もう一つ、雨について気付いたことがあります。
様々な歌謡曲や文学作品で
「冷たい雨」という表現があるのが、
私には今ひとつ違和感があったのです。
「冷たくない雨などあるのか」と。
京都に来て、その違和感は消し飛びました。
確かに、京都の真夏の雨は生温かいのです。
「北海道は夏涼しい」というのは、
私の実家近辺に限って言えば、幻想です。
日本海寄りの平野部は、真夏の日中は
しっかり30度以上になってくれます。
2学期が始まる8月下旬はまだ暑い盛り、
冷房など全然無い教室で半分液体になりながら、
8月一杯夏休みを楽しめる本州の人間を
心から恨めしく思ったものです。
しかし、北海道の場合、
夏が暑いのは飽くまで日差しが厳しいからです。
曇ったり雨だったりすると、かなり涼しくなります。
中学や高校では夏服・冬服の区分がいい加減だったので、
真夏でも雨の日には「暑くないから」といって
冬服を着てくる人は結構いました。
然るに、京都では雨が降ってもさっぱり涼しくならない。
これには閉口しました。
真夏の雨のぬるさといったら、
いくら浴びても風邪をひかないんじゃないかと思える位です。
実際は、家に帰ってさっさと体を拭かなければ
京都の雨でも早晩風邪をひくのですが、
雨そのものが冷たくないので、
どうも几帳面にカサをさすのが億劫になるのです。