作成:2005/09/06 |
改定:2005/09/08 |
1−1治療方法−IgA腎症について ※以下の文章は、ほとんどが入院中に記述したもので、一部に、現在も病院内に居るような表現が出てまいりますが、実際には既に退院しておりますのでご了承下さい。 また、入院中と違って時間が取れず、退院から随分経過したにも関わらず、まとめ切れていない為、多分に中途半端な状態での公開であることを重ねてご了承頂きたく、お願い申し上げます。 さて、IgA腎症とは何か、というお話は腎生検のところでもしましたが、念のため軽くおさらいをしてみますと、そもそも、IgA腎症のIgAとは、免疫グロブリンという、唾液や粘膜などにあり体外から入ってくる異物を退治する抗体の一種で、補体(異物)を取り込んだ時にまれに免疫異常を起こし、これが腎臓に沈着して炎症を起こして糸球体を壊してしまう病気で、初期は無症で自覚がないなど、日本では人間ドックや偶然に見つかるというケースが多く、やがて症状が重くなってくると、その約40%が腎不全に移行するというデータが出ていると言うことでした。 1−2治療方法−治療の種類等 このIgA腎症に対する治療法として掲げられているものとしては、運動制限、食事制限(塩分、蛋白質制限)、ステロイド剤、免疫抑制剤の投薬、抗血小板剤、血圧降下剤による血圧のコントロールといったもので、現在私が現在行っているもでもあります。(くどいようですが(笑)今は退院しております) 実際に私が入院中にどのような治療をしているのかを、次の章にそのままにまとめてみたいと思います。 1−3治療方法−運動制限について 入院期間中は院内の移動のための歩行などを除き運動は制限されます。(安静です。) 運動をするにはエネルギーが必要になりますが、蛋白質がエネルギーになるときに出る窒素化合物は尿に排出され腎臓に負担を掛けることになりますので、治療中は安静を保ち腎臓に負担を掛けないようにします。 (退院後の日常生活においてはその病状の程度に応じて段階的に制限されるようです。) 実際にはまったく運動しないと筋肉が落ち、二の腕やふくらはぎなどがフニャフニャになり、体を支えることもままならないくらいになってしまったので、ちょっとずつ運動しておりました。 具体的には5階建ての病院の階段を早足で何度か往復するといった程度のものです。 本当は禁止なんだけど( ̄ー ̄)ニヤリ 1−4治療方法−食事制限について 食事制限については、もっぱら塩や蛋白の制限を受けることになります。 蛋白質については、先のところに記載したとおり、蛋白質がが筋肉などで分解されエネルギーとなった後の窒素化合物を抑え、腎臓の負担を軽くする目的があります。 塩分については、ナトリウムの腎臓のナトリウムの排出機能の低下や、腎臓の機能低下に伴い血圧が上昇するなどの症状が出ますので、塩分の制限が必要になってきます。 ただし、塩分は全く摂らないと低ナトリウム血症など逆に支障が出ますので、一日あたり最低5〜7g程度の摂制限となるようです。 今回私には当てはまりませんでしたが、症状によってはカリウムの制限あります。 ※蛋白制限については、本来通らないはずの蛋白質の分子が糸球体を通過する際に糸球体を破壊してしまうということも言われているようです。 私の入院食は、蛋白50g、塩分7g、総摂取カロリーは2,000kcalという内容になっているそうです。 総摂取カロリー2,000kcalというと運動しない割に高カロリーですが、これは蛋白質を減らした分、エネルギー不足にならない為です。エネルギーが不足すると、逆に体内ではエネルギーを得ようと、体内にある蛋白質を分解してしまい逆効果になってしまうそうで、蛋白制限の度合いの高い人ほどエネルギーはしっかり摂らなければならないようです。 しかしながら、概ねほとんどの食品には蛋白が含まれていますので、蛋白を制限してカロリーを摂取すると言うことは思いのほか難しいようです。 しかしながら蛋白質を含まず、カロリーを確保できる食材というものがあります。 それは「砂糖」「油」「はるさめ」「くず」「片栗粉」の5品目だそうです。 しかしながら、味覚的に「はるさめ」「くず」「片栗粉」の3品目は飽きやすく、日常的に用いるには難があるとのことで、一番飽きずに食べることのできる「砂糖」と「油」をうまく使って献立を考えると良いらしいです。 味の方はどのようなものになるのかというと、塩分制限のおかげで薄味で、カロリーを摂るために甘く油っこいものが多くなります。 現在、病院で出てくる食事で言うと、味の無い妙に油っこいキャベツや人参の野菜炒めとか、下に油が滴るほどのしいたけの天ぷらとか、なぜかこれもたっぷりの油をからませた揚げ衣をつけた魚なんてものが出てきます。 他には胡瓜の薄切りにハルサメとみかんの酢の物(すごい甘い)とか、茹でキャベツの酢和えとか、酢の物系も多く出ます。 人によっては朝食にたまごが付くようですが、これは、たまごに必須アミノ酸が豊富に含まれているということがあるからでしょう。(私には殆ど出たことは無いです) 逆に汁物が全くと言っていいほど出ません。特に味噌汁は入院して以来一度も出たことがありません。 たまに出るのは薄味のワカメと玉ねぎスープだけです。 味噌は塩分も多いですし味噌そのものにも蛋白が含まれているようですので、その分を他に回す方が良いという判断だと思います。 その他、デザート系は、量はさほどでもないのですが、質的にこれでもかというほど甘いものが出ます。 例えば、煮りんごのシロップ漬けとか、桃缶のホイップクリームがけとか、冬至かぼちゃのようなものとか、煮バナナのシロップ漬けホイップクリームとか、ドーナツボール(油のしみこんだ)砂糖がけとか、そんなものが出ます。 煮バナナのクリームがけについては、これは食べ物じゃありません。 カリウム制限患者の配慮のためか、ここの病院食はなんでもかんでも生は煮てしまうようですが、「バナナまで煮て出すこたぁねぇだろぉ!!」と、すっかり口調も変わってしまうほど、あるいは考案者に殺意すら覚えてしまうほどの、強烈な臭いと味の代物です。 話は変わりますが、常々入院して制限食になりよかったなぁと思う点がいくつかあるのですが、もちろん一つは、腎臓病を示す血液あるいは尿中の蛋白量が減った事、その血中のクレアチニンや尿酸値なども改善され、病気が快復に向かいつつあるということ、それから一時大幅に増加した体重が、カロリーコントロールのために標準値付近まで戻ったこと、もう一つ好き嫌いが治ったことです。 もともと私は、こんにゃくが嫌いで、特に糸こんにゃくなど口にすると吐き気すら覚えていたものですが、ここでは主菜にもこんにゃくが入っている事が多く、もともと絶対的に少ないおかずの内で、食べなければおかずはほぼ無くなるも同然だし、入り具合にもよるけどいちいちこんにゃくを除けるただけでもぐっと内容量が減ってしまう。 結局我慢して食べるという選択肢を幾度か繰り返しているうちに、だんだん食べられるようになり、入院3ヶ月も経過した現在では、全く駄目だった糸こんにゃくすら、なんてことなく食べられるよいになりました。 ところがです、先ほど申し上げたように、ここに来て嫌いになり(もともとこんな食べ方はしていないけど)一向に食べる気にすらならに物があるのです。それが煮バナナなんです。ということで、ここにいる限り、そして煮バナナが出てくる限りは、何度でも意見書を提出したいと思います。 (注:入院中、何度かアンケートと称して、院内の不満をぶちまけることのできる用紙が回ってきましたので、病院に対する唯一の不満である、煮バナナについて、えぇ、書きましたとも。思いのたけをしっかりと。しかも何度も。 さらには、栄養士の先生をつかまえて、涙ながらに訴えた事もありました。が・・・・・) さて、話は戻って、蛋白制限については、主としてエネルギー源となる植物性蛋白質を優先して制限するようです。(このあたりも先ほどの低蛋白高カロリーとあいまってなんだか体に凄く悪そうな・・・) 具体的には納豆などはあまり食べられなくなるということになり、逆に蛋白質をとるなら良質な動物性蛋白をということで、DHAやEPAを含む魚を多く摂る事を推奨されるようです。 特にEPAは血圧のコントロールに役立ちますので、腎臓疾患には効果があるようですし、DHAもしかりですね。 正直このような食事を2ヶ月も続けていると、味にはすっかり慣れてしまいます。 というか、外の普通の食事をとったら、おそらく塩辛くて食べられないのではないかと今思っています。 しかしながら、実際に、豊富な食材が氾濫している実生活に戻った時、これを一生続けていかなければいけないのかと思うといささか不安が募ります。 いや、もともと悪食のほうなので、味などどうでもいいのですが、日常生活の中でどうやってこの制限を維持してゆくか、ということに尽きると思います。 3食自前で準備できれば問題は無いのでしょうが、それとても他の家族の分とは別に用意しなければならないし、勤め先や外出先ではどうするのかなど、種々の問題に対応して行かなければならないと思うと、今から暗澹とした気持ちになります。 それ以前に逐一カロリーだけでなく塩分蛋白まで計算して作るとなると、気の遠くなるような作業に思えてなりません。 もちろん、作るのは私ではなく妻ですのでその負担を思うと本当に申し訳なく思います。 ( ̄ー ̄)ニヤリ (注:実際には私自身料理好きなので、料理は妻と共同作業となりました。栄養士の先生から教えていただいた本や、市販の腎臓病食メニュー本などを参考に作るんですが、はるさめ料理なんてなかなかおいしくて、意外に家族でも食べられるようなものもありました。 ただ、最近はだんだん我流になってきて、多分に塩分や蛋白などの量が多くなっていると思われますが。(^^; ) 1−5治療方法−(パルス療法・ステロイド剤について) 私が病院で受けた治療は、ステロイド剤を用いた「パルス療法」というものです。 これは、ステロイド剤(詳細後述)を一定間隔を用いて大量投与し、効果を上げるというもので、IgA腎症の他に、膠原病の治療などで有名なようで、大量にステロイド剤を投入する割りに副作用が押さえられ、効果が出るというものらしいです。 このステロイド剤というのは、腎臓の上にある副腎から分泌される副腎皮質ホルモンの中の、糖質コルチコイドを化学合成したもの(副腎皮質ホルモンは体内で通常に作られており、体内のストレスに対処するなど非常に重要な役割を担っている。)で、過剰な炎症の緩和やアレルギー抑制(免疫抑制)などの働きがあるそうで、このうち、アレルギー抑制とは体内に侵入した異物(ウィルスなどを含む)を隔離排出するような作用(免疫)を抑制し、例えばこの免疫が過剰に現れることで起る花粉症、皮膚病(アトピーなど)、喘息、アレルギーの治療手段等に多く用いられるようです。 IgA腎症で使用される場合は、糸球体の炎症緩和とIgA抗体のアレルギー反応(免疫異常)の抑制に対する効果が期待できます。しかし、ステロイド剤は、IgA以外の免疫抑制にも働きかけるため、外部の細菌などに対する抵抗力が極端に低下してしまい、風邪などの感染症に非常にかかりやすい状態になってしまいますから、投薬中は特に注意が必要になります。(この為、私の入院先ではパルス療法下での病院内からの外出が禁じられたのです。) また、非常に強い薬ですので、その他にも以下のような副作用をもたらす可能性があるようです。 ステロイド剤投与で想定される作用 風邪症状、咽頭炎、発熱、皮膚の化膿、舌苔、多尿、口渇、胃の不快感・痛み、血便、黒い便(コールタール様)、気持ちが不安定、憂鬱になる、興奮しやすくなる、不眠が続く、目の痛み、ものが見えにくい、目がかすむ、激しい胸痛頭痛、胸部圧迫感など。 ただし、以上の症状は個人差があるため、必ずしも出現するというわけではないようです。 また、ホルモン剤のため、顔が腫れ丸くなる(ムーンフェース)という状態になります。 私の顔は今まさにこうなっており、目の下の頬あたりから丸くふくらみ、眼下に、膨らんだ頬が見えるほどになっています。なんていうか・・・ミッキーマウスっていうんでしょうか。下ぶくれの顔です。 また、食欲増進のため過食気味になり、体重が増加するということも比較的多いそうですが、幸い私の場合は普段よりも規則正しい生活のためかもともと過剰な体重が減り始めていますので、怪我の功名といいますか・・・・。 私の場合は、このうち目がかすむような感じと喉の渇きがあり、他に、手足の痺れ感と、先生には事例がないと言われましたが、バランス感覚がめちゃくちゃになり、絶えず体が左側に傾いているような感じがしたり、ベッドに寝ていると、足先からおっこちてゆくような感覚に悩まされ、眠れない時がありました。 あと、やはり情緒不安定になるらしく、前のページでも述べましたが、妻はこの期間、ずっとそのことを感じていたらしいです。 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ ステロイド剤投与中で注意しなければならないのは、ステロイド剤が副腎皮質ホルモンの代替として働くため,副腎が休止しており、急な服用の中止をすると、副腎からのホルモン分泌が間に合わず、ショック症状を起こしてしまうので、使用の中止などは医師の的確な指示を仰必要があります。 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
・ステロイド剤の種類 |
ステロイド剤の種類 | 商品名 | 1錠量 |
プレドニゾロン | プレドニン | 5mg |
メチルプレドニゾロン | メドロール | 4mg |
デキサメサゾン | デカドロン | 0.5mg |
ベタメサゾン | リンデロン | 0.5mg |
・治療の実際(殆どメモそのまま。あとで改定します) (現在自身が受けている治療中のパルス療法について) 1〜3日目 点滴によるステロイド剤の投与。1,000mg。 4〜14日目 錠剤による投薬。50mg。 一定期間を設けて集中して大量投与するので、パルスの名が冠せられたようです。 この治療における期間の最低単位は2週間となるようです。 すなわち、上記のような形で、14日を1スパンとして、初日の3日間に大量投与し、 残り11日間に錠剤での微量の継続投与を行い、大量投与の前後で尿検査、採血検査を 実施して経過を見ながら、最終的に問題が無ければ日常投与分の錠剤を減量してゆくと いう形をとっているようです。 ここでいきなり減量をしないというのは、前述のステロイド剤の副作用で述べたとおり。 すなわち、副腎皮質ホルモンの代替物質であるステロイド剤服用中は、副腎が休止状態 にあり、急なステロイド剤の服用中止は、副腎皮質ホルモンの急激な不足をもたらして ショック症状を起こす場合があるからだという風に聞きました。 |