月光の奏






月が綺麗に空に浮かんだ夜_事務を終えた楊ゼンは夜道を散歩していた。近くの
湖の水面に月光が反射して眼を引いた。否、眼を引いた理由はそれだけではなか
った。湖の方角からなにやら水音が聞こえたのである。生い茂る木の間に歩を進
めた。
「誰か居るのかっ?」
「!?きゃぁぁっっ」
湖の淵には一糸纏わぬ姿の蝉玉が居た。下ろした髪から水が滴り落ちている。
「な…なんだ…蝉玉くんだったのか……」
月光が蝉玉の濡れた躯に反射し、楊ぜんは眼を奪われた。勝手に眼が動き舐める
ように凝視してしまう…
「やだ!なに見てんのよ!!」
楊ぜんは眼を細め何も言わずに蝉玉を見つめた。そして一直線に歩み寄る。楊ぜ
んの眼の真剣さと威圧感に蝉玉は一歩も動けない。
「綺麗ですね…いつもの蝉玉くんとは思えないくらいに…」
蝉玉の肩に手を伸ばし濡れた躯を強引に抱きしめた。蝉玉の頭の中では既に抵抗
すると言う発想はなかった。
「僕に…一晩貴女を貸してもらえませんか…?今宵だけでも…」
「…はい…」
立ったまま堅く抱擁を交わし楊ぜんの手は蝉玉の滑らかな素肌を愛撫した。蝉玉
の口から漏れる愛らしい吐息を塞ぐように楊ぜんは唇を重ね強引に倒れ込んだ。
湖畔に飛沫と波紋が広がり水音と火照った体に心地よい水温が蝉玉を引き戻し
た。しかし…楊ぜんと快楽の中に留まることを選んだ。
「…美しい…」
華奢な肩を抱き竦め、ふと呟く。その言葉に蝉玉の中に残っていたわずかな理性
が音を立てて消えた。
「楊ぜんも脱ぎなさいよ…ね?」
肩を抱いていた腕を解いた楊ぜんの躯を軽く動かし体勢を逆にとる。
「じゃぁ…脱がせてあげる…サービスよ?」
水中で激しく絡み合う獣2匹。楊ぜんが再び蝉玉の上になり蝉玉の乳房に手を触
れ、顔を埋めた。蝉玉の唇からは淫らな息遣いが聞こえる。
「着痩せ…してるんですか??大きいですねぇ…?」
「く…口に出して言わないで…んはぁっ」
楊ぜんの唇が蝉玉の乳首に触れ、前よりも一層淫らさを増す蝉玉の息遣い。それ
に調和されるように狂った楊ぜんの息がさらに蝉玉を昇らせていく。楊ぜんの舌
は蝉玉の乳房の下のラインをなぞり体中を滑った。腰を抱き上げ湖の淵に蝉玉を
座らせる。蝉玉は頬を赤らめ淫らで無防備な姿を曝け出した。彼女の太股に楊ぜ
んは頬を寄せる。快感の中に墜ちても羞恥心を失っていなかった蝉玉が水に濡れ
たしなやかな人形のような脚を綴じると月明かりが屈折して楊ぜんの手に影を落
とす。
「…っっ…」
耐えられない欲望に身を委せるかのように蝉玉の脚の付け根から膝までに何度も
手を滑らし顔を埋めた。蝉玉は躯を反り返らせるようにして柔らかな草の上に身
を投げ、どんどんと淫らさを増し荒くなっていく自らの吐息を聞き取り、同じ状
態にある楊ぜんの吐息を太股に感じ取り体の中に計り知れない量の麻薬物質が流
れ出すのを感じた。
「んあっ…はぁっ…はぁっっ…」
甘く淫らな声が夜の湖畔に響き渡り楊ぜんの欲望はそれを聞いた瞬間にさらに膨
らんだ。
身を硬くし脚を綴じる蝉玉の太股を無理矢理に押し広げ手を触れてみる。
「やめっ…あんっっ…はっ…」
楊ぜんの手の動きに合わせて蝉玉の声が途切れ途切れに辺りに響く。楊ぜんが頬
を寄せ唇を触れると蝉玉は観念したように口を開いた。
「お願い…っっっ楊ぜん…早くしてっっっ…」
楊ぜんは唇をはなしもう一度指で触れる....ぐっと力を込め指を差し込みゆっく
りと動かした。
「いやぁっっ……んあっ…も…もっと…っ」
拒んでいるのか要求しているのか解らない蝉玉を弄ぶかのように激しく指を動か
し本数も増やしていった。
「いつもの蝉玉くんとは思えないぐらいに弱気ですね…」
「はやくしててばぁっっ…くはっ」
楊ぜんが差し込んでいた指を一気に引き抜くとぐちゅっという淫らな音と蝉玉の
喘ぎ声の和音が辺りの静けさを破った。蝉玉は地面に縋り付くような体勢になっ
て荒い息を立てている。楊ぜんは軽く一息つくと蝉玉の白濁した水の滴る洞窟に
自分自身を宛い一気に突き上げた。
「んうっ…はぁっ…」
蝉玉の躯が跳ね上がり喘ぎ声を放つ。
「中で…構いませんか…?」
荒い息のまま頷く蝉玉の躯を抱きさらに何度か突き上げる楊ぜんの動きに蝉玉の
息は壊れそうに荒くなりそれに伴って楊ぜんの息もまた淫らになる。蝉玉の胎内
に精が放たれた後、蝉玉が倒れている地面の横に楊ぜんは躯を横たえる。しばら
く2人はそのままで荒い息を立てていたがやがてまたどちらからともなく抱き合
い、絡み合い、淫らな行為を繰り返す……月の光に照らし出された美しい2人
の姿はこの世のどの芸術作品にも勝るとも劣らぬものだっただろう…