愛するということについてのノート  #7

Napraforgo

 

君は息巻いている

誰にも負けたくない と

いま自分をこき使っている会社の上司達を

いずれは自分の鞄持ちにしてやる と

誰との競争にも負けたくない と

自分自身とも競争しているんだ と

 

君には敗北者としか映らないに違いない俺は

君に敬意のこもった軽蔑の言葉を贈らねばならない

 

自分自身にすら心を許さず

否定することでしか世界と関われない君と

誰が体温の通った手で握手する気になるだろうか?

 

あらゆる競争に勝利して

君は一体何を手にしたいのか?

競争での勝利に酔う自分自身すら

未来の自分にボロクソに否定される運命なのに

 

君に何かの輝きを見出したとしても

それは刀剣や銃身の輝きに過ぎない

それらはいずれ曲がり折れ錆び朽ち

刀剣に薙ぎ払われ銃火で焼き尽くされたはずの

花々の輝きに埋め尽くされるのだ

 

 

------ようやく気が付いたかい?

君の挑発に乗らない俺を 君がいら立ちつつも怖れる

その理由に

 


初出;  Angel Talk(初出時『無題』)


解説、というよりは散文による補遺;

 男性優位が根強く残るこの社会で、女性がビジネスの世界で生き残るのは実に厳しい。精神的な余裕を持ちたくても、それどころじゃない日々の連続であろうことは、わかる。

 しかし、何の悪意もない友人にまで食ってかかるように決意表明を並べ立てて、何になるのだろうか? あなたは、誰かに「降参だ」と言わせるためだけに生きているのか?
 あなたが生きている意味とは、そんなものか?

(10/10/1999) 


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