注:毎回のことですが、ジャンプの展開をちゃかして笑ってしまおうという気持ちでここは書いてます。
  だから武成王や王天君に心が痛む人にはきっと耐えられない内容になってます。
  ごめんなさい。私も悲しいです。本当は。
  それでもいいという方だけ、お読み下さい。
  今回は本気でネタ切れ〜〜そしてテスト中〜〜私もつらいのさ〜〜(笑) 












天然はくじけない












哀しみは繰り返す。

誰かが言った言葉があったよ。
「死には意味はがない。大切なのはただ、その人の生きた道のり」

じゃあ、哀しむことにも意味はない。
意味のない死に、咽が枯れるほど泣き叫んだって
心を引きずって歩き出したって。
どこにも辿り着けない。

死に意味がないのなら。
泣いたって仕方ないなら。


置いていかれる小さな子供。


哀しみは繰り返す。


子供を守るきれいな羽は、一枚一枚もがれて消える。




死に意味は・・・・







 






竜吉公主に踏みしめられて血まみれの元始天尊の顔を太公望が覗き込む。
掠れた声で、呟く。

「息・・・・してない・・・・」

黒髪の麗人が細い声を上げた。言葉にならない。
震える手で、頬に手をやる。

「・・・・なんて・・・・こと・・・・」

竜吉公主、先ほどまでの自分の所業はすっかり忘れているらしい。
力無く崩れ落ちる。色が引き、蒼白な顔。
太公望は、複雑な感情が混ざり合う微妙な気分で公主を見下ろした。

「・・・仕方あるまいよ。さだめは変えられぬ。わしらにできることは、
 元始天尊様が安らかに眠れるよう静かに祈るだけだ。
 けっっっっっっっっっして、二度と、生き返ったりしないよう、ひたすら安らかに!!」

「そうですね・・・・師叔」

はらはらと涙をこぼしながら、楊ゼンが頷く。
足下では何げなく、グリグリと元始天尊の頭を踏みつけて、最後のトドメを加えることも忘れない。

「元始天尊様・・・安心して眠って下さい・・・・後は全部僕らに・・」

「私も死ぬ」

楊ゼンの言葉は公主の悲痛な言葉に遮られた。
胸元から小刀を取りだして、自分のその白い咽をかき切ろうとひるがえす。

「っ・・・! 公主!!」

太公望がその腕をつかんだ。小刀を取り上げる。
絶望と決意に潤んだ公主の目に、言葉を失い息をのむ。

「離せ・・・太公望・・・もう生きていたって・・・仕方ない・・・。お願い。死な・・・せて」

「・・・・・楊ゼン!!!」

唐突に太公望が背を向けたまま楊ゼンの名を呼んだ。

「何をぐずぐずしておるのだ!! 元始天尊様に人工呼吸を!」

「・・・へ?」

あっけにとられる楊ゼン。
太公望はここぞとばかりに公主の肩を抱き、やさしい声で言う。

「大丈夫だ。公主。わしが何としてでも元始天尊様を助ける」

「・・・本当に・・・?」

「おぬしのためならば、わしは何だってしよう。公主」

そしてくりんと振り返り、にやりと楊ゼンに笑う。

「楊ゼン、チャンスだぞ。さっさとせんか!」

「チャンスっていったい何のことですかっ。何を言ってるんだかわけわかりませんよっ」

「人工呼吸と言えば、まうすつーまうすだ!! ふぁーすときすのチャンスではないか!
 しかもどさくさにまぎれて舌を入れよーがどこを触ろうがしたい放題! わしが許す!」

「はああああああ!??」

その時、公主の目がキラリンと光った。
太公望の腕から身を起こし、元始天尊の上に屈み込もうとする。
鼻息があらい。

「私が、いたそう!!」

「のああああああっ!! 駄目だっ! ヤメロッ! やめてくれ公主っ! それだけは駄目だ!!」

太公望があわてて、今にも元始天尊とまうすつーまうす状態に雪崩れ込もうとする公主を後ろから羽交い締めにする。

「離せっ!! 太公望! 私が人工呼吸を―――――!!」

「楊ゼンっ、さっさとジジイの唇を奪ってしまえっ! 今さら照れてどうする!
 コトは急を要するんだよ――――!!」

「だからそんなんイヤですってばあ!」

「人工呼吸は1分一秒を争うのじゃ! 元始天尊が死んだら私も死んでしまうのじゃ!!」

暴れまくる公主。意味不明な展開に混乱する楊ゼン。
その時太公望の頭の中で、何かがぶちりと切れた。
公主の身体を後ろに突きとばし、元始天尊の上にのしかかる。
そして叫んだ。涙声で。

「じゃあっ、わしがやる!!!(涙)」

時が止まる。
呆然とする楊ゼンと公主の前で、ジジイとディープキス、もとい人工呼吸をする太公望だけが必死。
実は泣きそう。
何が哀しくってこんなジジイと。

でも、公主が死ぬって言うし。
公主がこのジジイとキスするなんて死んでもいやだし。
楊ゼンは照れまくって役立たずだし。(せっかくのチャンスなのにのう)

しょうがないんだよ―――――――!!!





必死の人工呼吸の甲斐あって、元始天尊の手がぴくりと反応した。
むっくりと腕が持ち上がり、人工呼吸中の太公望の頭をすごい力で抱き寄せる。
そして深く口づけをしたまま、モゴモゴと、しかし情熱的に声を出す。

「は・・・白ツルぅぅぅぅ!!!」

「な、なんだなんだっ、このジジイっ!」

ぷはっ、と太公望が唇を離し、元始天尊から飛びすさる。

「はっ? ここはドコだっ?」

元始天尊が目を開けてあたりを見回す。

「何やら、お花畑で白ツルといちゃいちゃする夢を・・・・」

ジジイ復活。




しかし―――――――――













「後は任せたぜ!!! 太公望殿!!!」

最後の光は眩しかった。
目の底に焼き付いてずっとずっと離れない。

天化は無言でうつむいた。
わかっていたような気がするのは、どうしてだろう。
こんな場面、いつか来るって自分は知ってた。
知ってた?

バラバラと音がする。
心が壊れる音。






「お、お、おっしゃ! じ、じじじ、人工呼吸は大の得意だっ!! か、かかってこい武成王! 
 ジジイを克服したわしにしてみれば、オヤジなんてちょろいもんよ!!」

ショックのあまり(?)混乱する太公望。楊ゼンが力無く首をふる。

「師叔・・・封神されちゃった者には人工呼吸はできませんよ・・・」

「そんな・・・」

目を凝らして空を仰ぐ。
咽がつまった。
すまない、とは言わない。
送るべきは、そんな言葉じゃない。

ただ、一瞬のうちに、彼と過ごした全ての場面を思った。
彼が選んだ道を。

そして、托されたことの意味を知る。

ペコリと頭を下げた。
無言で。







「うあああああああ!!!」

泣き叫んだのは天祥。
カツンと乾いた音をたてて天化の手から道徳真君の宝貝が落ちた。
それは、彼の心がたてた音。

「・・・置いてかれちゃったさ・・・俺っち」




死に意味がないのなら。

それが何を残すだろう。
死ぬことで、一体何を托せるのだろう。




「何も・・・何も残らないさ。俺っち達には・・・
 コーチも・・・オヤジも・・・皆、いなくなっちゃっただけさ・・・
 ただ、そんだけ。
 二度と会えない」

何も残らない。
ただ置き去りにされて心が死んでく。それだけ。




ぱちん!




突然、頬をたたかれた。うつろな顔で天化が振り返る。
竜吉公主だった。

「見誤るな! 目をあけて受けとめよ!」

強い眼差し。天化がぱちぱちと瞬きする。

「死を、死として受けとめよ。逃げ出さずに。
 どんな死にだって、意味があるのじゃ」

「意味なんて、ないさ。何も残らない」

「意味なく人は死んだりはしない。
 多くのものが、かかえきれないほど大きなものが、おぬし達には残されているのだよ」

天化が首をふる。
顔をゆがめて泣きそうな目で公主を見る。

「何言ってるか、わかんないさ。だって・・・俺っちは・・・俺っちは・・・」

「どうしてわからぬ!? こんなにもおぬし達は父に愛されているのに!
 思われているのに! 私が言わねばわからぬのか?」

「愛・・・されて・・・・?」

「第一に! 両親のいない男には、気楽だからと嫁が来る! これは私の統計からも明らかじゃ!」

「・・・・・」

一同、沈黙。
竜吉公主のいきなりのセリフの意図がまったく理解できない。
しかし、天化だけは真面目な顔で公主を見返す。

「ほ・・・ホントさ?」

「本当じゃ! 嫁不足の昨今、女は選ぶ側、男は選ばれる側じゃ。
 舅も姑もいないとなると、おぬしは断然有利だぞ! いくらオヤジが健在でも、一生独身は淋しかろう?」

「そりゃあ俺っちだって、いつかは・・・け・・・結婚は・・・したいさ」

なぜか赤面してもじもじする天化。うんうんと竜吉公主が頷く。

「それにだ。道徳真君は例えるなら行き遅れの小姑みたいなモノ。
 小姑なんぞいないほうが嫁は来るっ!」

「う・・・。そ、それもそうさ・・・」

「第二に! 来るべき高齢化社会、おぬしはあんなデカイオヤジの介護ができるか?
 普通のサイズの老人の介護だって大変なのに、武成王は超特大ときている。
 身体起こすのだってもう大変。
 介護に疲れて嫁は出ていき、子供はグレて、一家離散。おぬしは一人で介護に追われるつらい毎日。
 絵に描いたような悲劇じゃ!」

「そ・・・そんなのイヤさ〜〜〜〜(涙)」

竜吉公主が微笑んだ。
天化と天祥の手をやさしく包み込む。

「でも大丈夫。もう、武成王はいないではないか。
 おぬし達の明るい未来のために、健やかな結婚生活のために、微笑みながら散っていった。
 ・・・・なんて、なんて、潔い。そしてなんという父の愛じゃ。
 その命をもって愛を示すとは!!」

感動のあまり滲んだ涙をそっと公主がぬぐう。
天化も天祥も、泣いている。
感動の涙。
三人で手をとって、麗しい場面が展開される。

「オヤジ・・・オヤジの気持ちは・・・俺っち絶対無駄にしないさ!」

「僕もっ! 僕もキレイなお嫁さんもらう!」

「うんうん」

満足そうに頷く公主。
その場面を見ていた王天君も、ずたぼろな身体で穏やかに笑う。

「ハハハハハ! オレの魂魄の一つを使ったかいがあったなぁ! ありがとよ! 生きがいを感じたぜ!!」

最後の最後。
全てを振りきるような爽やかな言葉。

「お幸せになっ! お二人さんよ!!」

そう言い残して。
王天君の魂魄が散った。
天化が目を細めてその白く光る軌跡を目で追った。

「ありがとう・・・王天君」

そして一つ鼻をすすると、照れ臭そうに天化は笑って放心中の聞仲を振り返る。

「そしてありがとう!! 聞太師! 俺っちたち、幸せになるさ!」









死には意味がある。
いくものにも、残るものにも。


歩いてきた道のりに意味があるというなら・・・

その最後にはどんなにか大きくて綺麗な輝きがあるだろう
どんなにか全てを呑み込む決断があるだろう

ちぎれそうな想いと
優しい優しいあきらめの気持ち。


死には意味がある。
憶えていて。
憶えていて。

ただ願うのは、幸せになって、ということ。

憶えていて。
私達のこと。







 















えーと・・・「天然」というのは天化っちの性格のこと。
私は天然な天化が大好きです(でもこれじゃひどすぎ)
本当はネタあったんですけど、でもさすがに武成王と聞仲をこけにするのはまずいと思って
それは使えず、今回は山もなくまったりめ(?)
見返す時間も書き直す時間もナッシング。つまんなくってすいません。
教科書片手に何も考えず書いてるんで
死がどうのこうのとか、真面目ぶってる所には何の意味もありません。
言葉の羅列。いつものことですがね・・・ふ。
ジャンプの展開が最近哀しくってシリアスなので、もうどうしてよいやら(笑)
武成王、好きでした。
黄一家自体、なんだかみんなみんな熱くて疾走する生き方で好きです。
のんびり生きることが許されなかっただけかもしれないですけど。
はあ・・・・なんだか王天君がいいやつだあ・・・・





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