注:私はノータッチよ(笑)

 

 


 
 

 

きみがいない








 

 

 

 

「昔話を――……」

「はい?」

「昔話をしてもよいか?」

膝を抱えて座りこんだまま、太公望は不意に呟いた。
側には四不象のみ。
四不象には太公望の後姿しかわからない。

「御主人……」

数々の犠牲者を出した争いが終わった直後のことだった。

 

 

 

「何から話そう……」

四不象に話しかけたにも係わらず、太公望は返事を待つことなく口を開いた。
ひとり言に近いのかもしれない。

「…………」

なんとなくその心情を察して、四不象は無言で耳を傾けた。

「十二仙……そうだな、十二仙たちのことから話そう」

太公望は淡々と話し出す。
逆に、心の中は混濁しているのではないだろうか。
今までの辛い思いを押さえ込んでいるのではないだろうか。
自分の前まで虚勢をはらなくてもよいのに――――
四不象は思ったが、やはり口には出さなかった。
出せなかった。
それほど、今回の太公望は失ったものが多すぎる。

「十二仙の玉鼎はな――……」

そうだ、思えば玉鼎真人、彼が最初の犠牲者だった。
鎮魂の意を込めて、太公望は語るのだろう。
自分はそれをしっかりと聞きとめるべきだ。
四不象は、そんなことを思っていた。

「玉鼎は、ヅラなのだ」

「はい?」

いきなりの暴露だった。

 

 

 

「あやつらと出会ったのは数十年前だ」

相変わらず背を向けたまま、淡々と語る太公望。

「面通しさせられた時のことだ。色んなイロモン仙人がいたが、特に気になったのが、あの玉鼎だった――――」

側では、四不象がさっきとは違った顔つきで聞いている。
いきなりの展開についていけないながらも、太公望の話す内容に興味が沸きまくりなのだ。

「『こいつ、髪うっとおし――――大体、もう夏の甲子園シーズンじゃないか。
 男のくせに、今こんなロン毛を振り乱しているのは犯罪に近いな……よし僕が切ってあげよう!』
 ……と、まあ、幼いながらも親切心からわしは思ったのだよ、その時な」

「…………」

つっこみたい要素がありすぎて、つっこめなかった四不象。

「んで、思い立ったら即実行がわしの信条なんでな、その日の内に、バリカンを手に玉鼎の寝所に忍び込んだのだ。
 そしたらのお――……」

そして、一息いれる。
後姿からは表情は見えないが、声色はやっぱり平穏そのもの。

「同じようにバリカンを手にした普賢とばったり会ってのお」

「ふ、普賢さま……?」

いきなり登場、普賢真人。

「あやつもわしと同じように、その日に面通しされていたのだがな、どうやら玉鼎に関して同じことを思ったらしいのだ」

「は、はあ……」

「そんで、意気投合だ。共に、玉鼎の寝所に忍び込んだ。そして、ヤツの髪に手をかけた瞬間――……!!」

そこで間をとる太公望。
なかなか聞かせる。

「そ、それで……?」

すっかり、引きこまれている四不象。

「ズルリ、とな……」

まるで怪談話のように話す太公望。

「髪のカタマリが床に落ちたのだよ、生き物のように……後に残ったのは見事なまでの大豊ヘアー(注:てっぺんハゲ)……」

「ひいい―――――!!」

余りにもリアリティーのありすぎる太公望の表現に、四不象は恐怖する。

「あまりにも可哀相になって、普賢と共にヅラを元に戻して帰ったのだ……」

太公望は大きくため息をついた。
肩が大きく揺れた。

「そして、わしと普賢は無二の親友となったのだ……ヅラの衝撃を語り合ったのを覚えている……」

「はああ……玉鼎さまがねえ……」

「他にもあるぞ、聞きたいか?」

「き、聞きたいっス」

こうして、二人だけの暴露大会が始まった。

 

 

 

「道徳は『ぢ』だ」

「そ、そうなんスかっ!?」

「そんで、黄竜は『月間薔薇族』の愛読者で、慈航はロリータ系フィギュアコレクターだ」

「はああっ……」

「さらにあるぞ。広成子はロリコンで、赤精子は盗撮マニアだ」

「は、犯罪者っスか――――!!」

太公望は相変わらず、後姿を向けたままだ。
しかし、そんなコトは関係なしに、異様に盛りあがっている二人だった。

 

 

 

「助かったぞ、四不象、おかげで気が紛れた……」

すでに眠り込んでいる四不象の頭を撫でながら、太公望は呟いた。
ようやく振り返った太公望は目が少し充血していた。

 

太公望なりの、悲しみの紛らわし方だったらしい。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

ああ――――レズネタいれたかってんけどね……
さすがに茶化すなよ、35号って感じでしたけどねえ。
まあ、ここのサイトの方はココロが広いからいいや。
でもこれだけは言っておこう。
玉○さんの髪ネタは草子さんがきっかけや!(笑)
ワタシじゃねえ!

 

 

草子の感想

ちょ、ちょっと待ってよ(笑) 玉○さんの髪ネタ、なんで私がきっかけなのよお!(笑)
記憶にまったくございません。ええ、まるっきり(笑)←本気
っていうか、面白ろすぎ――――――
ひいいいいいい!
「ズルリ」・・・・っすか・・・・しかも大豊ヘアとな・・・・・!!!
今週号は、新たな発見の連続ですな。もう大漁でドキドキ。
一人哀しみに耐える太公望の背中がせつないです(涙)
せつないなあ・・・・今週号初の、せつなくて泣けてくる展開っ!!(泣)
あっはっはっはっはっは!(爆笑)
文章がシンプルで整ってて好きです。
展開に無理がなくって好きです(笑)
はあ・・・・こういうの書けるアナタの頭が哀しいほど羨ましいと同時に
不思議でしょうがないよ(笑)
すっげええ!
あのシリアスまっしぐらのジャンプが、別モノに思えてきたっ!
すげえよ。色んな意味で(笑)
はああ・・・・お笑いは才能なんだね・・・・(溜め息)
砂糖大根さん、本当にどうもありがとうございます! ツボ直撃で笑い止まらんかったです

 

 

 

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