MZ−2500



特 色
・電磁メカカセットデッキ
この頃にはもう既に無用の長物となってしまった記録媒体のカセットデッキにこれほどの機能を盛りこむ必要が有るのだろうかと思われるほどの機能満載のカセットデッキが付いていました。
これは、後述するボイスコミュニケーションシステムの要として必要だったためと思われますが、データレコーダーとしての役割自体は、すでに終わりかけていたのではないかと思います。

・Z80Bで6MHz駆動
当時、BASICでベンチマークテストが16ビットの某国民機を凌駕すると噂されたMZ2500ですが、Z80Aの1.5倍のクロックで駆動するZ80Bを搭載していたり、グラフィックの描画を機械的に行ったりと工夫が凝らされ、世が16ビット機に移行しつつある中で、8ビットではかなりの健闘をしたマシンでした。

・強力なBASIC言語
シャープ独自のS−BASICと、某国民機との互換性を持たせたM−BASICの2つが添付されていて、どちらも強力で、変数やルーチンのラベルに漢字が使えたりプログラムの構造化をはかれるような工夫がされていました。
この頃、パソコン通信がある程度一般化し始め、BASICのコマンド自体にもそのためのものがそろっていました。
また、BASIC上から、ターミナルモードに切り替えると、通信ソフトなど無くても簡単にパソコン通信が楽しめました。

・アルゴ機能
システム立上げ時に、メモリ上に小さな専用アプリケーションをいくつか登録しておき、キーボードの左上にある「アルゴキー」なるボタンを押すことで、いつでもそのアプリケーションを呼び出せる機能が付いていました。登録可能なアプリケーションには、エディタ、カレンダー、住所録、電卓等のメーカー提供のものから、ユーザーが作ったゲーム(古籏さんのFXブラスターとか入れてました)やFM音源の音色作成などまで結構重宝したものです。

・専用モデムホン
MZ2500には専用のモデムホン(MZ1X19)があり、これとボイスコミニュケーションボードを使うと、留守番電話はもちろん、テープに入ったメッセージを、登録した電話リストに従って電話し、さらに相手のメッセージを受け取るといったことも可能としていました。
このモデムホンはかなり多才で、使い方次第ではいろいろと面白いことができたと思います内臓データレコーダーとの組み合わせの効果は絶大だったと今でも思います。


左がMZ2500用のモデムホンの写真です。
これは、デジタルデータだけではなく、音声も取り扱うことができました。といっても、今のようにデジタル化してどうこうという訳でなく、アナログ音声をそのままデータレコーダーへつながるだけですが、なかなか使えました。一見普通の電話のように見えますが、裏にはRS232Cやら電源や電話線のコネクタが沢山あります。


・辞書ROM
家電メーカーであるシャープが、ワープロ書院で培った漢字変換技術を、MZにも...ということかどうかわかりませんが、書院のとおそらく同じ12000語の辞書ロムを取り付けることができました。FDベースでの漢字変換も可能でしたが、いちいち読みに行く煩わしさ(これがまた遅いんだ)を思うと、無音で高速に変換する辞書ロムは、このころはまり始めていたパソコン通信でチャットをする際には必需品でした。
(どうでもいい話ですが、チャットでブラインドタッチ習得したクチです。)

・FM音源搭載
当時はまだ珍しかったFM音源が3声搭載されていて、ゲームなどに花を添えていました。


ゲーム等

・道化師殺人事件
もとは98用のきれいな絵が印象的な推理アドベンチャーゲームで、ストーリーも緻密で、プレーステーション用にも移植され、発売するとかされたとか....
コマンド入力タイプのもので、外人の名前が覚えられない私は、結局途中であきらめてしまいました。
(ラブリーチャルリ・Eこと森下氏、情報提供感謝致します。)

・リ・バース
SPSが発売したアドベンチャーで、音楽も絵もよかったです。
内容的にはファンタジーアドベンチャーというところでしょうか、よくあるストーリーながら、良くまとめられていて、解いていくというよりは読んでいくという感じの、電子ノベルの走りのようなものだったと思います。

・nobo
縦スクロールのシューティングゲームで、単調な音楽と単調な画面で、あっという間に飽きてしまいほとんどやりませんでした。でも、画面スクロールがきれいで、ストレスなく行われていたのですがこれはプログラムではなくて、機械によるところが大きかったということですね。
っていうかこれ後から知ったんですけど、雑誌の投稿プログラムの商品化らしいですね。う〜ん、微妙だ。


・ユーカラ
1500のところでも紹介した東海クリエートさんっていう会社のワープロソフト「ユーカラ」の2500版で、辞書ロムをサポートしていて、1/4角漢字や4倍角、ボールドやイタリックなど、今では当たり前ですが、文字修飾がある程度あって使い心地がよく、通信もサポートしていて重宝しました。システム自体がちょっと大きく、動きが重かったのが難ではありましたが。
購入時、マニュアルの読み違いでマスターの辞書ディスクに書き戻しをしてしまい、東海クリエートさんに話したらそのまま送って無料で交換してもらったっけ・・・
東海クリエートさん、現在は毛筆ワープロの筆まめとかでおなじみの「クレオ」さんと社名を改めていらっしゃるようです。

こないだ、実家に帰ったときに、物置を物色していたら出てきたので、携帯で撮影してきました。
画面も録ってきたかったのですが、残念ながら環境を整えるまでには時間が掛かりそうだったので断念しました。
パッケージを見ると、価格が28,000円。高いのか安いのか・・・・。
多分当時としてはこれでも十分安かったんだと思います。

・HTERM
これはフリーウェアの通信ソフトで、MZ2500のユーザーでお世話になった方は、かなり多かったのではないかと思います。
当初、BASICから呼び出すターミナルモードでも、初期のパソコン通信での速度(1200〜2400bps位)なら不満はなかったのですが、そのうち9600bps等高速モデムが一般化してくると、文字の取りこぼしや文字化けなどが出て対応しきれなくなり、しかも、高速で流れていく文字列を追いかけようにもバックログを見ることが出来ず、ログをFDに残そうにもFDへ書き込めるログテキストの容量には制限(一度に書き込めるのは32Kbyteまで)がありだんだん不便を感じるようになってきます。
しかし、HTERMは高速でも大変安定しており、バックログも見れるし、FDへの書き込み容量に制限もありませんでした(FDの容量の範囲内)。
また、料金計算プログラムなどの有用なプログラムを後付けできるようになっておりました。(今じゃあたりまえですけど、あの頃にこういう考え方が出来るのはすごいなぁと感銘をうけておりました。)
その当時、作者のはやしさんはSPS−NETにもアクセスされており、とても気さくな方で、私のようなど素人の、不躾な質問にも丁寧なメールを下さり、とても感激したことを覚えています。


思い出など

MZ2500は、当時「火の鳥」という愛称(?)が冠せられ、シャープのコンピューター事業部のさらには当時16ビットへ移行しつつある風潮のなかでの8ビット機全般の起死回生の願いを込めてシャープが世に放った、8ビット最強マシンといったところでしょうか。
なにせ、当時16ビットをうたい文句にしていた某国民機を、条件付きながら凌駕したという事実はかなり痛快なこととして記憶に残っています。
いまでも、スイッチを入れればすぐに使えるように、実家にセットしたままにしてあります。