続・インプリンティング
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微動だにせず互いに見つめあう二つの影。
双方ともに憂いの色が深い。
「最初から無理だったのだ……」
「師叔……」
「もう、終わりにしよう、楊ぜん」
「……できません」
「互いに傷つけあうなどコドモのすることだ。もう、やめよう、つらすぎる。それが互いにとっても最良の道だ」
「僕は……つらいと思ったことなど一度もありませんっ」
「頼むっ……聞き分けてくれ、楊ぜん」
「師叔っ!!」
耐え切れず、楊ぜんは太公望の肩を掴む。
「痛ッ――――――!!!」
太公望の寝室で今回もやっぱり騒ぎが起こっている。
「急に動くなっ、それ以上入れるなっ! ぎゃあっ! 息をするな――――っ」
「ムチャクチャな……」
「ムリだっ、ツライっ。頼む、やめようっ」
「ちょっとの間、動かないだけでいいってゆう約束じゃあ……」
「それでもツラかったのだっ、仕方なかろうっ。おぬしとて傷だらけではないかっ」
確かに楊ぜんにも、青アザ、引っかき傷などが無数についている。
全て太公望が暴れた時につけたものだ。
「だから僕は構わないと……」
さっさと再開しようとする楊ぜん。
「……おぬしが傷つくのはイヤだ」
「へ?」
それを予測もしていなかった太公望のセリフがくいとめる。
「わ、わしはおぬしを傷つけるなど、耐えられん……クッ」
辛そうに顔を背ける。ずいぶん思いやりのある態度だ。ただ少々演技くさい。
さすがにそれくらいは感じ取れるようになった楊ぜん。にっこりと微笑む。
「じゃあ、両手両足縛ってあげますよ。そうしたら万事OKですね」
「なにいっ! そしたらわしだけが痛い思いをせねばならんではないかっ」
「…………」
楊ぜんはかなり冷ややかな顔に変わっている。
「やっぱり、意識して暴れてましたね」
「なーんのことかのう」
シラを切っても当然もう遅い。
「もう、いいです」
「ぎゃあ―――――っ、いきなりかあ―――――!!」
やっぱり最後は前回通りに無理矢理スタート。
「くはあ――――っ、つかれたあ―――……」
太公望はうつ伏せでベッドに横たわる。横には当然楊ぜんがいる。
「はあ、何か変わるかと思ったが……前より疲れたぞ。カラダ痛いし」
「もうちょっと協力してくれたらヨクなるんですけどね」
「協力――――? おぬしの力不足ではないのかあ?」
「なっ! それじゃあ、コトの最中に笑わないでくださいよっ」
「おぬしがこそばかすからだろうっ!」
「くすぐってるつもりなんかありませんよっ……それに一度僕の顔を見ただけで笑いましたね」
「いやあ……あれはなーんとなくな。妙に真面目だったのでのう」
さすがに言い訳しようがない。
「やっぱり非協力的だ」
「ああ、もうよいっ、協力ウンヌンの問題ではないわ。所詮わしはオンナではないし、その点でおぬしを責める筋合いはないわ」
「そう結論づけられるとちょっと悲しいんですけど」
「おおっ、いいことを思いついた。おぬしがオンナに変化してだなあ……」
「ヤですっ」
速攻言い切る楊ぜん。
「おぬし……なんちゅう態度だ。おんなじ立場なのにわしがツライほうをやってやってるのだぞ」
「当然でしょう」
「な、なんという傲慢さ……まあ、よいわ。もお今は眠い、寝るぞ」
「ちょ、ちょっと、勝手に寝ないでくださいっ。折角明日休みなのに」
「……だから?」
「もう1回ヤってみましょう。連続でしたらよくなるかも」
「やだ」
簡単に言い切って顔を反対側にむける。
「師叔―――……」
「…………」
すでに寝の体制に入ってる太公望。規則正しい呼吸が聞こえてくる。
「ひゃっ!」
その太公望がいきなり声を上げる。
「ぎゃはははははっ、くすぐったいっ、くすぐったいってっ!」
楊ぜんが太公望の首筋に口付けている。
「……ここもダメなんですかあ?」
「だから、ぎゃはははっ、こそばゆいって! そこは弱いと言っておるだろう! 前からっ」
楊ぜんが急に止まる。
「……聞いたことありませんよ」
「あ、あら、そうだったかのう……」
「だーれに言ったんですか」
楊ぜん目がスワり気味。
「あの方ですね。竜吉公主さま」
「げっ、なんで分かったのだ?」
「分からない訳ないでしょうっ」
酔っては楊ぜんの髪をきれいな黒髪だと誉めるわ、寝ぼけては竜吉の名前を呼びながら抱きついてくるわ。
「これほど続けば誰だってわかりますよっ。しかもいっつも彼女と僕を比べてる節があるっ」
「そうだったかのう……」
さすがに反論のしようがない。楊ぜんの目線が痛い。
「竜吉公主のほうが僕より大事なんですね」
「……楊ぜん、全く何を言っておるのだ……」
呆れたように太公望は起きあがって楊ぜんの手を取る。かなり口調が優しい。
「わしはおぬしが好きだぞ。現にヤラしてやってるではないか。痛いのに」
しつこいぐらいそこを強調する。
「信じられんのか?」
しかし、かなり上品に微笑む。
「師叔……すいません、取り乱してしまって……」
楊ぜんも手を握り返し互いに見つめ合う。
「よいのだ、楊ぜん」
「師叔……」
甘いムードが流れる。しかし……
「で、僕と竜吉さまどちらが大事ですか?」
「公主」
太公望の即答に楊ぜんの時は止まった。
「公主さま?」
崑崙山で碧雲が妙な様子の竜吉を見つけた。
「何を笑ってらっしゃるのですか?」
「いや……あまりにも嬉しすぎることとオモシロイものを見たのでな」
当然、竜吉がふたりの様子を見ていた。
竜吉は太公望のセリフと楊ぜんの振り回され方で顔が緩むのを何とか耐えていた。
顔を隠しているが体は笑いを堪えるので震えている。
「やはり太公望は私のもののようだな、楊ぜん」
笑いながらも勝利に満ちて竜吉は呟いた。
終
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砂糖大根さんのあとがき
こちらもついでに送っちゃえ―――――(笑)
それにしても、この頃はワタシ素直ですなあ(?)
オトコ同士で性欲が沸くのか?
っちゅう最大の疑問を無視してますな(笑)
……それを言っちゃあおしまいやん(ドツボ)
そうそう、裏ではそんなコト無視無視。
そして、竜太(おい)
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草子の感謝の言葉
うっわ・・・めっちゃ清らか・・・(笑)
ファイル作ってる時も、一人でにっやにやしてました。
あまりにも嬉しすぎる展開なので。
わめく師叔と上品に微笑む(笑)師叔と顔見ただけで笑う師叔と
・・・最後に笑う竜吉サマ?
ああ、もうこれすっごい好き。
ところで楊ゼン君って、女に変化してる時はやっぱアノ部分もちゃんと女なんでしょうかねえ
なんか雌雄同体のカタツムリみたいで便利だなあ(?)
オトコ同士で性欲・・・わくのかねえ。愛の力?(優等生っぽい答え)
私的には、オトコ同士よりもオンナ同士のがまだふわふわしてて
楽しいと思う・・・。
砂糖大根さん、ウツクシイ裏をありがとーーーーー!