税金の使い道





給料日は楽しみな日ですが、ゲンナリする日でもあります。
会社の積み立てやら健康保険やらを併せて
名目額の1/3くらいが飛んでいくのですから。

加えて、
消費税
学生時代には「まぁたかが3%だから」という感覚でしたが、
実際に自分で稼いだ金だけで暮らす身の上になってみると、
3%、5%の重み、痛みが身にしみます。

思い返してみると、消費税は
「福祉のため」という名目で導入されたはず。
なのに、消費税が導入されてこのかた、
「福祉のココがマシになった」という話は
とんと耳にしません。


古典的な消費税増税論者は言っていたものです。
「北欧の高水準の福祉は高率の消費税で支えられている」
------ちょっと待ってください。
それらの国々では、
自分の収入が無い子供の教育やお年寄りの生活は
国によってガッチリ支えられているんです。
お年寄りが自分の衣食住のために
身銭を切る必要は殆ど無い、つまり、
お年寄りは殆ど消費税とは無縁なんです。
実質賃金の水準も日本よりずっと高いし、
社会保険費や住宅費などの施策も
日本に比べて数段国民の負担が少ない仕組みなのです。
世界最高水準の学費を誇り、
名目賃金の額面だけがべらぼうに高く、
なけなしの年金で暮らすお年寄りの財布にも
無遠慮に保険料や光熱費や消費税が襲い掛かる日本と
どうして無条件に比較できますかね?

「最近、この国の税金の使いみちは、おかしい」
あちこちで良く言われています。
諫早湾の干拓なんかが良い例です。
入植する農家があろうはずもなく、洪水を防ぐ役には立たず、
結局‘つくるためにつくった’だけ。
同じ原理で、北海道の苫小牧近郊では、
貴重な植物(*1)が生息する原野が風前の灯火の有様、
しかもそうやってつくった工場用地には
殆ど買い手がつかないのです。
*タヌキモ科の植物同士の自然交配種が発見されています。
惰性で使いみちの無い公共事業をやって環境破壊をされては、
その分の税金まで払う私達はたまったもんじゃありません。
一人殺せば犯罪者だが、百万人殺せば英雄だ」とは
チャップリンの『殺人狂時代』の名ゼリフですが、
これと少し理屈が似ているようにも思えます------
個人が身ゼニでチマチマやれば自然破壊だが、
国が税金でドカンとやれば公共事業だ


好き好んで「行政改革」を口にする方々は
なぜかこれら公共事業については殆ど何も言わず、
しきりに役所をリストラしたがります。
ムダな役人を減らし、行政をスリムに」という主張は
言葉としては確かにスマートかつスリムで、
一見まともに聞こえるのですが、
その結果リストラされるのが
営林署や気象台の測候所
だというのですから、
ますます理解に苦しみます。
阪神大震災のとき、
淡路島の測候所が24時間体制の観測をしていなかったせいで、
神戸方面の状況の把握が遅れたというのに、
地震観測の拠点になる測候所がリストラの対象になっているのです。
しかも、その
計画が発表されたのは大震災直後
あの大震災の直後、大阪府知事が
「被災者は自分で煮炊きできるのに、やってない」
などと暴言を吐いてマスコミを騒がせましたが、
それに負けず劣らず呆れた話ではありませんか。
日本屈指の危険な活火山・十勝岳の測候所も
地震計とモニターカメラを残して無人化されたそうです。
※これを書いている今、十勝岳の活動が再び活発化しています。

「火災報知器は営業成績に関係ない、維持費を食うだけ」といって
会社のビルから火災報知器を全部外したら、
火事になった時に社員が焼け死にます。
「堤防から米や麦は獲れない」といって
堤防を全部崩して田畑にすれば、
僅かの雨で街や田畑は水浸しになります------
バカバカしいくらい当たり前の話じゃないか、と、
笑われる方もおられるかも知れません。
しかし、全く同じ理屈が、
この国の政治では現に罷り通っているのです。
でなければ、
水害や地震・火山災害で失われる命を思えばおろそかにできないはずの
森林の保全や地震・火山の観測のための予算や人員を
どうしてムダ扱いできるのでしょうか?

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