http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000teo8-att/2r9852000000tesp.pdf
【別添】
「インスリン依存状態糖尿病の治療としての心停止ドナー膵島移植」の被験者の適格基準及び選定方法

(申請書類より抜粋)
【適格規準】
膵・膵島移植研究会の適応認定を受けておりかつ以下の選択基準をすべて満たしかつ以下の除外基準のいずれにも該当しない患者を適格として登録する。

【選択基準】
 当臨床試験に参加するためには、以下の条件全てを満たす必要がある。
1)  同意取得時年齢は18歳から65歳まで。 
2)  本人より臨床試験参加に対して文書による同意を得ることができる。
3)  当臨床試験でのプロトコールの手順に従うことができる。
4)  臨床試験参加時にインスリン依存状態の期間が5年を越えて持続していること。
5)  内因性インスリン分泌が枯渇している。
 内因性インスリン分泌枯渇の定義:basal C-peptide <0.1 ng/mlで、グルカゴン負荷でも上昇が認められない。
  ※本間注:グルカゴン負荷試験は1型糖尿病患者には禁忌です。
 一般的な食後での高感度血中IRI値(自己分泌血中ンスリン濃度)が測定感度以下であれば1型糖尿病です。
 上記CPR値の検査も、IRI値の検査も、共にノーベル賞を取った検査法です。
 2型糖尿病であればIRI値は1μU/mlを超えます。
  尚、IRI値は外因性のインスリン注射には反応しません。
 上記内因性インスリン分泌枯渇の定義:basal C-peptide <0.1 ng/mlとされる数値は、正確には枯渇の数値ではなく廃絶の証明値閾値であり、枯渇までには至っていない数値です。
6)  糖尿病に対するインスリン強化療法を行っていること。
 インスリン強化療法とは、1週間にわたって1日平均4回より高頻度の自己血糖測定を行い、そして1日4回あるいはそれ以上のインスリン注射もしくはインスリンポンプによる治療を実施していることと定義する。
 そして、このインスリン強化療法は、過去12ヶ月の間に1回/月程度の割合で糖尿病専門医に評価をうけた上で調整されたものでなければならない。
7)  過去12ヶ月間に重症低血糖発作が1回以上発症していること。
 なお、重症低血糖発作の定義は適切な血糖管理下において以下のいずれかの項目を満たすものとする:
   1)自分以外の人(他人)による介助を必要とし、かつその際の血糖値が60mg/dL以下である、
   2)自分以外の人(他人)による介助を必要とし、かつ炭水化物の経口摂取、ブドウ糖の血管内投与、グルカゴン投与によって速やかに回復が認められたもの。
8)  Clark Score、HYPO Score、Lability Indexについてのデータを持っている。
  なお、腎移植後膵島移植の場合には、以下の選択基準を加える。
  IAK-1. 腎移植後6ヶ月以上経過している。
  IAK-2. クレアチニン1.8mg/dl以下で、直近6ヶ月の血清クレアチニンの上昇が0.2以下で持続的上昇を認めない。
  IAK-3.  ステロイド内服量が10mg/day以下。
  1) 小児に対する安全性データがないため
  2)~3) 臨床試験を倫理的に実施する上で必要な項目として設定した。
  4)~8) 本臨床試験に参加する際に適格な糖尿病患者を選択するために設定した。
  IAK-1 IAK-3  本臨床試験に参加する際に的確な腎移植後糖尿病患者を選択するために設定した。
 

【除外基準】
以下の条件のどれかに相当した場合、当臨床試験に参加することは不可能となる。
本間注 : 以下に該当する場合は、インスリン療法を受けていたとしても2型糖尿病、又は、2型糖尿病の一タイプである1.5型糖尿病「LADA=その他の糖尿病」や、GABA由来の食に係わる抗GAD抗体を介するSP1型糖尿病と呼ばれるインスリン依存状態(薬物中毒)2型糖尿病の可能性が高いと思われます。
1)  体重が80kgを超えている。
 もしくは、BMIが25kg/m2 を超えている。
 
2)  インスリン必要量が0.8IU/kg/日以上、あるいは 55U/日以上。
3)  過去1年間に複数回測定したHbA1cの平均値が10%以上。
4)  未治療の増殖性糖尿病性網膜症を有している。
5)  血圧:収縮期血圧>160mmHg あるいは 拡張期血圧>100mmHg。
6)  クレアチニンクリアランス(またはeGFR)60ml/min以下(膵島単独移植の場合に限定する)。
7)  現在、尿タンパクが1g/日以上。
8)  フローサイトメトリーによるPRA(panel reactive antibody)が20%以上。
9)  女性の参加者の場合 : 妊娠反応陽性例、現在授乳中、あるいは臨床試験中と臨床試験終了後3ヶ月間に効果的な避妊方法の実施を了承しない。
 男性参加者の場合 : 臨床試験中と臨床試験終了後3ヶ月までに挙児希望のある場合、あるいはその期間中に効果的な避妊方法の実施を了承しない。
10)  以下の活動性感染症がある。
 B型肝炎、C型肝炎、HIV感染症、HTLV-I感染症あるいは結核を含む抗酸菌症。
 具体的にはキャリアを含むHBs抗原あるいはHBV-DNAの陽性者、HCV-RNA陽性者注)、HIV抗体陽性者、HTLV-I抗体陽性者。
 結核を含む抗酸菌症に関しては、クオンティフェロン検査が陽性の場合、あるいは胸部CTにて潜在性結核感染症(Latent tuberculosis infection::LTBI)や非定型抗酸菌症が疑われる場合、抗酸菌症を疑って薬物治療が行われている場合をもって活動性感染症とみなす。
 ツベルクリン反応は特に参考としない。
注)  血漿HCV-RNAの測定は通常HCV抗体陽性者に対して実施される。
 ステロイドの長期内服時など、抗体産生が抑制されることが予想される場合には、HCV抗体の結果にかかわらず、血漿HCV-RNAを測定する。
11)  Epstein-Barr Virus(EBV)に対するIgG抗体陰性。
12)  臨床試験参加前1年間に浸潤性アスペルギルス感染症に罹患したことがある。
13)  癌の既往をもつ。ただし、完全に切除された皮膚の扁平上皮癌あるいは基底細胞癌は除外する。
14)  アルコール依存症あるいは薬物依存症を持っている。
15)  検査施設での正常下限を下回るヘモグロビン値;リンパ球減少症(<1,000/μL)、好中球減少症(<1,500/μL)、あるいは血小板減少症(血小板<100,000/μL)。
16)  第 V 因子欠損の既往がある。
17)  凝固障害があるもの、もしくは移植した後も長期にわたって抗凝固剤(ワーファリンなど)の投与が必要となる医学上の状態を有するもの(低容量のアスピリン治療の場合には許容できる)、またはプロトロンビン時間のINR(International Normalized Ratio)値が1.5を超えているもの。
18) 重度の併存する心疾患を有する場合。以下のいずれかの状態:
   ①  最近(過去6ヶ月以内に)発症した心筋梗塞。
   ②  昨年内に心機能検査において診断された虚血障害。
   ③  左心室のejection fractionが30%未満。
19)  臨床試験参加時に肝機能検査値が持続的に高値を示すもの。
 肝機能検査異常とは、SGOT(AST)、SGPT(ALT)、Alk Phosあるいは総ビリルビン値が、正常値上限の1.5倍以上の高値が持続していること。
20)  症候性胆石症を有する。
21)  急性または慢性膵炎を有する。
22)  症候性消化性潰瘍を有する。
23)  重度の頻回な下痢、嘔吐あるいは潜在的に経口薬剤の吸収を障害する可能性のある胃腸障害を有する。
24)  医学的治療に抵抗性の高脂血症(空腹時 LDL コレステロールが 治療されてもされていなくても130mg/dLを超えている場合、かつ、もしくは空腹時の中性脂肪が200mg/dLを超えている場合)を有するもの。
25)  慢性的なステロイド薬の全身投与を必要とする医学的状態に対する治療を受けている。
26)  臨床試験参加の4週間以内にインスリン以外の抗糖尿病薬を投与されたもの。
27)  臨床試験参加の4週間以内に何らかの臨床試験中の薬剤の投与を受けたもの。
28)  臨床試験参加の2ヶ月以内に弱毒生ワクチンの接種を受けている。
29)  臨床試験遂行に必要な検査のための入院、定期的な外来通院が不可能である。
30)  臨床試験遂行に問題となる精神的異常を有している。
31)  その他、臨床試験担当医によって臨床試験参加が不適切と判断されたもの。
除外基準1~28の設定根拠は下記のとおり。
 1)~3) 膵島移植の適否を考慮して設定した。
 4)~23)、27)、28) 安全性を考慮する項目として設定した。
 24)、25) 有効性評価への影響を考慮して設定した。
 26) 安全性有効性評価への影響を考慮して設定した。
 

以下は千葉東病院の膵島移植適応基準
(2011年1月11日現在のものを引用)

〒260-8712千葉市中央区仁戸名町673番地
独立行政法人国立病院機構 千葉東病院 移植情報センター内
膵・膵島移植研究会ワーキンググループ
「膵島移植班」関東甲信越ブロック事務局
http://www.hosp.go.jp/~chibae2/ishoku/suitou/hp%20tekiou/suitou3.html


膵島移植の適応

糖尿病には比較的若年に発症し進行の早いインスリン依存型糖尿病(IDDM)と、中年以降の発症が多く進行の遅いインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)の2つの型があります。
膵島移植の対象はインスリン依存型糖尿病となっています。なかでも膵臓のインスリン分泌能を表す血清C-ペプチド濃度が0に近く、糖尿病学会専門医等の治療のエキスパートによる治療によっても血糖のコントロールが困難な方が適応となります。糖尿病細小血管合併症である腎症、網膜症、神経障害の有無は、適応に直接関係しませんが、未処置の網膜症がある場合には移植を受けることが出来ません。また、動脈硬化など大血管系合併症を有している方は、その進行度をきちんと検査し、適応を決定する必要があります。

   膵島移植適応基準と選択

 膵・膵島移植研究会ワーキンググループ「膵島移植班」
 膵島移植適応検討委員会(2005/3/18)

 1. 適応
  1) 内因性インスリンが著しく低下し,インスリン治療を必要とする※
  2) 糖尿病専門医の治療努力によっても,血糖コントロールが困難
  3) 原則として75才以下
  4) 膵臓移植,膵島移植につき説明し,膵島移植に関して,本人,家族,主治医の同意が得られていること
  5) 発症5年以上経過していること
   (※膵臓のインスリン分泌能を表す血清Cペプチド濃度が0.1ng/ml未満であること)

 2. 禁忌
  1) 重度の心疾患,肝疾患(心移植または肝移植と同時に行う場合には考慮する)
  2) アルコール中毒
  3) 感染症
  4) 悪性腫瘍(5年以内に既往がないこと)
  5) 重症肥満(BMI 25 以上)
  6) 未処置の網膜症(ただし、失明は除く)
  7) 腎不全
  8) その他移植に適さないもの 情報センターTOPー膵島移植TOPー膵島移植の適応