2月12日(金)
1周年記念グルメ週間の締めは、やはり大好きな蕎麦の話題で。なんで蕎麦が好きかと言えば、動脈硬化や高血圧にいいとかいう「健康的」なんて理由は置いておいて、そりゃあ、もうただ単純に旨いからである。
蕎麦がほんとに美味しいのは新蕎麦が出る11月から翌年の春先まで。夏になると蕎麦の香りが失われ、茹でたあとに使う水の水温もあがるので、シャキッとした喉ごしにならなくなってしまう。その新蕎麦の時のあの緑がかった蕎麦の色と香りは、なんとも言えないが、そんなうまい蕎麦を食うには雪を掻き分けながら行かなければならない。
蕎麦通と呼ばれる方も日本には数多くいらっしゃり、蕎麦の食べ方や製法にも人それぞれの好みがあるとは思うが、「蕎麦というば二八蕎麦が粋、田舎蕎麦なんて黒くて食えるかい」なんてことを言ういわゆる「江戸っ子」の方々には少々疑問を感じる。
元々蕎麦粉には小麦粉のようにたんぱく質がなく、結果してグルテンがないため繋がりにくい。さらにグルテンがないので保水性が低く、打ってすぐに食べないと麺がボロボロ切れてしまう。
ところで江戸時代の蕎麦屋は辻売りか今で言う居酒屋みたいなところがほとんどだったようだ。だから当然打ってすぐ食べさせるとか、茹でてすぐ食べるって環境にはない。で、結局蕎麦を作り置きする必要があること、そして蕎麦粉100%の蕎麦は繋ぎにくいから手間がかかって面倒だったという理由で二八蕎麦が主流になったんじゃないかと思う。
ところが、実際には蕎麦が一番旨いの、挽いた蕎麦粉をすぐに打って、すぐに茹でて、すぐに食べることである。だから、私に言わせりゃ打ってから置いておく事を前提に作った二八蕎麦は邪道なのである。まあ、自分のとこが一番だっていう江戸っ子の意地は感じるが、実際山形の蕎麦屋にわざわざ食べに来てるってことが何よりの証拠じゃないかな。現在の東京人が江戸っ子かどうかは別にして。>東京を敵に回す私
で、そういう山形の蕎麦も、実は山形県産は少なかったりする。内国産の蕎麦の約3分の1は北海道で生産されてるのだ。なんで北海道がいいかって言えば、蕎麦は開花期の気温が冷し昼夜の気温差が大きい所・・・つまり米の育ちにくい気候のところ・・・が適しているからなのである。だから、昔は米の獲れない貧乏な農村の食べ物だったわけね。>続いて北海道も敵に回す私
さて、蕎麦の実は外皮、種皮、胚乳、胚芽から構成されており、これをは石臼でゆっくり挽かないといけない。機械で挽くと無駄な力がかかりすぎたり、摩擦熱ででんぷん質が壊れたりして蕎麦の風味がなくなってしまう。出来た粉は
一番粉
胚乳の部分に多少の甘皮が入ったもの。粘りがほとんどない。
二番粉、三番粉
香りが強く歯ごたえがあるが、つるっとした喉ごしはない。
で、これを混ぜ合わせる事で風味と喉ごしのバランスをとっていく。
わたしが好きなのは「挽きぐるみ」である。一番粉だけでは香りがぜんぜん足りない。三番粉まで混ぜてしっかり皮の部分まで入ると香りが出て美味しい。私がホームグランドにしている山形県はほとんどこの挽きぐるみの板そば。逆に蕎麦の実のでんぷん質の胚乳部分だけを粉にしたのが更科系。でも私にすれば香りがなくて、今一つ。ときどき更科系と小麦粉の量が多い「うどん系そば」を混同してる奴もいるけどね。
ちなみに、蕎麦を語る上で忘れてならないのが水。茹で上がった蕎麦をすかさず流水で締めるのが、旨い蕎麦のコツだが、この水がぬるかったりまずかったりしたら、しっかりしたこし出ず風味もなくなり、もうそれでおしまい。水道水なんて論外である。
だから、都会には旨い蕎麦などあるわけがないと思っている。だから、仙台で蕎麦を食べるなら「とろろ蕎麦」とかにすれば、蕎麦自体の風味のなさをカバーできるからオススメ。1,000円もするうどんだか蕎麦だかわからん奴を食うくらいなら、立ち食いそばで天ぷらそば300円也も食ったほうがまし。
ちなみに私の場合、冬でも当然「もり」である。それと、冬でも当然冷酒である。おっと、忘れてたけど蕎麦には冷酒がよく合う。東の麓なんて奴をキューっとやってから食べる新蕎麦の味は格別である。一方で蕎麦は肝脂肪を防ぐ効果もあるから、益々酒飲みにはたまらない。
ただ、そんな山形の蕎麦の唯一の欠点は、食べに行くとき車で行かなければならないこと。そしてたいてい私が運転手だということである。
今日の教訓:蕎麦と豆腐は新しい方がいい。
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