渡島駒ヶ岳(北海道)



北海道の渡島駒ヶ岳が、噴火しました。

渡島駒ヶ岳は、もともとは富士山のように円錐形の火山でした。
1640年の大噴火で山頂が東の麓に崩れ落ち、
大津波で多数の犠牲者を出しました。
山頂の跡には、U字型のカルデラができました。
その後の噴火で軽石や火山灰がカルデラを半ば埋め、
火口のまわりがマウンドのように盛り上がりました。

今からほぼ70年前の1929年、この火山は大噴火をしました。
山腹を火砕流が流れ、大量の軽石が山麓に降り注ぎました。
軽石や火山灰の重みで家屋がつぶれ、
海岸は軽石に埋まり、漁民の生計を支えていたコンブが全滅しました。
噴火の大きさにもかかわらず死者は1名だけで済みましたが、
北海道庁が麓の鹿部村に廃村命令を出したほどの大被害でした。
しかし村人は裏山から切り出した岩を海中に投げ込みつづけ、
10年がかりでコンブが茂る海を取り戻し、廃村命令を返上しました。

この時の噴火は、この火山の噴火の典型例です。
火山ガスで泡立ったマグマを爆発的に吹き上げ、
軽石が厚く降り積もります。
軽石は水を通すので、降った雨はすぐ地下へしみ込んでしまいます。
地表に水が無いので、植物の種が飛んできてもうまく育たず、
軽石でできた斜面にはなかなか植物が生えません。
1929年の噴火から半世紀以上経った今も、
渡島駒ヶ岳の中腹から上はまるで砂漠か月面のように丸裸のままです。

渡島駒ヶ岳は1996年にも小爆発を起こしています。
大噴火の前に、小さな爆発を繰り返す火山は、珍しくありません。
活動期に入ったと断定する根拠はゼロですが、
油断は、許されません。


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