太乙の日記

外で新しい宝貝のためのデータ採取をしていたら、散歩中の玉鼎が通りかかった。いつも物思うような顔で、でも実際は何も考えていないこの男が私は苦手だ。気付かずに通りすぎてくれよ〜〜〜と心で必死に願ったけど駄目で、玉鼎がニコニコと近づいてくる。そうなると無視するわけにもいかず、少し立ち話をした。宝貝の実験をしていると言うと、「太乙は頭がいいなあ」とナチュラルに感心する。どうしてかわかんないけど、玉鼎に言われても全然うれしくないんだな。これが。話題がないので、あんまり興味もなかったけど玉鼎に質問をした。「その髪、切らないの? 願掛けかなんか?」「は? 髪?」「邪魔でしょー。そこまで長いと」「うーん。邪魔と言えば邪魔かも・・・。でもな、太乙。髪が長いと、冬、あったかいんだ」「・・・・」「貧乏になったら切って売ることもできるし。そしていざという時には、女装だってできるんだ!!」「・・・・・・いざという時っていつだよ・・・」「ははははは!」私のツッコミを無視して玉鼎は爽やかに笑っていた。その顔を見て少し腹がたった。「玉鼎、目の下のシワ、薄くなったんじゃない? よかったね―――」イヤミを言ったらすっとした。でも、玉鼎は負けなかった。私の言葉に実にうれしそうに頷く。「敬老の日に、楊ゼンが私にドモホルン○ンクルをくれたんだ」
・・・・天然なんて嫌いだ。