咆哮

Napraforgo

 

煮凝りのような空気が

盆地を満たす夜

独りの部屋でビールを呷る

 

ふいに

エアコンの冷気が逃げるのも構わず

ヤブ蚊が部屋に迷い込むのも構わず

窓を開け放つ

 

曇ってもいないのに何も見えない空を

それでも首が痛くなるほど見上げ

部屋の照明を背に立ち尽くす

 

飲み干したビールの缶が

掌の中で生乾きの音を立てて潰れた

 


初出;  Misa's TeaTime


解説;

 もともとは、もっと長い詩の冒頭部分のイメージで書き始めたものです。

(10/10/1999) 


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