                                       

                                                                 



おわり