高津本陣 高津本陣 Web Page 〜創作中心個人サークルの総合案内〜

パックス・ブリタニカ(Pax Buritannica)

人数:4〜7 時間:半日〜1日程度

パックスブリタニカゲームのタイトルですが、直訳すると「イギリス下での平和」くらいの意味です。もう少し詳しく説明しますと、大航海時代のスペインやポルトガルの世界規模の覇権確立を経て、ヨーロッパ諸国が世界各地に進出し、植民地化を進めていった19世紀の末は、イギリスこと大英帝国は、「日の沈まない国」とよばれ、実に世界の四分の一近くを領土としていました。地球規模で領土を持っているため「日が沈まない」というわけです。

勿論、イギリスや他のヨーロッパ諸国は平和的な手段のみで勢力を伸ばしていたわけではありません。

イギリスといえばメイドさん、メイドさんといえば紅茶ですが(かなり強引な結びつけだとは承知しております)、その紅茶はイギリス本国で産出するわけではなく、今では有名なインド産が確立するまでは、中国(当時は清)からの輸入に頼っていました。

ところが、紅茶文化が浸透してくると、イギリスの立場からすると貿易赤字の状態になり、それを解消するためにどうしたかというと、自国の領土であるインドで栽培した阿片を清国に売りつけて、この構造的な赤字状態を解消したわけです。

阿片を食い止めようとした清国の官僚の政策に怒ったイギリスがふっかけたのが、歴史上でも有名なアヘン戦争です。

話が少し逸れましたが、パックス・ブリタニカというゲームは、そんな19世紀末から20世紀初頭にかけての帝国主義時代の列強国を担当し、覇権を争うゲームです。このゲームに限らず、この手の戦略級のゲームは、遊びながら(実は遊ぶのも結構、大変なのですが)生きた歴史が学べるというとてもありがたいツールだと思います。


前振りが長くなりましたが、ゲームの内容紹介に入りましょう。

概略は先に書いたとおりですが、このゲームでは、帝国主義時代の列強国をプレイヤーは担当し、世界各地に植民地勢力を伸ばし、その経済力を背景にして更なる勢力拡大を目指します。

プレイヤーが担当することになるのは、イギリス、フランス、アメリカ、ドイツ(オーストリア・ハンガリーを兼任)で、人数によって更に日本、ロシア、イタリアが加わります。

またプレイヤーが担当することはないが、同じく列強に殉じた勢力として、スペイン、ポルトガル、オランダがあります。

各国は、ある土地に利権を求めたり、あるいは実際に占領下に置いたりして影響力を高めていきます。ある土地に対しては「利権」「影響下」「保護領」「占領」の4段階があり、後ろのものほど、維持コストはかかりますが、他国に介入されにくくなります。占領下にある土地には軍隊を駐留させねばなりませんが、そこを拠点にして更に勢力を拡大させることが出来ます。

当時の後進国であったアジアやアフリカ、南米などの各地は、列強国が本気で軍隊を派遣すれば割と容易に占領下に置くことが出来ますが、中には清帝国のように戦争状態になると戦果が拡大する地域もあります。また中東のオスマン帝国のように列強が手出しすると問答無用で戦争になる地域もあります。

ところが当たり前の話ですが、地球上の土地には限りがあり、豊かな土地ということになると更に限られてきますから、各国が勢力を伸ばしていくと必ず、どこかで利害対立や衝突が起こります。

そんな時は、まず話し合いで解決していくことになります。この話し合い以下にゲームとしての面白さがあるわけです。

ルールに反しない範囲内で、条約を結んで共通の敵に当たったり、更には同盟を裏切って自国の利益確保に走ったり、と当時の世界情勢さながらにプレイを進めていくわけです。

話し合いには、当事者同士の直接交渉と、「ヨーロッパ会議」というものがあります。当事者間の話し合いで問題が解決すればよいのですが、そうでなければ、対立はヨーロッパ列強が参加する会議にかけられ、国際社会としての意向が表明されるわけです。勿論、この会議は法廷ではないので、物事の正当性よりも参加国の利益が優先された結論に致ることでしょう。

話し合いで対立が解消しなければ、戦争になります。一方、戦争を開始するにはこうした対立(開戦理由)が存在しなければならず、そうでなければ、いくら気に入らない国があるからといっていきなり戦争を仕掛けたりは出来ません。

一方、当時の情勢をシミュレートするために、ヨーロッパ緊張度というパラメータが存在しています。これは列強国同士が戦争を行ったり、そうではなくても利害対立を解決するためにある国が他国の干渉を飲まされたりすると増大して、一定レベルまで上がると第一次世界大戦が発生してしまいます。

このゲームの終わりは、1916年と一応、決まっているのですが、それに至る前であっても大戦が発生するとゲームは即座に終了してしまいます。大戦を引き起こしたプレイヤーには多大なペナルティが課されるルールになっているため、通常はそれは何とかして避けなければなりません。

そんな内容のゲームですが、このままではもともと強力な勢力を持っているイギリスが圧倒的に有利であるに決まっています。

ところが、ゲームとしての勝敗は、勢力をどれだけ持っているかではなく「勢力をどれだけ拡大したか」で決まることになっています。勝敗はゲーム中にどれだけの「勝利ポイント」を稼いだかで決まるのですが、その勝利ポイントの多くは自国の経済力から算出されます。この算出の時、国に応じてハンディのようなものが設定されているのです。稼いだ経済力を国ごとに決まった数字でわり算して求めるわけです。具体的には、イギリスはこの調整値が10、フランスは7、イタリアは2のようになっており、簡単に言えばイギリスはイタリアの5倍の勢いで勢力を伸ばさなければ同じ勝利ポイントが得られないのです。

大国はそれだけ領土や軍隊の維持費がかかりますから、必ずしも有利とは限りません(勝利ポイントは領土の収入から維持費を引いた経済力から計算される)。イギリスは確かに世界最強ですが、他の列強を全て敵に回したらさすがに勝てません。また多くの国を戦争に巻き込めば、世界大戦が勃発する恐れもあります。

上に戻る | 一覧へ戻る


(c) 高津本陣・徐 直諒 since 1999.12