義理と人情

 








僕はもてる。
容姿端麗。
頭脳明晰。
さらに各パラメーターも最高値に近い。
これでもてない方がおかしいというものだ。

 

だから、大抵の人物は僕の自由にできる。
例えば――――

 

 

楊ぜんは太公望の腕を掴んで、そのままベッドに叩きつけた。

「よ、楊ぜん……?」

太公望は少し怯えた声で目の前の人物を見上げた。
楊ぜんは無表情に太公望を見下ろす。
いきなりだった。

「な、なんなのだっ……!!」

いつもと違う楊ぜんの様子に恐怖を感じながらも、強気に叫ぶ太公望。

「人を乱暴に扱うな! 一体何様のつもりだ!!」
「いやだなあ……」

静かに笑う楊ぜん。

「この状況で何をするもないでしょう?」

ゆっくりと楊ぜんは自分も寝台に乗り上げた。
ベッドがきしんだ音をたてた。

「……楊ぜん?」

本能的に後ずさる太公望。

「ぐっ……!!」

その距離が離れないうちに楊ぜんは体重をかけて太公望を布団に押しつけた。

「痛い! 何をする!! 離せ!」
「うるさいですよ……」

わめく太公望に対して楊ぜんの言葉は冷たい。

「んっ……」

急に楊ぜんは太公望の首筋に口を這わす。

「ちょ、やめっ……!」
「黙ってくださいよ、あなたは僕のすることに反応してればいいんですよ」
「ふざけるな! いいかげんにせ……うっ」

文句も途中で途切れてしまう。

「いやでもそうしてあげますよ」
「や、やめ……楊ぜんっ」
「いい声でないてくださいね、僕のために」
「うあ……」

楊ぜんの動きにより、反射的な太公望の声があがる。

「このバカモノっ……」

そして非難の声はむなしく響くだけだった。

 

 



僕が何かをするたびにあがる嬌声。
すでに僕の手のうちにある太公望師叔。
この通り、こういう相手であろうと、こういう風に手酷くしようと僕には逆らえない。

僕の自由になる。



 

 

トゥルルルルル―――――

トゥルルルルル―――――

 




突然、ベッドの側の内線が鳴った。
それを聞いて、楊ぜんの動きが止まった。
腕の中の太公望が、はあっと一息ついた。




トゥルルルルル―――――

トゥルルルルル―――――




呼び出し音はまだ続いている。
しばら考えたあと、楊ぜんは妙な笑みを浮かべ受話器を取った。
無言のまま、自分が組み敷いたままの太公望に手渡す。
このまま対応に出ろと言うことだ。

「…………」

実に悪趣味な行為。
それに対し、意外に素直に太公望は受話器を受け取った。

「……もしもし?」

そしてあっさりと対応を始める。
その対応にはさっきまでの行為など微塵も感じさせない。

「武吉か? どうした? 何? ん、そうか、それは困ったのお……」

話が本題に入ったらしいところを見計らって、楊ぜんは再び動き始めた。
一瞬、太公望の目は楊ぜんを見上げたが、すぐに視線をそらした。
予想していたコトらしい。
それを見て、楊ぜんは見下すように笑った。
強情をはってもムダである。
その内、耐え切れなくなって、回線を通じてこの情事が他人に伝わるのだ。
それを想像すると、どうしても意地悪く笑みをこぼしてしまう楊ぜんだった。
楊ぜんは激しく太公望を揺さぶった。

「うむ、そうか……ふーむ……」

ガマンしているのだろうか、太公望はまだ会話を乱さない。
楊ぜんは一層激しく太公望を揺さぶった。

「ふむ、それならのお……」

中々、強情だ。
楊ぜんはピッチを上げてみる。

「……ふーん、そうか、そうか」

まだ、乱れない。

「よし、それなら心配なかろう」

さらに一層、激しく動く楊ぜん。

「ん? なんかキシんでる? はっはっは、気にするな。ちょっとした体操だ、体操」

――――楊ぜんは固まった。


「――――うむ、ではな、お休み」

しばらく会話した後、平気な顔して受話器を置いた太公望。

「ん? なんだ続けんのか?」

そして、ニヤリと笑って太公望は楊ぜんを見上げた。
楊ぜんは白い顔をしていた。
完全に自身喪失状態である。

「途中までは付き合ってやったのだから感謝するのだぞ」

最後に笑いながら太公望が言った。

 


言っておくが、僕はもてる。
大抵の人物は僕の自由にできる。

――――だから、たまにはこういう対応をする人物がいて、ちょうどいいのである。

 














 

もお、めっちゃくちゃ好きな内田春菊からのパクリです(おい)
当然、ほんまはオンナやね、相手。
電話中に喘ぎ声を出させようとイジワルしたのに、うんともすんとも言わせられんかったっちゅうお話(意味わからんから解説(笑))
ホモネタにしてごめんなさい――――ファンの方――――(涙)
はあ、ほんまはレズネタでいきたかった……濡れ場(濡れ場あ?)





草子の感想

いや、もう、私は、砂糖大根さんの太公望を愛しているのだと思ってたけど
もしかしたらそれ以上に「砂糖大根さんの楊ゼン」を愛しているのかもしれない―――――――
いやーん、もうめっちゃカッコイイ!(爆笑)
ベットにたたきつける、だよ?!
「いい声でないてくださいね?」だよ! 
「いやだなあ」と言って押し倒して静かに笑う、だよ!? 奥さんっ!
もうかっこよすぎてかっこよすぎて涙が出ます(ひいひい)
攻め攻め男全開(激笑)でお腹痛いようぅぅぅぅ(涙)
はあ。もうアンタちゃんバカなんだから。アホなんだから。(私もな)
それにしてもこの師叔、最強すぎて言葉もないです(やっぱり爆笑)
なぜか途中まではつきあってあげちゃってるところが、ますます性格悪いというかひんまがってそうで素敵すぎ。
やっぱり理想の師叔―――――――!!!!
男のケツなんてあんまり見たいもんでもないですが、この話の二人がいたしてるところは
盗撮して眺めて大笑いしたいです(笑)
もうごちそうさまでした。もうダーク全開なので(笑)色もダークっぽく(というかスゴイ色だな、コレ)目にしみるような組みあわせにしてみました。
はあ。ありがとうございます。幸せもんです。素晴らしすぎました。
こんな題名つけちゃうあたりもすごいと思うよ(笑)
内田春菊は私も大好きさ。




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