愛するということについてのノート  #9

Napraforgo

 

曲がりくねった闇に慣れた俺の網膜は
彼女を直視できるほど強くはない
「彼女がお前を見つめているぞ」と
友人から聞かされた時
俺は微かな恐怖すら感じていた

貰ったままだった彼女のアドレス宛に
俺はメールを送った
彼女からの驚くほど機敏な返事
空に虹を見つけて喜ぶ幼子のように
弾んだ口調

はた迷惑な位に真っ直ぐで純粋な
彼女は水晶の矢
諦めと無気力と優柔不断で練り上げた
俺の泥の迷路を
いとも簡単に貫通してしまった


初出;  本ページ


解説;

 ひねくれ者は、自分以上のひねくれ者を恐れることはない反面、極端に素直な人間にはまるでかなわなかったりするものです。

(24/01/2002) 


詩を読む・その一 へ戻る

詩を読む・詩を考える・詩を書く へ戻る

Homeへ戻る