事故について
少し生々しい話しになりますが、蘇州から杭州へ行く途中の道で遭遇した事故は、
本当に悲惨で、恐らく車輪で頭だけをひき潰されたのだろうと思うのですが、顔の
横幅が通常の半分近くになっていて(それでも目鼻はそっくりしていて)その代わ
り、その圧迫に耐え兼ねたように額がぱっくりと口を開けていて、中身、即ち脳み
そがはじけたように飛び出していました。ちょうど、ミカンを拳で叩き潰した時に
皮がはじけて切れてしまったような感じです。その切れ方が半端ではなくて、額が
真横に一文字に切れ、ちょうど帽子でも脱いだかのように頭部が後ろにずれていて
瞬間的にはその状態をどういう事か理解できず、しばらく時間が経過してから色々
なことに思いが廻るようになりました。そうして、その亡くなった方の朝出掛ける
様子や、変わり果てた姿を目にする家族の様子などを頭に思い描いて、とても恐ろ
しく、悲しい重い気持ちになりました。それまで、少し乱暴ではあるけれど、エネ
ルギッシュな中国の様子に感心していたのですが、ちょっと考えなおさなければな
らないかなと感じました。また、そうした、日常にない光景というのはいつまでも
不快な違和感を伴って頭に残るもので、その日の夜は悪夢に悩まされたのでした。