馬鹿馬鹿しながら自民党を叱る


 これを書いている現在、まだ森喜朗は自らの退陣の是非を舌先で弄んでいます。「自民党総裁選挙の前倒しは口にしたが、即退陣を意味するわけではない」云々。
 今の森の「ああ言えばこう言う」ぶりは、往時のオウムの上佑をしのぐものがあります。えひめ丸問題についての「あれは事故だ、危機管理ではない」なんぞは、その筆頭でしょう。上佑と森の違う点があるとすれば、前者は頭の回転の速さがなせる技であり、後者は単なる愚昧の露呈だということです。

 しかし、今、真に怒るべき対象は、実は森喜朗ではありません。
 その愚昧無能ぶりを承知の上で、党利党略でその延命を図っている輩、そう、自民党です。

 2月13日に開催された自民党大会、結局はただのシャンシャン大会でした。各地の地方組織が「総裁選挙の前倒し」「森総裁の即時引退」「解党的出直し」を次々に口にし、東京都議団に至っては「このままでは自民党は死ぬ」などとビラまでまいたにもかかわらず、です。
 個々の自民党党員の中には、KSD事件等々にすっかり嫌気がさして「もう自民党を脱退する」「これからは党費は払わない」と決心した方もいるかもしれません。が、森喜朗を担ぎつづける執行部への不満がもはや個々の党員レベルではなく組織レベルで吹き出してきている割には、それに基づいてどこそこの組織がそっくり自民党を抜けたという話は、とんと耳にしません。

 なぜでしょうか?

 私は、理由は二種類あると考えています。

 第一の理由。
 これらの地方組織の幹部レベルの問題意識が「国家国民のために中央に異を唱える」といったものではなく、あくまで「当座の選挙のために楯突いておく」だからです。
 「解党的出直し」を口にするなら、まずは当人たちが自民党を離党してなんちゃら新党とかをつくるのが本筋であり自然というものでしょう。かつての新党ブーム時代と違って、そんなものを旗揚げしても票が集まらず選挙に勝てないのが目に見えている今、結局は自民党のままでいたほうが議席には近い、というわけです。「次の選挙では負けても、信念を貫き、捲土重来を期す」という志の持ち主、自民党にはいないのです。

 第二の理由。
 KSD事件で明るみに出た組織的な党費立て替え・幽霊党員づくりに見られるように、もともと自民党がトップダウン型の組織しか持っていないからです。
 党大会の前日の全国幹事長会議で「一般党員にも総裁選挙の一票を」と求める声に対し、古賀幹事長が「無理がある」と返事をしたのは、実に興味深いものがあります。たとえ何百万人党員がいようと、組織がちゃんと把握してさえいれば、全党員による投票は手間こそかかるものの原理的には何ら不可能ではありません。にもかかわらず「無理がある」と言い切るということは、自民党が個々の党員を把握していないということを暗示しています。より身も蓋も無く言えば、自民党は、ある程度以上の役職についている人以外、誰が党員で誰が党員でないかすらわかっていないのです。そう気付いてしまうと、そんなことは思いも寄らない純真無垢な地方組織幹部が「全党員投票を」と叫ぶ姿、悲痛でもあり、滑稽でもあります。

 森喜朗独りをひきずりおろしても、何も変わりません。かくも腐りきった自民党ごと、国政から一掃しなければなりますまい。
 それができるかどうかが問われているのが、次の参議院選挙です。





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